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ラオス南部の都市パークセーで活躍するベトナム人経営者といえば、ダン・ティ・リー(ラオスではナリと呼ばれている)を外すわけにはいかない。彼女が社長を務めるナリーン・タチャルーン社は、ラオスの建設・建設資材業界ではよく名を知られている。 柔和な雰囲気、おっとりとした話し方、リーに初めて会う人は皆、彼女のことをきっと苦労もなく順調な人生を送ってきた人だと思うだろう。しかしそうではない。彼女はラオス・チャンパーサック県の貧しいベトナム人家庭に生まれた。当時ラオスにはたくさんのベトナム人労働者が職を求めて移住してきており、彼女の家族もその一員だった。 「勉強なんてできなかったわ。8人も兄弟がいたんですもの。家族が食べるために稼がなければいけないでしょう。16歳の時、父が革命に参加して捕らえられ、サイゴンに帰ったの。それで、両親がベトナムで暮らすための家を買うために働いた。兄弟たちが成長してしまってから、やっと自分が家庭を持つことについて考えられるようになったのよ」 8年前に設立したナリーン・タチャルーン社は、ベトナム中部の建設資材会社から主に製品を仕入れ、カンボジアやタイの業者とも取引している。リーはパークセー市の「有能なビジネスウーマン」に選ばれたこともある。ラオス南部の各地方への建設資材の供給や不動産経営などの手腕が認められたのだ。彼女は笑ってこう言う。「何人もの実業家が、ゴムの木を植えるから土地を貸してくれと言ってきたわ。でも、家を建てるからといってお断りしたの」 8人の子どもたちはもう大きくなっている。7番目の息子が母の会社を継ぐといっているが、その他の子どもたちは、それぞれの道に進んでいる。彼女は仕事がどんなに忙しくても、子どもたちとベトナム語で話すよう努めたという。「祖母はベトナム生まれ。私たち兄弟はラオスで生まれたけれど、みんなベトナム語を話せるわ。子どもたちもそう。どんなときでも、祖国の言葉を忘れてはいけないの」 夫のダン・レーはこう振り返る。「チャンパーサック県の越僑会とベトナム総領事館が小学校を建設しようとしたことがあった。しかし資金が集まるまでは、誰もこの案件に手をつけようとしなかった。そのときリーは、自分の資金を融通することにしたんだ」。リーは「お金のことは後で考えればいい。子どもたちにはベトナム語を勉強させないといけないから」と、自らは20トンのセメントを寄付し、数社のタイ企業を説得して支援を取り付けた。 最後にレーはこう語った。「彼女に限らず、ラオスに昔から住んでいるベトナム人は男性より女性のほうがしっかりしている。ベトナム人女性は痛みや困難に耐え、家庭を切り盛りする才能を持っているからね」
[2007年7月8日 Tuoi Tre 電子版]
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