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ベトナムでは、お盆やテト(旧正月)に日用品をかたどった紙製の冥器を燃やし、亡くなった人に捧げれば、自分の現世での罪が除かれ、幸福や栄誉を勝ち取れると信じている人が階級を問わず存在する。冥器産業は社会の発展とともに成長し、以前は洋服、履物、携帯電話などが主流だったが、現在では種類も豊富になった。なかには1回に7000万ドン(約51万9000円)を費やす人もいるほどで、冥器を燃やす祭司には1人あたり、数100人の弟子がいるそうだ。
ハノイで売られている冥器は主に、コット村(ハノイ市カウザイ区)、ドンケー村(ドンホー版画で有名なニンビン省旧ドンホー村)で生産されている。コット村は「冥土の銀行」と呼ばれ、「冥土のお金」を専門に生産し、一方のドンケー村は「家庭用品」の生産が中心だ。ドンケー村では600以上の世帯が冥器生産に従事、専門化が徹底されており、中でも高級な冥器を作ることができるのは経験を積んだ一握りの職人のみ。熟練職人の手による冥器は、通常1つ5000ドン(約37円、帽子の冥器の場合)が、10倍の5万ドン(約371円)。原寸大の冥器のバイクは1台50万ドン(約3710円)の値をつけるという。