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[特集]

大統領官邸に突入した2台の戦車と南部解放40周年

2015/04/26 07:16 JST更新

(C)VnExpress,H.P、官邸一番乗りの390号戦車
(C)VnExpress,H.P、官邸一番乗りの390号戦車
 今から40年前の1975年4月30日のベトナム戦争終結時、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落した。その時の2台の戦車、中国製T59式戦車「390号」とソ連製T54B式戦車「843号」は2012年に国宝に指定された。  現在、390号戦車はハノイ市カウザイ区ホアンクオックベト通りの戦車・装甲車博物館に展示されているが、今でもエンジンがかかり活動できる状態にある。一方、ハノイ市バーディン区ディエンビエンフー通りのベトナム軍事歴史博物館に展示されている843号戦車は、老朽化しもはや動かすことができない。  2台の戦車が突入した時の映像は、フランスの女性記者が撮影していた。一時期、一番乗りを果たしたのはどちらの戦車かが話題になったが、映像を見れば390号戦車だったことがはっきりしている。  当日はこんな状況だった。843号戦車が先頭を切って副門に突進したが、進めなくなった。その間に後から来た390号戦車が正門を突破して一番乗りとなった。ただし、大統領官邸の屋上に駆け上がって北ベトナムの国旗と南ベトナム解放民族戦線の旗を掲げたのは、843号戦車のブイ・クアン・タン隊長だった。

 390号戦車は、ベトナム戦争後もカンボジアや北部で国防任務に就き、1980年からは東北部バクザン省の基地で訓練などで使用されていた。1999年に戦車・装甲車博物館が開館する際に、展示物として引退することになった。展示前に2か月近くかけて、なるべく以前の姿を残す形で修理したという。843号戦車は訓練用に使用された後、1979年に軍事歴史博物館に引き取られた。  あれから40年が経過した2台の戦車は、戦闘任務を遂行することはもうないが、引き続き博物館を訪れる若い世代に自国の歴史を教え、民族の誇りを伝えている。最近行われた390号戦車のかつての砲手ゴ・シー・グエンさんとの交流会である若者が、「南部解放記念日に思い出されるのは戦車のことばかりで、乗員については何も言われません。悲しくないですか」と尋ねた。  グエンさんはその問いには直接答えず、「歴史は私の部隊にサイゴン一番乗りという栄光の瞬間を与えてくれました。祖国統一の瞬間に居合わせたことは、サイゴンを目指したどの部隊よりも幸運で幸せです」と語った。  

[VnExpress,20/4/2015 | 13:58 GMT+7,O]
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