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[特集]

フエで小児がん患者を支援する「日本のお母さん」

2015/01/11 07:33 JST更新

(C)Tuoi tre,N.Hien、小児がん患者と渡辺さん(右から2人目)
(C)Tuoi tre,N.Hien、小児がん患者と渡辺さん(右から2人目)
 北中部トゥアティエンフエ省のフエ中央病院で、小児がん患者の支援活動に取り組んでいる日本人女性がいる。NPO法人アジア・チャイルドケア・リーグ(ACCL)代表の渡辺和代さん(48歳)だ。患者である子供達(患児)やその家族、病院の医師やスタッフから親しみを込めて「日本のお母さん」と呼ばれている。  渡辺さんは20年前に初めてベトナムを旅行した時にフエを好きになり、その後フエ師範大学で日本語を教えたり、ストリートチルドレンの支援に携わったりした。仕事をする中で、フエ中央病院の小児がん患者が途中で治療を止めてしまう割合が高いことを知った彼女は、小児がん患者を集中的に支援することを決断し、2005年に東京でNPO法人を立ち上げた。  渡辺さんは3か月に1回フエを訪れて、半月ほど滞在する生活を続けている。活動の目的は、中部の小児がん患者の治療放棄の割合を下げ、生存率を高めることだ。治療放棄の最大の原因は経済面であることから、患者の生活日用品や看病する家族の滞在場所などを提供している。  こうした活動が功を奏し、治療放棄の割合は2005年の50%から2014年には5%以下にまで低下した。国際会議でこの数字を発表すると、多くの医師が奇跡だと驚いたという。渡辺さんにとっては魔法でも何でもない。理由がはっきり分かっているからだ。

 ベトナムでは以前、がんの診断=死の宣告と考える人が多く、治療をあきらめて患児を家に連れて帰るケースが多かった。また、治療を続けたくても遠方に住んでいる患者の場合は、交通費が負担となって長期間の治療は困難だった。  渡辺さんはこうした事情を汲み取り、ACCLが患児と家族の交通費や入院中の食費を支援できるようにした。また患児らの沈みがちな気持ちを高めるために、キャンプや誕生会、中秋節などのイベントも病院内で開いている。小児がん家族の会の運営や、専門医の研修なども支援している。  渡辺さんはいつもカメラを持ち歩いて患児らの写真を撮り、次回のフエ訪問の際にプリントした写真をプレゼントしている。ただ、何人かの子供達は自分の写真を見ることなく亡くなっていく。「短い人生しかなかった子供達の笑顔を見ると、胸が苦しくなります」  渡辺さんは独身だが、友人達には「自分はフエの嫁でたくさんの子供がいる」と冗談を言う。フエに戻るたびにいつも家族のもとに帰る気がすると話す彼女は、既にフエの小児がん患者達の大家族の一員になっている。 

[Tuoi tre,04/01/2015 09:49 GMT+7,O]
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