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[特集]

テトの風物詩、「うまい、きれい、はやい」のバインチュン作り名人を訪ねて

2015/02/15 06:36 JST更新

(C) dantri バインチュン作りの様子
(C) dantri バインチュン作りの様子
(C) dantri バインチュン作りの様子
(C) dantri バインチュン作りの様子
 2月19日のテト(旧正月)がいよいよ間近に迫る中、テトに欠かせない「バインチュン(banh chung、ちまき)」の需要が最高潮に達しており、バインチュン製造業者は作業に追われている。ハノイ市クオックオアイ町で、数十年もの間バインチュンを製造しているバインチュン作りの名人、ブイ・バン・スアンさん(男性・56歳)を訪ね、作る様子を見学させてもらった。  バインチュンは、餅米と緑豆餡、豚肉をラーゾン(クズウコン科のフリニウム・プラケンタリウム)の葉で四角形に包み、半日かけて茹でたもの。茹でる時間も長く、ラーゾンの葉にも殺菌作用があり、常温でも長持ちするため、テト用の食品として最も適している。  スアンさんの家族は旧暦7月(新暦7~8月ごろ)からテトにかけて、バインチュン作りで生計を立てている。普段は1日当たり約1000個を出荷するが、テトの時期になると出荷量は1300~1500個に急増するため、一家総動員で手分けして作らなければ到底間に合わない。  スアンさん一家は全員がなんと1分に1個のペースで、1時間に60個ものバインチュンを包むことができる。しかも型など使わずに、きれいな四角形に包み上げる腕前を持っている。

 スアンさんによると、バインチュンの美味しさの明暗を分けるポイントは、もち米の粘り具合と緑豆餡の口当たりの良さ、豚肉の脂肪分、そしてラーゾンの葉の香りの良さだという。完璧なバインチュンを作るには、材料選びにはじまりいくつもの段階を経なければならない。  材料選びと加工のポイントは以下の通り。 ◇ラーゾン:緑色で滑らかな破れていないものを選び、具材を巻く1~2日前によく洗って乾かしておく。具材を巻く直前にももう一度きれいに拭く。
◇もち米:茹でたときに硬くならないよう一晩以上水に浸してから、よく洗って、風味を加える。
◇豚肉:買い手の要求に応じて選ぶが、主に脂肪分の多いばら肉を使う。豚肉は予めさっと火を通しておけば長持ちする。その後、適量の塩と胡椒で味付けをする。
◇緑豆:一晩以上水に浸しておき、よく洗ってから茹でて、少量の塩を加える。  そして、バインチュンの茹で方も重要だ。鍋底に葉を敷き、バインチュンの面から約20cmの高さまで水を注ぐ。茹でる途中で水が減ってきたら適宜注ぎ足すことで、バインチュンにしっかりと火が通る。茹で時間は12時間。じっくりと茹でて、おいしいバインチュンができ上がる。

 お供え物のバインチュンの大きさは20cmぐらいが一般的だが、家庭で食べるものは10~20cmぐらいの大きさが好まれる。値段はサイズによって異なり、スアンさんのところでは1個5000~3万VND(約28.2~169円)ほどで販売している。  バインチュン作りという商売についてスアンさんは、「不良業者がバインチュンの茹で時間を短縮するために茹で湯に乾電池を入れているという噂が流れたことで、うちのバインチュンについて疑いの目で見る人もいました。でも、バインチュン作りは我々の生涯の仕事。だから絶対にそのような真似はしません」と話した。  スアンさんの甥、ブイ・バン・タイさん(23歳)は、「バインチュン作りは本当に大変で、もう辞めたいと思う時もあります。でも、先祖から受け継いできた伝統だから続けたいという気持ちもあって、結局辞めることなんてできないんです。それに自分たちがベトナムの伝統を守っているという自負もあるので、鼻も高いんですよ」とバインチュン作りの喜びを生き生きと語った。 

[Gia Chinh - Thai Ha, Dan Tri, 11:35 (GMT+7) 21/01/2015, A]
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