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[特集]

祖母と2人、廃品集めで生きぬく少女

2013/05/19 07:43 JST更新

(C)VN Express, 夜勉強するチャー・ミー
(C)VN Express, 夜勉強するチャー・ミー
 北中部タインホア省ドンソン地区に祖母のレ・ティ・トアさんと二人で暮らす10歳の少女がいる。彼女の名前はチャー・ミー。彼女は幼いときに両親を亡くした孤児だが、学校では成績が優秀な生徒だ。  祖母のトアさんによると、チャー・ミーを引き取ったとき、トアさんはすでに高齢で身寄りもいなかったため、物乞いをして孫を育てるしかなかった。チャー・ミーが少し大きくなると、彼女は孫を1人家に残して廃品を集めに行くようになった。  その後、チャー・ミーもトアさんと一緒に米を買うための廃品を集めに出かけるようになっていったが、廃品集めをしても一銭にもならならず、近所の人たちの世話になる日もあった。チャー・ミーは、祖母の愛情や近所の人たちの助けで成長していった。  「孫が小さかった頃は、お母さんはおまえがいい子にしていたらいつか帰ってきてくれるよ、と言い聞かせていました。大きくなって色々理解ができるようになると、ますます私の言うことをよく聞いて、勉強するようになりました」とトアさんはチャー・ミーの思い出を語った。  廃品を売って得られる金額は1日だいたい5000ドン(約24円)から7000ドン(約34円)ほど。トアさんはそれで米を買い、残った金でチャー・ミーの本や文房具などを買う。トアさんの家には電気がなく、ランプやろうそくを使っている。あるときトアさんが、チャー・ミーが勉強しやすいよう電気を引こうと言うと、チャー・ミーは「勉強するのはろうそくで十分。お米を買うのにとっておいて」と断ったという。

 苦労しているせいか、他の同年代の子に比べて大人びて見えるチャー・ミーは、いつも朝早く起きして授業の復習をし、夜は薄暗い部屋で翌日の予習をする。その甲斐あって、彼女は学校で3年連続して優秀な学生として表彰された。  そんな学業優秀なチャー・ミーは、「将来は学校の先生になりたいです。私と同じようにお父さんやお母さんを亡くした子供たちのために」と将来の夢を語った。だが、ふいに不安がよぎったかのようにこう呟いた。「もしおばあさんが年を取って死んでしまったら、いったい誰が私を養ってくれるの?」  それを聞いたトアさんは、「この子は両親の愛情を知らずに育ったので、私がその分頑張ってきました。でも、私はもう年で、あとどれくらい生きれるかわかりません。今は貧しくても二人で何とかやっていけますが、私が死んだらこの子はどうなるのでしょう」と言って、泣き出した。  ドンソン地区の幹部職員レ・ティ・テムさんによると、トアさんとチャー・ミーが何年も路上の廃品を集めて生計を立ている境遇を考慮しても、2人が受けられる助成制度はベトナムにはないという。今チャー・ミーには、国から支給される毎月18万ドン(約880円)の孤児手当てしかない。 

[Lê Hoàng, VNExpress, 24/1/2013, 09:24 GMT+7, K ]
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