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[特集]

彫像になりきる「スタチューパフォーマンス」という仕事

2023/04/09 10:20 JST更新

(C) vnexpress
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 全身に色を塗り、長時間じっと立っているのは楽な仕事ではないが、収入が高いことから多くの若者がアルバイトとして「スタチューパフォーマンス」の仕事をしている。

 チャン・トゥエット・バンさん(女性・23歳)によると、パフォーマンスで施した全身のペイントが消えるまでに2~3日はかかるという。バンさんは以前、ファッションモデルが本業だったが、スタチューパフォーマンスがおもしろくなり、2018年にモデルの仕事を辞めた。

 「最初は、スタチューパフォーマンスは副業で、学費を稼ぐためのアルバイトだったんですが、徐々にハマってしまいました」とバンさん。今は会社員が本業だが、時間があるときはスタチューパフォーマンスの仕事も受けている。

 スタチューパフォーマンスは「生きた彫像」として全身にペイントを施して彫像になりきり、何時間も静止するという路上パフォーマンスで、ヨーロッパなどを中心に世界中で人気がある。ベトナムではまだ真新しく、新商品・新サービスの発表会や路上パフォーマンス、商業施設などで目にする。

 バンさんによると、彫像になりきるには、外見の美しさ、人目を引くこと、高い忍耐力が求められるほか、肌が塗料や化学物質に敏感でないことも必要だという。肌が敏感だと、ペイントをするとパフォーマンス中にかゆみが出たり、肌が赤くなったりしてじっと立っていることができなくなるからだ。

 バンさんは依頼主の要望に応じて主に少女やプリンセスに扮するが、「最も難しいのは、どうやって長時間身体を動かさずにいるか、そして扮したキャラクターの顔を保ったままでいるか、という点です」と語る。

 バンさんが初めてスタチューパフォーマンスの仕事をしたのは商業施設のオープニングイベントで、少女に扮してパフォーマンスに臨んだ。そのとき、小さな子供が駆け寄ってきて、バンさんの手をつねった。まだ経験の浅かったバンさんは驚いて手を振り払ってしまい、子供は母親のもとに走りながら「この像、動くよ」と言ったのだった。

 「それを聞いてつい笑い出しそうになりましたが、何とか我慢しました。アリに噛まれたり、蚊に刺されたり、虫が目に入ったりすることもよくありますが、それでもじっと立ったままです。動いてしまえば、観衆の驚きも興奮も失ってしまいますから。だから頑張って耐えなければならないんです」とバンさん。

 バンさんの1回のパフォーマンスは2~4時間で、観客を引き付けるため、30~45分ごとに姿勢を変える。最初のパフォーマンスの報酬は40万VND(約2230円)だったが、今は1回100万~200万VND(約5590~1万1200円)ほど。遠方に赴く場合は500万VND(約2万7900円)になることもある。

 バンさんにとって、多くの観客に好奇の目で見られるこの仕事は、収入や喜びだけでなく、忍耐力を与えてくれるのだという。「以前は誰かにからかわれるとすぐに腹を立てていたんですが、この仕事をしていると忍耐力がついて、何が起こっても落ち着いていられるようになりました」とバンさんは話す。

 チン・ハイ・ダンさん(男性・32歳)は、ホーチミン市でスタチューパフォーマンスのモデルのマネジメントを手掛けている。ダンさんによると、身体のトレーニングからアイデアの形成、造形、彫像への変身まで、あらゆる要求が厳しいため、あえてこの仕事をしようとする人はそうそういないのだという。

 ダンさんの話によると、ベトナムでは7年ほど前からスタチューパフォーマンスが知られるようになった。そこから多くのスタチューパフォーマンスのグループが生まれたが、あまりの厳しさから多くの人が去っていった。

 「今も定期的に活動しているのは、20人ほどいる私のグループのほか、スタチューパフォーマンスに情熱を捧げている若者グループくらいで、彼らはグエンフエ通りの歩行者天国で毎晩、フリーでパフォーマンスをしています」とダンさんは語る。

 「彫像」を造り上げるのにかかる時間は難易度によって異なるが、だいたい2~4時間はかかるため、モデルは忍耐強くなければならない。身体のペイントが完成したら、次は髪の毛をセットする。ウィッグを使わないことが多いため、髪の毛にカラースプレーを直接吹き付けて髪型を整える。

 さらに、小道具の準備にも2~3日、ときには1週間かかる。「自分で生地を買って衣装を作ることもありますが、クリエイティブさが必要なレパートリーや、たくさんのモデルが出演するイベントなどのときは、発注することもあります」とダンさん。

 疲労に髪や肌のダメージなど、モデルは様々な苦労に耐えなければならない。それでも、ダンさんは常に自分自身、そして仲間たちが安全に活動していける方法を模索している。

 そしてダンさんはこう語った。「パフォーマンスが終わるたび、家に帰ると脚は疲れ果て、全身が痛くて、もうやらないぞ、と思うんです。でもぐっすり寝ると自然とさわやかな気持ちで目覚め、パフォーマンスを続けていこうというモチベーションが生まれるんです」。 

[VnExpress 06:30 23/03/2023, A]
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