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[コラム]

5分で業界まるわかり!人材紹介会社・覆面座談会~前編:ここがもったいないよ日系企業~

2016/07/09 05:00 JST更新


 日系企業のベトナム進出が相次ぐ中、日系企業のベトナム人と日本人の採用需要も増えている。こうした人材を採用したい企業と企業に勤めたい人材を繋ぐのが、人材紹介会社の役目だ。  今回、ベトナムの人材紹介会社に勤める人材コンサルタントの3人にお集まりいただき、第1回VIETJO覆面座談会をホーチミン市某所で開催した。前編では、「ここがもったいないよ日系企業」をテーマに、企業と候補者の間に立つからこそ感じる人材紹介会社の本音、そしてベストな「人材紹介会社の使い方」について語ってもらった。 <語り手> Aさん 人材紹介会社勤務 40代
Bさん 人材紹介会社勤務 30代
Cさん 人材紹介会社勤務 20代 【日系企業は「採用力」が弱い!】 ―――外資系企業は「その候補者が企業にとってどれだけ必要なのか」を伝えて候補者を口説く一方、日系企業はアピール力が弱く仕事内容も不明確で、ベトナム人に対して「上から目線」のケースも少なくない。人材紹介会社から見て、どういった面接や採用が理想的なのだろうか。 A:日系企業で特徴的なのは、雇用側とのランクを感じる「雇ってやるぞ感」ですかね! B:あるある!候補者に対してあからさまに「うちに入りたいんだろう」という態度を取りますよね。 A:しかも、ベトナム人スタッフに対して基本的に高い給料は払わない! C:日系企業の方と求人の話をしていて思うことは、「仕事内容が不明確なこと」ですね。 A:こちらも明確にできていない責任はありますが、多いですね。 C:これはおそらく日本の「総合職」の考え方なのだと思います。何でもやってねと。ただベトナムでこの考え方は通用しません。 B:とても分かります!「ここがもったいないよ日系企業」というテーマを聞いた時に思い浮かんだのは、日系企業が「うちの会社で何をやりたいのか不明確」という理由で候補者を落とすことです。それは日本人面接には合っているのかもしれませんが、ベトナム人は違う。将来のことより、ベトナム人は「いま」を生きています。そこへの集中力は日本人よりすごい。ベトナム人の面接では、日本人以上に過去と今を深掘りしたほうが良いんですよね。 A:いい人材を紹介しても、希望人材との目線合わせができていても、その理由で落とされるとガクッとくる。 C:ある企業の面接が上手いんですよ。面接で聞くことをリストにしています。幼少期のこと、両親のことなどしっかりと過去から遡って対話をしている。それらを雑談の中に組み入れていて、最終的にすべてを網羅する形になっています。 B:それは良い!デキる営業マンの形ですよね。 C:しかも、聞く内容が整えられているので評価しやすいんです。

A:確かに!あと、企業と候補者との面接に立ち会って頻繁に思うのが、日系企業は面接がアピールの場だということを認識していない。 B:本当にそう!そう! A:面接後に候補者から、「たくさん質問をされたけれど、何を求められているのかがわからなかった」と返ってくることもあります。 C:仕事内容に関して「こういう仕事できる?」「できます」のやり取りで終わる企業があります。でも、そのパターンは入社後に業務でミスマッチが起きてしまい、結局長く続かないんです。 B:私は非日系企業の面接に同席することもありますが、非日系企業では社長自らがヘッドハンターになっています。企業の現状について説明して、「なぜ君が必要か、そして君とこういう仕事がしたいんだ」と口説いている。日系企業の社長はおそらく、何を伝えれば良いのかわからないのだと思う。特に大手企業だとプレゼンス(存在感)があるから採用力もある、と勘違いしているケースがあります。 A:日系企業でも、社長が本気でベトナム人を採用しようとしている企業は違いますよね。そういった企業に入社した候補者は基本的に辞めないです。 C:せっかくなので聞きたいことがあります。履歴書を見ただけで候補者を不採用にする場合がありますが、どう思いますか?私はベトナム人の場合、履歴書だけで判断できない場合が多いのでまず会ってコミュニケーションを取るべきだと考えています。 B:うーん、一概には言えませんが、履歴書で少しでも気になるポイントがあれば会ってほしいですね。 C:そうですね、履歴書だけで判断するのは少しもったいないような気がします。候補者とその時にマッチングしなくても、事業を拡大する際に必要になったりと将来に繋がる可能性もあるんですよね。 B:その辺、上手く面接をしてほしいですよね。でも、下手な面接はしてほしくない。 A:「どこか気になったら会って、でもダサい会い方はしないでね!」ということですね(笑)。しかし企業側にも事情があって、駐在でベトナムに来ていきなり採用をやらなければいけない人も多くいます。日本で採用の経験がない人もいるので、難しいですよね。 B:そうそう。しかも、その割にプライドが高く、我々のアドバイスを聞いていただけなかったり。面接が始まったら、ぶっきらぼうに「それでは、自己PRをして」と言い出していては、もったいない。 A:逆に良かった面接はありますか? C:不採用の場合でも、その理由をしっかりと説明してくれる会社は良かったです。電話とメールで丁寧にフォローしてもらって、そうするとお互いに気持ちよく終わることが出来ますよね。

【人材紹介会社の使い方】 ―――日系企業の「もったいない点」を補い、より良い採用ができるようサポートするのが人材紹介会社。人材紹介会社としてどういった企業が好ましいのか、また企業に人材紹介会社をどのように活用してほしいのか。 B:我々の努力不足もあるのですが、日系企業から「人材紹介会社」がブローカーみたいに思われている気がします。近年ベトナム市場にも人材紹介会社が増えて、その傾向が強まりました。 A:人材業界で働く人は、基本的に人に関心があり、人が好きな人が多いので、上手く活用してほしいです。例えば、「この求人に関して、他に人材紹介会社のA社、B社、C社の3社も利用しています」とはっきり言われると逆に燃えます。 C:求人をいただいてから「その後どう?」とリマインドをかけてくださるのも良いですね。プレッシャーがかかると、期待とも受け取れるので、人材紹介会社としても良い人を紹介しようと頑張りますから。 B:人材紹介って、例えるなら恋愛みたいな感じです。 A:そうそう、駆け引きですよね。 C:「他社からアプローチが来ているんだけれど、それでも君から紹介された○○さんが最高だったから、忘れられない」なんて言われると、今後もとっておきを紹介したい!と思いますもんね(笑)。 B:そうそう、人材紹介と聞くとシステマティックな条件マッチングのみ!をイメージされる方が多いと思いますが、サービスは実はかなり属人的です。 A:ある企業で、「お前は人材紹介会社から接待を受けてはいけない。むしろ人材紹介会社を接待漬けにしろ」と上司に怒られたという話を聞きました。さすがに接待を受けることはないですけれど、気持ちはすごく嬉しいです。 C:私は企業の社長から「(その企業が)どういう思いでいて、今後はどういうビジネスをやっていくのか」を聞いてほしいと言われたことがあって、その時は「頑張ろう!」と思いました。 A:どこの人材紹介会社から候補者が紹介されたのか覚えてくれてるのは嬉しいです。やはり「人が好き」で働いている人が多いので、候補者に対する思い入れも強いですし、逆に候補者がモノのような扱いをされると、反感を覚えますよね。 B:人材紹介会社の人間は、人の機微に敏感です。だからこそ、上手く転がして活用してほしいですよね。 C:何だか面倒くさい中2みたいなこと言っていませんか?僕たち(笑)。でも、それが本音なんですよね。 後編に続く― 

[2016年7月9日 VIETJO覆面座談会 A]
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