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[特集]

祖父母と暮らす両手両足のない少女、学校に通い夢を追う

2018/11/11 05:48 JST更新

(C) vnexpress
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 メコンデルタ地方ソクチャン省クーラオズン郡第2アンタイン村に住むチャン・ヒエウ・タオちゃん(8歳)は、生まれつき両手両足がない。早くに父親を亡くし、母親も出稼ぎに行っているため、母方の祖父母とともに暮らしている。

 この村でタオちゃんの名を聞けば、誰もが彼女を慈しみ、感服する。タオちゃんは持ち前のバイタリティで自身の不運な運命をも乗り越えてきたからだ。

 タオちゃんの祖母であるリー・ティ・チョーさん(63歳)によると、チョーさんの娘、つまりタオちゃんの母親は10年余り前に南中部沿岸地方カインホア省ニャチャン市出身の青年と結婚して家庭を持った。しかし、タオちゃんが生まれてわずか10か月のとき、タオちゃんの父親は交通事故で亡くなってしまった。

 「それ以来、タオは私たち祖父母夫婦と暮らしています。タオの母親は、子供を育てるため、お金を稼ぐために東南部地方ビンズオン省まで出稼ぎに行っているんです」とチョーさんは話す。

 チョーさんは、娘が妊娠したときのことを思い出し、家族の皆が大喜びだった、と語る。妊娠がわかってから最初の超音波検査での医者の診断は、「胎児は正常に発達している」とのことだった。

 「家庭が貧しかったため、あの子は2度目の妊婦検診に行くこともなく、ただただ子供を産むためのお金を稼ぐことばかり心配していました。まさか誰も、生まれてくる子に手足がないなんて思いもしませんでした」とチョーさん。

 6歳のとき、同い年の子供たちが両親に連れられて学校へ通うのを見たタオちゃんは、祖父母に自分も学校へ行かせてほしいと頼んだ。孫を哀れな境遇に置くことはできないと、チョーさんは仕事の合間にタオちゃんを学校へ連れて行った。

 「学校に通うようになって最初の数か月は、タオの後ろに座ってタオが後ろに倒れないようバランスを保つ手助けをしなければなりませんでした」とチョーさんは語る。強い意志のもと、タオちゃんはだんだんと全てをこなすことに慣れ始めた。

 タオちゃんの通うアンタイン2B小学校のレ・ホアン・ビン校長によると、学校がタオちゃんを受け入れることになったとき、どの先生たちもどうすれば彼女にとってよりよい学習の手助けができるのかわからず不安だったという。しかし皆、彼女に勉強を教えるという決心が揺らぐことはなかった。

 「わが校の先生たちも生徒たちも皆、タオさんの好奇心には感服するばかりです。彼女は驚異的な活力を持った生徒です」とビン校長は話す。

 祖父母の負担を減らすため、タオちゃんは小さいころから自立していた。文字を書くときには、片側に首をかしげて鉛筆を首のあたりに置き、「羽」のような腕で挟んで鉛筆を動かす。自分で勉強するだけでなく、掃除などの簡単な家事も手伝うことができる。

 「文字を練習し始めたばかりのころは首がとても疲れましたが、今はもう慣れました。他の友達と同じように速く文字を書いたり絵を描いたりできるのがとても嬉しいんです」とタオちゃん。

 タオちゃんの近所の住人で、有志でタオちゃんに勉強を教えているリー・ティ・タイン・トゥイさんによると、現在タオちゃんは小学校3年生になり、各年の成績、学力も伸びてきているという。

 トゥイさんは、「練習を始めたころ、タオさんはとても大きい文字を書いていましたが、今では他の生徒と同じように小さい字もはっきりと書くことができるようになりました」と語る。さらにタオちゃんについて、身体には障害を持っていてもその活力は誰にも劣らないと強調する。

 小さな少女のバイタリティ、そして祖父母の病気を治すため、また貧しい人たちを助けるために医者になりたいという彼女の夢は、チョーさん夫婦にとっても孫に勉強に打ち込んでもらいたいと願う原動力になっている。 

[VnExpress 00:00 5/11/2018, A]
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