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[特集]

「Foody」設立の立役者、野菜収穫の雇われ人からCEOになるまで

2015/09/13 05:16 JST更新

(C) ictnews
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 ベトナム版「Yelp(イェルプ)」と言われ、ベトナムで絶大な人気を誇るレストラン検索・レビューメディア「Foody.vn(フーディ)」を設立した起業家で、フーディー社(Foody Corporation)の最高経営責任者(CEO)であるダン・ホアン・ミン氏と彼の成功の秘訣が、多くの人々の関心を集めている。  ミン氏は1984年、ベトナム北部生まれ。オーストラリアのメルボルンにあるスインバン大学でソフトウェアエンジニアと情報技術について学ぶが、入学した年、彼の家族が破産。事は思うように進まなかった。  ミン氏は生活をまかなうため、野菜収穫の雇われ人として働かなければならなくなった。「仕事に行く日を指折り数えていた辛い日々を今でも思い出します。でもそれがお金を稼ぐために一番手っ取り早い手段だったんです」とミン氏は打ち明けた。  家計の状況は苦しく、オーストラリアに長くいることはできないと分かってはいたものの、一方でミン氏は自分の将来についてはっきりとしたビジョンも持っていなかった。そんな中、彼のクラスメイトたちは授業で学んだ知識を活かしてお金を稼ぐため、ウェブサイトの設計に打ち込んでいた。  ミン氏は、「私の夢は建築士になることだったので、プログラミングを学ぶことは考えていませんでした。私が情報技術を学んだのは、今後安定したキャリアを築けると思ったからです。起業するなんて考えてもいませんでした」と語った。いつしかミン氏は恋人と別れ、また2人の友人は電子商取引(eコマース)の分野で有名になっていた。

 ミン氏はベトナムに戻り、自分の進むべき道を探し始めた。何か新しいことを始めるつもりはなく、あるソフトウェアの会社に求職票を提出した。しかし、提出してから、自分がコード構築に関するきちんとした知識を持っていないことに気付いたという。  一方でその頃、「自分の隠れた能力とは『経営分析』だ」ということに気付き始めた。苦しい経済状況を経験し、ミン氏は忍耐強くなっていた。未知の環境でも、どんな困難に対しても決して「ノー」とは言わない。彼はついに、起業の道に身を置くことを決心した。  紆余曲折を経て、ミン氏は2012年にフーディー社を立ち上げた。同社はこれまでに、株式会社サイバーエージェント(東京都渋谷区)の連結子会社である株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズ(東京都新宿区)及びシンガポールのグローバルイノベーションズ&テクノロジープラットフォーム社(Global Innovations & Technology Platform)から投資を受けている。  起業で大成功を収めているミン氏が、これから起業を目指す人々に贈る言葉を教えてくれた。 1.「十分な装備が整うまで待っていてはいけない」  経験は、学校で教わることはできないが、実際のビジネスを通じて体得することができる。「会社を経営しているCEOの方々からビジネスでの貴重な経験を聞ける機会として、私はベトナムのビジネス学校のクラスに参加しました。でも実際のところ、グーグル(Google)が私にとって一番良い『先生』でした」。 2.「アイデアを共有すべし!他の人にアイデアを盗用されることを恐れないで。もし盗用した人より良い仕事ができなければ、何にせよ最終的にはうまくいかない」  共有することは議論に繋がり、議論はアイデアをより深めることに繋がる。それこそが自分の武器を磨くために一番良い方法だ。

3.「一人でやろうとしてはいけない。人と共同で立ち上げることで価値を共有し、ビジネスを発展させ、辛い時期を共に乗り越えることができる」  とは言っても、多くの人を見つけるべきではない。フーディー社に4人の共同経営者がいた頃、発展スピードはかなりゆっくりだった。しかし、2人が離脱してから、フーディー社は活況を呈し始めた。様々なネットワークに参加し、実を結ぶまでたくさんの人と話をするべき。「私はサイバーエージェントがフーディー社に投資をしてくれるまで、3年間、毎週話をしました」。 4.「信念を持つことが成功に繋がる。もし誰かに投資するよう説得できたら、自分はすでに成功している」  このことは、自分のアイデアに対する100%の信念と、200%の説得能力が要求される。 5.「自分らしい人生を生きよう。幸せとは自由を得ること」  「もしフーディー社がなければ、私は田舎の土地を探すでしょう。私の夢は土地を購入し、果樹や野菜を植える農園を作ることです。捨て犬や捨て猫たちのための家も建てます。それが退職後に実現したい私の人生です」。  農園を作りたいと語るミン氏に、記者が「本当にそのような暮らしをするつもりですか?」と質問すると、ミン氏は笑いながら答えた。「いいえ、それは週末だけです。今まで通りホーチミン市に住んで、映画を見に行って、美味しいものを食べて、友達と集まって過ごすつもりです」。  フーディー社は、米タイガー・グローバル・マネジメント社(Tiger Global Management)からの出資を新たに受け入れることを明らかにしている。また、インドネシア版「Foody.id」も立ち上げた。同社は、今後も更に事業を拡大していく計画だ。 

[ictnews, 08:08, 11/08/2015, A]
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