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[社会]

需要減るシクロ、運転手らが組合「シクロシティツアー」設立し奮闘中

2016/12/13 16:01 JST更新

(C) An Huy, Thanh Nien, シクロ組合の運転手
(C) An Huy, Thanh Nien, シクロ組合の運転手
 ホーチミン市ではこの数年で、技術の進歩により長年バイクタクシー(セオム=xe om)業界に身を置いてきた運転手が苦戦を強いられているが、シクロ(自転車タクシー=xich lo)の運転手も例外ではない。そこで運転手たちはシクロ運転手の組合「シクロシティツアー(Cyclo city tour)」を設立し活動し始めている。  シクロ運転手の多くは地方の貧困地域の出身で、この道数十年の白髪が目立つベテランだ。かつては人や物を運び繁盛したものだったが、今では昼間はシクロに観光客を乗せ、夜はシクロを寝床に、公衆トイレで水浴びし、屋台で空腹を癒して、田舎の妻子に仕送りをする。  この苦境に、市内のシクロ運転手歴20年前後の数十名が運転手の組合「シクロシティツアー」を設立し、代表者を介して市内のツアー会社と提携している。運転手は固定の地点で待機し、電話で依頼が入ると1時間5万VND(約253円)で客を乗せるというシステムで、1日の収入は運転手によって10万~20万VND(約505~1010円)になる。  66歳の運転手は南部解放直後にメコンデルタ地方アンザン省からホーチミン市へ移り住みシクロを運転するようになってこの道40年になるが、当初は馬車も走っていたそう。シクロ運転手をしながら4人の子供を養ってきたが、今は組合に入らなければ客は欧米の観光客くらいしかおらず、生計を立てることは難しいという。  長いシクロ運転手人生には苦い経験もある。市場まで乗せた客の買い物が終わるのを待っていると、お金が足りなくなったので貸してほしいと客に言われ10万VNDを貸したものの、その客が店に支払いに行ったまま戻らなかったり、シクロに乗せて走っている最中に客が飛び降り逃げて行ったこともあるとか。  69歳の運転手はホーチミン市出身だ。かつては1区に家を構えて商いで家族を養っていたが、家のある区域一帯が火事になり立ち退きに遭った。立ち退きの補償額は家を新築するには足らず、それ以来賃貸住宅を転々としている。さらに娘2人が子供3人を残して病死し、子供たちの父親も家を出て行ってしまったため、シクロ運転手で3人の孫を育て上げた。シクロシティツアーに加入して1年、収入は1日10万VNDほどで家賃と妻の薬代には十分だと話す。 

[An Huy, Thanh Nien, 02:14 PM - 08/12/2016, T]
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