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[特集]

捨てられた果物の行方 (4)

2004/07/19 10:34 JST更新

捨てられた果物の行方 (3) より続く  私はわざとちょっと難しい顔をして“まけてよー、昨日は1キロ4000ドンで買ったんだから”というとその女性は“よく見てみなよ。私の商品は保証つきなんだから、とっても甘いんだよ”といいながらまだ見た目はとても新鮮そうなみかんを私に差し出しさらに続けた。“私は卸売り市場まで出かけて買ってるからこの値段で売れるんだよ”と安く売れるもっともらしい理由を空言のように言いながら、その手はすばやくみかんをつかみナイロン袋に入れていた。  女性はMien Dongバスターミナルを後にするとThanh Da集合住宅に向かい続いてBach Dang波止場に向かうともう午後5時を回っており、そのころには運搬用三輪車に載せていた20キロ余りの果物をほぼ売り切っていた。考えてみれば1日中彼女の後ろを私は追いつづけていた、市内の狭い路地をいくつも入り30人のお客がこの女性の果物を買っていった、多い時には3キロ、少ない時には子供たちに1個500ドンで売っていた。私は果物を買った人たちにこれがどこでとれたものかを聞いてみたが皆一様に知らないと答え、私が今朝見た光景を話しても信じようとはしなかった。  私がその話をするとThanh Da集合住宅のHong Oanhさんに至っては皮を剥いた中が少しやわらかいみかんを私に差し出しこう言った“中国からの果物だったらここまで運ばれてくるまでに柔らかくなったり、乾いてしまったりすることは別におかしい事じゃないよ。だってこうやって食べられるんだもの、そんな話はどっかよその話だよ、ここではそんなことあるわけないよ”と信じず、全く気にも留めていない様子だった。  午後6時、果物売りの女性は再びThu Duc区に戻り始め、国道13号線沿いの工場前で最後の果物を売り終えると、再びGo Dua通りに入ってゆき朝のゴミ捨て場にたどり着いた。そこでこの女性はまた竹編み籠に果物を載せ、今度は長屋のある地区に向かって再びペダルをこいでいった。  この場所はここ数ヶ月の間に近くにある果物倉庫から果物が運ばれ捨てられるようになり自然発生的にできた管理する者のいないゴミ捨て場である。この近くに住むMoiさんは、ただで仕入れたものを売っておいて後のことは全く考えてない、この果物を買う人々のほとんどはお金のない低所得者や工員、または道で遊んでいる子どもたちだが、騙された人々はゴミを食べさせられているようなもんだよ”と憤っていた。<終>  

[Tuoi Tre]
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