[法律]
7月施行の新規定23本、外国人の労働組合加入など
2025/07/08 15:47 JST更新
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7月に施行される新規定・法律23本をまとめて紹介する。
1.改正労働組合法:外国人も労働組合に加入可能に
改正労働組合法(7月1日施行)では、ベトナムで12か月以上働いている外国人労働者に、労働組合に加入することを認める条項が新たに盛り込まれている。ただし、外国人は労働組合を設立し、労働組合の役員を務めることは認められない。
2.改正VAT法:個人事業主に対するVATの課税所得基準を引き上げ
改正付加価値税(VAT)法(2025年7月1日施行、一部条項は2026年1月1日施行) では、年間所得額が2億VND(約110万円)以下の個人事業主が取り扱う商品・サービスに対し、VATを免除すると規定している。これにより、個人事業主に対するVATの課税所得基準となる年間所得額は従来の1億VND(約55万円)から2倍に引き上げられることになった。
3.社会保険法:加入対象者を拡大
社会保険法(7月1日施行)では、社会保険の加入対象者が拡大される。個人事業主も強制社会保険の加入対象となる。ベトナムで働く外国人労働者は、12か月以上の有期限労働契約に基づき、ベトナム国内の雇用主のもとで就労する場合、強制社会保険の加入対象とする(一部の場合を除く)。なお、年金を受け取るために必要な最低加入期間は従来の20年から15年に短縮される。
4.医療保険法の一部を改正・補足する法律:医療保険の給付範囲を拡大
医療保険法の一部を改正・補足する法律(7月1日施行)では、医療保険加入者、保険料納付責任、かかりつけ医登録、医療施設間の患者の搬送、医療保険の給付率などに関する条項が改正された。希少疾患や重篤な疾患の場合は、地域レベルの医療施設ではなく、より高いレベルの専門病院を受診することが認められる。また、18歳未満の未成年者の斜視や屈折異常の治療を給付対象とするなど、医療保険の給付範囲も拡大されている。
5.薬事法の一部を改正・補足する法律:EC経由の医薬品販売を許可
薬事法の一部を改正・補足する法律(2025年7月1日施行、一部条項は2025年1月1日施行)では、電子商取引(eコマース=EC)プラットフォーム経由の医薬品販売を認める規定が新たに盛り込まれた。医薬品の小売業者は、処方箋が不要で、なおかつ特別管理医薬品や小売制限リストに含まれない医薬品について、ECプラットフォームを経由して販売することができる。
6.企業法の一部を改正・補足する法律:企業法を具体化・明確化
企業法の一部を改正・補足する法律(7月1日施行)では、一部条項を改正・補足する形で、企業法を具体化・明確化している。企業の法的代表者は、代表者としての責任に違反し企業に損害を与えた場合、法律の規定に従って個人として責任を負う。
7.改正予算法:政府の権限を拡大
改正予算法(7月1日施行)では、予算案の立案・調整における政府の権限を拡大する。国会は、借入総額と財政赤字の増加が発生した場合にのみ、国家予算案の全体的な調整を決定する。同法は2026年度予算から適用される。科学技術・イノベーション・デジタル転換の分野における国家予算案の編成と執行、省・市レベルと村レベルでの予算配分の規定は、2025年7月1日に施行される。
8.改正監査法:検査の強化・明確化・実効性を向上
改正監査法(7月1日施行)では、監査機関の体系が「政府監査」と「省・市監査」の2層構造となる。検査官、検査対象、手続き、検査結果の公表、他機関との連携など、検査活動の全体像が大幅に強化・明確化されている。
9.8法改正法:BOT事業への救済や0%VATの維持など規定
8法改正法(7月1日施行)では、◇入札法、◇官民連携(PPP)投資法、◇税関法、◇付加価値税法、◇輸出入税法、◇投資法、◇公共投資法、◇公的資産管理使用法の一部を改正・補足している。BOT(建設・運営・譲渡)事業の問題解決策や輸出向けの国内販売の0%VATの明文化、地方への投資承認の分権強化など、経済・行政の迅速化・効率化を後押しするための条項が盛り込まれている。
10.刑事法の一部を改正・補足する法律:8つの罪で死刑廃止
刑事法の一部を改正・補足する法律(7月1日施行)では、◇反政府活動の罪、◇国家の物理的・技術的インフラ破壊の罪、◇偽造医薬品の密造・密売罪、◇違法薬物の密輸罪、◇平和破壊と侵略戦争を起こした罪、◇スパイ罪、◇資産横領罪、◇収賄罪の8種類の罪について死刑が廃止された。
11.国籍法の一部を改正・補足する法律:国籍取得条件緩和
国籍法の一部を改正・補足する法律(7月1日施行)では、外国人が「ベトナムの憲法・法律・文化・慣習を尊重すること」、「ベトナム語ができること」、「5年以上ベトナムに居住していること」などの条件を満たせば、ベトナム国籍の取得が可能となると規定している。特に、ベトナム国籍の配偶者・子供・父母がいる者、または特別な功績がある者に対しては、多くの条件が免除される。また、外国籍の留保についても、家族がベトナム国籍を持っている場合や国家主席の承認がある場合など、一定の条件の下で認められる。国籍を取得する際に、ベトナム名と外国名の併記も可能となる。
12.改正人身売買防止法:被害者保護や責任など規定
改正人身売買防止法(7月1日施行)では、◇人身売買の防止・摘発・処分、◇被害者の保護、◇人身売買の防止における国家管理と機関・組織・家族・個人の責任などに関する規定が盛り込まれている。
13.改正文化遺産法:文化遺産の管理・保護・活用など規定
改正文化遺産法(7月1日施行)では、文化遺産の管理や保護、活用や、これらの活動を行う機関や組織、個人などの権利や義務などについて規定している。ベトナム領土内にある国内または外国由来のすべての文化遺産は、同法およびその他の関連法の規定に従って管理・保護・活用される。文化遺産の管理・保護・活用は、全ての機関・組織・コミュニティ・個人の権利・義務・責任となる。
14.人民防空法:無人機の飛行体の管理など規定
人民防空法(7月1日施行)では、人民防空の原則・任務・部隊・活動、無人機やその他の飛行体の管理、防空安全、人民防空に対する機関や組織・企業・個人のリソース・体制・政策・権利・義務・責任などを規定している。
15.改正行政処分法:罰金引き上げ
改正行政処分法(7月1日施行)では、違反行為の行政処分の罰金を引き上げる。行政処分の時効に関する規定も一部改正・補足されている。
16.改正公証法:公証手続きなど規定
改正公証法(7月1日施行)では、公証人や公証組織、公証業務、公証手続き、公証の国家管理などを規定している。
17.都市農村計画法:都市・農村計画制度など規定
都市農村計画法(7月1日施行)では、都市・農村計画制度、都市・農村計画の立案・審査・承認・見直し・調整・管理、都市・農村計画の国家管理などを規定している。
18.憲法改正の国会決議:地方自治体を2層構造に移行
憲法の一部条項を改正・補足する国会決議によると、地方自治体は6月30日をもって郡レベルの行政区(省・中央直轄市傘下の市、区=quan、郡=huyen、町=thi xa)を廃止し、7月1日より従来の3層構造から、◇省・中央直轄市レベル、◇村レベルの行政区(街区=phuong、村=xa、特区=dac khu)の2層構造に移行する。特別な行政・経済区は国会が設立する。
19.
省・市再編の国会決議:63省・市から34省・市へ
全国63省・市の行政区を大幅に削減して34省・市とする
行政区再編に関する国会決議によると、合併により再編される新たな省・市は、7月1日から新体制に移行する。
20.ハイフォン市自由貿易区の国会決議:設立と特別政策
北部紅河デルタ地方ハイフォン市自由貿易区(FTZ)の設立と、それに伴う特別政策を盛り込んだ
国会決議(7月1日施行)によると、同FTZでは、投資、金融、貿易、観光、研究開発(R&D)分野への事業誘致を目的とした試験的制度が導入される。FTZ内では、投資登録証の取得手続きが免除されるほか、土地・水面(商業目的・住宅開発目的を除く)の使用料が免除されるなど、多くの優遇措置が適用される。FTZ内で就労する専門家、科学者、特別な才能を有する者や高度人材に対しては、個人所得税が10年間にわたり50%軽減される。
21.外国人の労働許可証を地方自治体に完全移管
内務分野の国家管理における分権を規定する
政令第128号/2025/ND-CP(7月1日施行)によると、施行日以降は省・市レベルの人民委員会主席が、外国人労働者に対する労働許可証(ワークパーミット)の新規発行や再発行、延長の手続きなどの全権を有することとなる。これにより、内務省に合併された旧労働傷病兵社会省が担ってきた手続きが地方自治体に完全に移管される。
22.P2P融資で3種類のサービスの試行が可能に
フィンテック(ITを活用した金融サービス)に関するサンドボックス制度を規定する
政令第94号/2025/ND-CP(7月1日施行)によると、試行事業に参加できるのは、ベトナム国家銀行(中央銀行)が参加を許可したフィンテック企業、信用機関・海外銀行支店となる。また、◇信用スコアリング、◇オープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じたデータ共有、◇ITを活用して貸主と借主をつなぎ、消費者ローンを仲介するP2P(Peer to Peer=ピア・トゥ・ピア)融資サービスの3種類のサービスについて、試行が認められる。
23.バイクの初回登録料を一律2%に統一
登録料を規定する
政令第10号/2022/ND-CPの一部を改正・補足する政令第175号/2025/ND-CP(7月1日施行)によると、バイクの初回登録料が全国一律で2.0%となる。また、2回目以降の登録料は1.0%に設定されている。中央直轄市と各省の省都以外の地域では、バイクの初回登録料は2.0%だった。一方、中央直轄市と各省の省都では、例外として5.0%に設定されていた。
[Luat Vietnam 13:00 27/06/2025, 08:06 01/07/2025, A]
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