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[社会]

中秋の風物詩、月餅の木枠作りが消滅の危機

2019/08/24 06:16 JST更新

(C) cand
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 今年の中秋節は9月13日(旧暦8月15日)だが、中秋節と聞いてまず思い浮かぶのは月餅(げっぺい)だろう。ハノイ市トゥオンティン郡ティエンフォン村(xa Tien Phong, huyen Thuong Tin)はかつて月餅の木枠作りの村として知られ、家業として代々、木枠作りが受け継がれてきた。

 時代の流れと共に多くの家が木枠作りを廃業する中で、チャン・バン・バンさん一家は月餅の木枠を作り続けて40年近くになる。仕入れた木材の表皮をはがし表面を滑らかにした後に、注文通りのサイズとデザインに彫り上げていく。

 木枠にはかつてカバイロクロガキ材が使われていたが、現在では入手困難になったことから、バンさん一家は計画伐採された街路樹のマホガニーを使っている。

 成型には金型が使われていたが、現在はドリルで木材に穴を開けてから切断して時間短縮がなされている。完成した木枠は月餅に模した粘土で埋めて彫りの仕上がりを確認する。そして最後はポリッシャーで念入りに磨きをかけて表面を滑らかにする。

 木枠の価格は1個15万~30万VND(約690~1390円)で、1シーズンに数百個を出荷するという。売上高はそれなりの額になるが、木材の仕入れや電気代、さらに手間ひまを考えると、さほどの利益にはならない。このため、現代の若者は木枠作りから離れてしまっている。美しく繊細な木枠作りは、その伝統工芸の灯が消えてしまう危機に直面している。 

[CAND 11:13 14/08/2019, T]
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