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[特集]

平和願い、日本人画家らが戦争証跡博物館で壁画制作―ドクさんも参加

2017/08/13 05:00 JST更新

(C) 戦争証跡博物館壁画プロジェクト実行委員会
(C) 戦争証跡博物館壁画プロジェクト実行委員会
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 ホーチミン市3区にある戦争証跡博物館でこの夏、日本人画家を中心としたボランティアメンバーによって大規模な壁画制作が行われた。8月5日に開催された完成披露式典には、ベトナム戦争の枯れ葉剤被害者30人を含めて日本とベトナムの関係者100人以上が参加した。

 今回の壁画制作プロジェクトの企画は、プロジェクトリーダーを務める大阪府河内長野市の公立中学校教頭で美術科教員の内本年昭さんが、同博物館のフイン・ゴック・バン館長と懇談する中で持ち上がったもの。

 内本さんは2009年に同館を訪れて以来、ベトナム戦争や枯れ葉剤被害について生徒たちに語り、専門教科の美術の授業においても絵画表現を行ってきた。

 一方、バン館長はベトナム国内で美術教育が十分に行われていない島の子どもたちに絵筆を持たせ、子どもたちの絵画作品を同博物館で展示するなど、芸術による情操教育に力を入れている。

 こうした中、ベトナム戦争時に米軍が散布した枯葉剤の影響で結合双生児として生まれた「ベトちゃんドクちゃん」の弟、グエン・ドクさんの仲介もあり内本さんとバン館長が親しくなったことで、2年前に同博物館のキッズルームである「白鳩の部屋」の壁画のリニューアルについて合意した。

 内本さんは、旧知の日本画家であり、2015年に大阪の通天閣の天井画の復刻にも携わった沖谷晃司さんに相談。沖谷さんは今年1月、今回のプロジェクト向けに、「白鳩が平和を運ぶ(White doves carry peace)」と題した原画を制作した。

 その後、2人の恩師である近畿大学文芸学部文化デザイン学科教授の西野昌克さん監修のもと、プロジェクト実行委員会を設立。画家やデザイナー、主婦、小学生らを含めた25人が入れ替わりホーチミン市に渡って現地のベトナム人画家や学生らとともに作業を行い、7月の約1か月間で高さ3.4m、幅約30mの壁画が完成した。

 壁画制作には、ドクさんも2009年に生まれた男女の双子、グエン・フー・シー(富士)くんとグエン・アイン・ダオ(桜)ちゃんとともに参加した。

 今回制作された壁画は、戦争証跡博物館のロゴマークにも用いられ、「平和の象徴」でもある白鳩をモチーフにしたもの。左壁の「地平線の向こうへ(Beyond the horizon)」、中央の「愛らしい大きな鳩(Adorable big dove)」、右壁の「美しく咲く蓮(Beautiful blooming lotus)」を中心に、室内の壁面に大小様々な70羽の白鳩が飛び交うデザインとなっている。

 内本さんは、「多様性を互いに尊重しながらもそれぞれが平和な世界の実現に向けて進んでいく使命がある。この壁画を見た子どもたちに、少しでもそういった思いを持って欲しい」と期待を込めた。 

[2017年8月13日 ベトジョーニュース A]
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