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[社会]

ホーチミン:中央郵便局で働く最後の現役代筆屋

2012/07/14 07:52 JST更新

(C)Thanh nien,DT、代筆屋のゴさん
(C)Thanh nien,DT、代筆屋のゴさん
 喧騒の街のホーチミン市で、穏やかで人情味あふれる仕事をしている人がいる。それは今年82歳になるズオン・バン・ゴさんで、ベトナムで最も長い間、代筆屋をしている人物として、2009年にベトナム版ギネスブックのベトナム・ブック・オブ・レコーズセンターに認定された。ゴさんはホーチミン市中央郵便局で、「案内係兼代筆屋」の看板を掲げて今も働いている。タイニエン紙(電子版)が報じた。  ゴさんはフランス植民地時代に学校でフランス語を学び、1946年の16歳の時にティゲー郵便局に就職した。2年後にサイゴン郵便局(現在のホーチミン市中央郵便局)に移り、秘書として働いた。36歳の時には、語学力の高さを買われて、郵便局からの代表として英語学校の受講者に選ばれた。ここで英語も習得したという。  1990年に定年を迎えたが、引き続き郵便局内での仕事を希望し、代筆屋の仕事をするようになった。「以前は郵便局の外で代筆屋をする人が数人いたが、みんな亡くなってしまい今では私だけになってしまった。私が最後の代筆屋になるだろう」。ゴさんはそう言って笑った。  代筆する手紙はラブレター、挨拶状、ビジネスレターなど様々で、それぞれ相手の要求に合わせて適切な言葉を選びながら書くのがゴさんの方針だ。もちろん秘密は厳守する。ゴさんの代筆したラブレターで、遠距離恋愛を成就させたカップルもいるという。  ずいぶん前の話だが、英国人女性から頼まれて英語の手紙をベトナム語に翻訳したことがある。ハノイに住むベトナム人の友人への愛情にあふれた手紙で、ゴさんはそれにいたく感動して代筆料金を受け取らなかった。  しばらくしてゴさんは、帰国した英国人女性からベトナムへの暖かい思いを綴った長い手紙を受け取った。ゴさんにとって、それは「どんなにお金を出しても買うことができない貴重な手紙」となっている。 

[Thanh nien online,04/07/2012 3:52,O ]
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