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[経済]

中秋節の月餅市場、かつてないほど低迷 嗜好は伝統回帰

2025/10/02 15:23 JST更新

(C) thanhnien
(C) thanhnien
 まもなく中秋節(旧暦8月15日、2025年は新暦10月6日)を迎えるが、ハノイ市の月餅市場は極めて低迷している。販売屋台は数多く立ち並ぶが、客足はまばらだ。

 2025年のハノイ市の月餅市場は、原材料や包装コストの上昇から販売価格が+5〜10%上昇している。

 販売価格は、フウギ(Huu Nghi)製は1個(150g)5万8000〜11万5000VND(約330~650円)、キンド(Kinh Do)製は同6万〜9万9000VND(約340~560円)などだ。

 伝統的な商品に加え、各メーカーはフカヒレ、ツバメの巣、ロブスター、タラバガニ、タピオカミルクティー、クランベリーヨーグルト、雪見もちなどの高級品をラインナップし、こういった高級品は販売価格が1個(210g)10万2000〜12万2000VND(約580~690円)などとなっている。

 しかし、商品の種類は豊富にもかかわらず、購買意欲は極めて低い。例年であれば旧暦7月15日頃から街頭に販売屋台が並ぶが、今年は各社とも出店が遅れた。

 タインニャン(Thanh Nhan)通りの屋台の販売員によれば、8月末に屋台を開いたものの、1か月近く経っても売上は上がらない。「1日数十個しか売れません。旧暦15日と30日の前には100個以上売れることもありますが、ほとんどが個人客です。会社の贈答用の箱注文は少ないです」と話す。

 この販売員によると、消費者は依然として伝統的な月餅を好んでおり、アワビやローストチキン塩卵といった高級餡はあまり選ばれない。一方で若い客層にはチョコレートや抹茶といった新しい餡が人気だという。

 タイハー(Thai Ha)通りで10年以上にわたり月餅屋台を出している人は、「今年ほど不振が長引いている年はありません。中秋が近いのに本当に寂しい状況です。例年ならこの時期には買う人がどっと増えるのですが…」と嘆く。

 かつて市場を席巻し、工場で作られる大量生産品を圧倒した「手作り月餅」も今年は苦しい。3D装飾を施したもの、冷たい月餅、タピオカミルクティー月餅など、かつての人気商品はもう関心を持たれていない。

 手作り月餅は今年、主な販路だったオンラインやご近所界隈からも姿を消している。ハドン街区の集合住宅でオンライン販売する人は、「例年ならシーズンを通して手作り月餅を1000個近く仕入れていましたが、今年は問い合わせがありません。消費者は新しさを好む傾向がありますが、新鮮味がなくなると結局は伝統的な月餅に戻るのだと思います」と話した。

 月餅の不振について、食品技術専門家のグエン・ズイ・ティン准教授は、「経済が厳しく、消費者は日々の生活に追われ、以前のように贈答品を気前よく買う余裕がなくなっており、お供え物や家族用に数個買う程度になっている」と分析する。

 店頭の客足が鈍いのは、ショッピーモール(Shopee Mall)やティックトックショップ(TikTok Shop)、インフルエンサーによるライブ配信など、オンライン販売チャネルが急成長し、自宅にいながら配送を受けられるようになったことも影響しているようだ。

 また、手作り月餅が敬遠される理由としては、消費者が食品衛生、安全性、原産地やラベル表示に不安を抱いていることも考えられる。 

[Thanh Nien 05:00 26/09/2025, F]
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