主要上場企業30社の7〜9月決算、銀行と証券が牽引　利益の質改善 [経済]

　VN30インデックスを構成する主要上場企業30社の2025年7～9月財務諸表では、同期の売上高合計が前年同期を上回ったものの、前年10～12月のピークには届かなかった。一方、税引後利益合計は前期比でわずかに減少したものの、銀行や証券、エネルギー分野の好調により、本業の収益力は着実に改善した。金融を中心とした安定成長に加え、製造業や小売業にも回復の兆しが見え始めている。

　同期の30社の売上高合計は前年同期比+3.2％増の475兆8900億VND(約2兆7700億円)、税引後利益合計は同+16.6％増の95兆6220億VND(約5600億円)となった。

銀行セクター、利益の主力に

　銀行業は依然として利益全体を支える柱となった。VN30インデックスを構成する商業銀行14行の税引後利益の合計は、前年同期比+21％増の63兆7780億VND(約3700億円)となり、30社の利益全体の67％を占めた。

　ベトコムバンク[VCB](Vietcombank)は税引後利益が同+5.3％増の9兆0260億VND(約520億円)となり、主要上場企業30社中で最も高い水準だった。

　VPバンク[VPB](VPBank)の税引後利益は同+79％増、ヴィエティンバンク[CTG](Vietinbank)は同+64％増と大幅に伸びた。

売上高はSSIとエネルギー関連がけん引

　SSI証券[SSI](SSI Securities)は、営業収益が前年同期の2.06倍に拡大し、株式市場の取引活発化と自己勘定取引の好調が寄与した。

　ペトロベトナムガス[GAS](PV Gas)は同+41％増、ペトロリメックス[PLX](Petrolimex)も同+30％増と堅調で、資源・エネルギー分野の回復を示した。一方で、消費関連や不動産の一部は依然として低水準にとどまったが、全体としては上向きのトレンドが維持されている。

利益は広範に改善、非金融分野にも回復の兆し

　税引後利益は幅広い業種で回復が進んだ。◇PLX(5.4倍)、◇ベトナムゴム工業グループ[GVR](Vietnam Rubber Group、+95％)、◇SSI(+86％)、◇VPB(+79％)、◇CTG(+64％)、◇ビンコムリテール[VRE](Vincom Retail、+52％)などが大幅な増益を達成した。

　金融のほか、素材、流通、小売などでも利益率の改善が進み、2024年に落ち込んだ収益が回復基調に転じている。

第4四半期の見通し

　10～12月は貸出需要や年末商戦の活発化が見込まれ、銀行および小売・消費セクターが業績を押し上げるとみられる。エネルギー関連も原油価格の高止まりを追い風に堅調を維持する見通しだ。ただし、為替や金利の変動、不動産市場の停滞といったリスク要因も残っており、企業業績の二極化が一段と進む可能性がある。

＜2019年～2025年四半期別の主要上場企業30社の売上高/利益合計＞

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主要上場企業30社の7～9月決算、銀行と証券が牽引 利益の質改善

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