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[特集]

チュオン村のノンラーを世界に輸出した農家女性

2011/06/26 08:29 JST更新

(C) Sai gon tiep thi, Khue Van
(C) Sai gon tiep thi, Khue Van
 ハノイ市中心部から車で1時間ほどの同市タインオアイ郡フオンチュン村には、ベトナムの編み笠「ノンラー」作りで有名な集落「チュオン村」がある。チュオン村の農家の女性タ・トゥー・フオンさんは20年余り前、ノンラーを世界に輸出するきっかけを作ったことで知られている。  当時18歳のフオンさんは、同村のノンラー市(いち)を訪れたハノイからの団体観光客にノンラーを売っていた。ある客(後に貿易会社の社長と分かった)が商品を大変気に入って、「外国人観光客のお土産にするため、今週中に5000個必要なんだが、用意できるかい」と尋ねた。フオンさんは躊躇することなく「はい、できます」と答えていた。  フオンさんはそれから1週間、村中の家を駆け回り、自腹を切って割り増し料金を払って商品を買い集め納期に間に合わせた。彼女は「あの時は何も考えていませんでした。ただできるとだけ信じていました」と振り返る。  1988年、20歳になったフオンさんは1万個のノンラー輸出契約を獲得した。その後も日本、韓国、台湾、ドイツなどへ輸出した。伝統的なノンラーのほか、相手国に合わせて麦わら帽子やうちわなども輸出する。輸出額は2008年に約5億ドン(約200万円)に達している。

 フオンチュン村人民委員会のホアン・コン・コア主席は、「村人たちは彼女のことを親しみを込めて"フオン・ノン"と呼んでいます。彼女は普通の農民ですが、チュオン村のことを世界に宣伝してくれています。新しいデザインのノンラーを生み出し輸出する、それができるのは彼女だけです」と賞賛する。  2006年11月にハノイで開かれた第14回アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議では、観光総局から歓迎式典の装飾に使用する巨大ノンラーの注文を受けた。フオンさんたちは、直径3.6メートル、高さ1.8メートルの国内最大級のノンラーを10日間かけて製造した。  ノンラーはかつてコメとの交換にも使われた農民のありふれた生活用具だったが、今では1個数十万ドン(数千円)もするおしゃれなアイテムにまでなっている。ここまで来るのは長い道のりだったが、フオンさんにとってノンラーは、故郷への愛情が形になったようなものだという。  どうして田舎暮らしの若い女性が世界に商品を輸出できるようになったのか、との問いに、フオンさんは「私にもどう言っていいのか分かりません。ただ、熱心に追い求めていれば何かが自分を後押ししてくれて、自分が望んだ結果が得られるのではないでしょうか」とやさしい笑顔で答えた。  

[Sai Gon tiep thi online, 14.06.2011, 10:19 (GMT+7), O]
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