汚職告発記事で新聞社の編集長解任、国の誹謗中傷などで立件へ [政治]

　公安省治安捜査局は9日、グオイカオトゥオイ(Nguoi Cao Tuoi、「高齢者」)新聞社が掲載した一連の記事の内容が「自由と民主主義を乱用し、国・組織・個人の合法的な権利を侵害」し、刑法第258条に触れた疑いで、刑事事件として立件することを明らかにした。　　情報通信省は同日午前、同新聞社のドメインネーム「www.nguoicaotuoi.org.vn」を回収し、同新聞社のキム・クオック・ホア編集長の取材許可証を取り下げた。更に、同新聞社を所管するベトナム高齢者協会に対し、ホア編集長を解任するよう要請した。ホア編集長の逮捕については現在のところ不明だが、刑法第258条の量刑は最大7年と規定されている。　同省はこれに先立ち、同新聞社の調査を行ったところ、同新聞社が掲載した11本の記事に「自由と民主主義を乱用し、国・組織・個人の合法的な権利を侵害」し、「国の機密情報を漏洩」し、「事実無根の情報を元に不適切なコメントを表明して組織・個人を誹謗中傷」するなどの内容が含まれているとして、公安省に捜査協力を求めていた。　同新聞社は、地方自治体レベル・中央政府レベルを問わず、腐敗や汚職、違法な土地収用の告発を中心にコンテンツ制作を展開している。これまでに数千件にも上る事件を告発しており、数々の敵を作っている。　同新聞社が告発した大事件として、◇東北部ハザン省人民委員会グエン・チュオン・トー元主席の未成年者との性交渉、◇ダン・ティ・ホアン・イエン元国会議員(タンタオ不動産株式会社会長) の履歴詐称、◇政府調査機関のチャン・バン・チュエン元長官への違法な公的住宅配分などが挙げられる。　ホア編集長はハノイ市フースエン郡出身、1945年生まれの70歳。ベトナム戦争時代の従軍記者として記事を執筆し始めた。トゥオイチェートゥードー(Tuoi Tre Thu Do、「首都青年」)、ラオドンサーホイ(Lao Dong Xa Hoi、「労働社会」)、サイズン(Xay Dung、「建設」)など名だたる新聞社の編集長を歴任し、2007年より共産党傘下のベトナム祖国戦線の一角、ベトナム高齢者協会が所管するグオイカオトゥオイ新聞社の編集長に就いている。

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