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[コラム]

ベトナム会計税務事情(1):チーフアカウンタントの採用、安易に決めるべからず

2015/07/11 06:00 JST更新


 皆様、こんにちは。SCS Global Consultingの尾崎と申します。  弊社は2013年にベトナムへ進出して以来、会計税務の専門家集団として外国企業様を中心にサポートさせて頂いております。この度、本コラムへの執筆の機会を頂戴致しまして、今後幾度かに渡り知っていそうで実は深くは知らない会計税務のお話をさせて頂きます。幾分堅苦しい話も多いかとは思いますが、読んで頂ければ幸いです。 チーフアカウンタント(CA)制度って?どんな人が持っている資格?  初回は、よく耳にするチーフアカウンタントについて説明致します。  外資系企業がベトナムで事業を行う上で避けては通れない制度の一つに、チーフアカウンタント(CA)制度があります。これはつまり、外資系企業はある程度経理スキルと経験のあるCAという資格を持った人材を雇用もしくは任命する必要があるという制度です。ただし、設立後1年目は雇用してもしなくてもよい猶予期間となっています。また、会計事務所への外注も可能です(後述)。  それではCAはどの様な資格で、どの様な仕事が出来るのでしょうか?大学等の会計コースを修了後、2年の実務経験を経た後に試験に合格することで付与される国家資格ですが、この試験の合格率はなんと9割超です。ほとんど形式的な試験で、言い方は悪いですが条件を満たせばほとんど誰でも取得できてしまう資格、それがCAです。  そのため、実力はピンキリです。中にはほとんど知識経験のない方もいます。にも関わらず社内では重要なポストとして位置づけられますし、その仕事内容は多岐に渡ります。帳簿や決算書の作成・署名、銀行とのやり取り等、経理に関わる重要な仕事は全部行います。  上記を踏まえますと、自社雇用する場合は、過去の経験、特に決算書と税務申告書の作成経験があるか否かの確認は必須かと考えます。また、経理業務をCA任せにしてしまうブラックボックス化は危険ですので、代表者とのコミニュケーションが円滑に出来るかどうか(英語話者かどうか)も非常に重要になります。  一方、蛇足ですがベトナムの公認会計士(CPA)についても少し述べさせて頂きます。CAとCPA、名前は似ていますが、仕事の内容はCPAの方が更に多岐に渡ります。  いわゆる会計監査…これも外資系企業であれば年1回必ず受ける必要がある話なのでお馴染みの方も多いかとは思いますが、この監査業務を実施できるのはCPAだけとなっております。ベトナムCPAの合格率は、およそ10~20%程度で推移している様です。給与も比較的高いため、低い合格率ながらも人気のある資格です。

雇用?vs外注?  プロ野球チームを強くするに当たって重要な戦略の一つとして、以下の2択があります。 1.コストをかけず、長期的目線で優勝を狙う。
2.コストをかけ、短期的目線で優勝を狙う。  1は、いわゆる若手育成戦略で、若手選手をファームで時間をかけて育成し、将来的にチームを強くしていく戦略です。コストは安いですが、急激にチームを強くすることも出来ません。(日本プロ野球ではこの特徴が強いのは日本ハムでしょうか。大谷選手の育成に力を入れていることも有名です。)  2は、いわゆる大型補強戦略で、抜群の成績を残しているスタープレーヤーを多額の報酬で獲得し、獲得と同時にチームを強くする戦略です。(資金力が強いメジャーリーグは全体的にこの戦略が顕著です。楽天の田中将大投手が多額の年棒でヤンキースに行った事は記憶に新しいはずです。)  ここで本題に戻ります。  CAを自社内で雇用するか、会計事務所に外注するか、という選択はまさに上記の1、2の戦略と似ています。あてはめてみますと、下記のようになります。 1.コストをかけず、若いCAを雇用、自社内で将来の自社の信頼できる幹部候補へと育成。ただし、離職率の高いベトナムで長期育成することへの不安は否めず。
2.コストをかけ、既に実績のある会計事務所に委託し、当初から質の高いサービスを享受。ただし、自社独自人材として扱うことが難しい。  1、2とも得手不得手があり、どちらにすべきという答えがあるものではありません。長期的にベトナム法人をどのように運営していくかの視点によって異なるものですので、安易に判断せず、会社のビジョン及び事業計画を理解した上で慎重に判断して頂ければと思います。 

[2015年7月11日 ベトジョーコラム A]
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