[特集]
トゥーティエムフェリーが運航停止、静かな最後の日々
2012/01/08 08:17 JST更新
(C)Ngguoi lao dong,Tan Thanh |
ホーチミン市の1区と2区を結ぶトゥーティエムフェリーが、1日午前0時をもってその歴史に幕を閉じた。昨年12月下旬には乗客もまばらで、かつての賑やかだった空間は静けさに包まれていた。フェリーの最後の日々の様子をレポートする。
2区に住むゴック・クインさんは「トゥーティエムフェリーをこの10年近く利用していました。いつも徒歩か自転車なので、これからはトゥーティエム橋まで回らないといけなくなります。サイゴン川トンネルは自転車の通行が禁止されていますから」と寂しげに語った。
乗客の中には長年の顧客の他に、記念写真を撮りに初めて乗船したという人もいる。ビンタイン区在住のブイ・ミン・ゴックさんは、時々サイゴン川のバクダン公園に立ち寄るたびにフェリーを目にしていたが、乗ったことは一度もなかったという。この日、2回往復したというゴックさんは「なんとも残念な気持ちです。もう1回往復して写真を撮るつもりです」と話した。
フェリーの乗客数は、2区とビンタイン区を結ぶトゥーティエム橋が開通してから大きく減少し、1区と2区を結ぶサイゴン川トンネルが昨年11月に開通してさらに減少した。以前は1日当たり8000人以上、最高で4万5000人の利用客がいたこともあったが、トンネル開通後は3500人にまで落ち込んだ。
フェリーやフェリー乗り場で働いていた44人の職員の中には、勤続20年以上というベテランも多い。それぞれが残念な思いを口にした。乗客から叱責を受けたことも、今では懐かしい思い出だ。勤続36年のニャンさんは「フェリーの最後が近づいて、乗客が声をかけてくれます。まるで家族のように今後のことを心配してくれて、とても幸せな気持ちです」と語った。
フェリーの職員らは退職する人以外、次の配属先が確保されている。しかし乗り場周辺で屋台やバイクタクシーを営業している人にとっては、フェリーの運航停止は死活問題だ。屋台で飲み物を販売していたクックさんは「売上高は既に以前の5分の1以下にまで落ちています。フェリーが止まった後、どうやって稼いだらいいのか分かりません」と頭を悩ませている。
トゥーティエムフェリーは静かに幕を閉じた。フェリーはその与えられた歴史的使命を完遂し、ホーチミン市の建設と発展に大きな貢献をしたと言えるだろう。
[Nguoi lao dong online, 31/12/2011 22:20, O ]
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