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[特集]

宝くじ売り総勢38人が仲良く暮らす一軒家

2015/03/01 07:19 JST更新

(C)Vietnamnet
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 ゴ・バン・ティエンさん夫妻が、生活のために故郷の南中部沿岸地方フーイエン省からホーチミン市に移り住んだのはかなり前になる。今は同郷の人々総勢38人で、一軒の家で暮らしている。  ティエンさんは最初、石工職人として働いていた。ある時親戚の人から、生活が苦しい故郷の人々をホーチミン市に連れて行き、宝くじを売る仕事をさせてはどうかと話を持ちかけられた。帰郷した際に状況を探ってみると、1日当たり数万VND(数百円)の日銭で厳しい暮らしをしている人が多いことが分かった。彼が宝くじ売りの話をすると、すぐに反応が返ってきた。  それからはティエンさんを頼りにホーチミン市に移り住む人が増えていった。1区のグエンバンクー橋近くの路地に一軒家を借りたが、面積は20m2ほどしかなく文字通り身を寄せ合って暮らしている。ここにいる人のほとんどは高齢者や障害者だ。  ティエンさんによると、皆にそれぞれの事情があるという。「例えば73歳のグエン・バン・サウさんは事故で片足を失いました。2009年には台風による洪水で、娘と2人の孫、さらに家財も全て奪われました。そのショックでサウさんの妻は精神を病み、別の娘の元で暮らしています。サウさんはここで生活費を稼いでいます」

 サウさんは車椅子に乗り、もう1人の仲間の助けを借りて毎日街に出て宝くじを売り、夜になると利益を折半する。この数日は仲間が帰郷しているため、サウさんは外に出られずにいた。  ティエンさんの妻、ダオ・ティ・レさんは、38人分の食事作りを担当している。徴収する食費は1人1日1万VND(約55.9円)。このうち2000VND(約11.2円)を手間代として受け取り、残りの8000VND(約44.7円)で2回分の食事を作る。野菜中心で数日に1回は魚というメニューで、なんとかやり繰りしているという。  この家に住む人達は経済的に恵まれているとは言えないが、感謝の気持ちと温情にあふれている。同じ故郷を持ち、同じような境遇の彼らは喜びや悲しみを分かち合える。誰かが病気になれば、薬を買う人、面倒を見る人がいて、代わりに宝くじを売る人もいる。  ある男性高齢者は「この家ではティエンさんが船頭です。家賃から光熱費や食費までお金の算段を付けなければなりませんから。創意工夫とお互いの境遇への思いやりのおかげで、けんかが起きたことはありません。それだけで十分ありがたいです」と話した。  

[Vietnamnet,08:43 | 03/02/2015,O]
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