VIETJO - ベトナムニュース 印刷する | ウィンドウを閉じる
[特集]

中秋節を盛り上げる子ども獅子舞団、幼き団員の家族への想い

2015/09/20 05:33 JST更新

(C) kenh14
(C) kenh14
(C) kenh14, ハンさん(中央)と団員
(C) kenh14, ハンさん(中央)と団員
(C) kenh14
(C) kenh14
 今年も中秋節の時期がやってきた。中秋節は旧暦8月15日、2015年は新暦9月27日に当たる。ベトナムの中秋節はいわば子どものお祭り。中秋祭といえば、灯篭や月餅を連想する。あちこちの通りでは、演舞団が太鼓をたたき、獅子や麒麟が舞い、土地の神様がおどけながら観客を惹きつける。これは、日本の獅子舞に似た「ムアラン(múa lân)」と呼ばれるベトナムの演舞だ。  演舞が終わってから、小さな子どもたちが汗だくになって踊っていたのだということに気づき、人々は驚く。中秋節を指折り数えて待つ子どもたちがいる一方、家族と離れ、演舞団の団員として生計を立てるため日々の厳しい練習に耐えなければいけない子どもたちがいるのだ。  その子どもたちは、今年50歳になるルオン・タン・ハンさんが創設したハンアインドゥオン演舞団に所属している。現在、ハンさんの演舞団は、孤児やストリートチルドレン、また家庭環境が厳しいため両親から送られてきた子どもたち約30人を養育し、演舞だけでなく文字や生活についても教えている。貧困の中で育ったハンさんは、演舞を教えることで少なくとも今後この仕事をしていくことができると考え、誰でも拒むことなく受け入れている。  土日を除いて毎日2時間、簡単なものから複雑なものまで、ハンさんは様々な演舞を子どもたちに教えている。ハンさんによると、彼らの長所を最も発揮することができる演舞はムアランだという。ムアランが踊れれば、開店祝いやお祝い事、旧正月(テト)などに呼ばれ、彼ら自身で生計を立てることもできる。  「私にとって彼らは皆兄弟のようであり、孫のようであり、自分の子どものような存在です。ここにいる子どもたちの置かれた環境はそれぞれ異なりますが、皆演舞が好きで、困難を乗り越える力があり、才能があり、仕事を愛する心があります。彼らは共に学び、いずれは彼ら自身の演舞団を創設できるようになるでしょう。自分の生計を立てるだけでなく、他の子どもたちの養育までできるようになると信じています。そうなれば人生はより楽しくなるでしょう」とハンさんは教えてくれた。  演舞を教え始めた当初、子どもたちは頑固で指導しても聞かなかった。それでもしばらくの間教え続けると、子どもたちの気持ちが徐々に分かるようになり、正しいこと、間違っていることを教えられるようになった。数か月でいくつかの簡単な演舞を覚える子もいれば、地神の踊りから先に進めない子もいるが、ハンさんの演舞団では子どもたちを差別しない。

 15歳のグエン・ゴック・チョン君は、「今年は獅子の踊りを覚えたので、上手に踊れるように皆と練習を重ねています。そうして初めて、家族を助けるためのお金をもらうことができるからです」と語った。  最も見応えがあり、また一番辛いのは、麒麟が直立する姿勢だ。麒麟を担当する子どもたちは皆10kgから15kgもある麒麟の頭を持って演舞の練習をしなければならない。後ろの子どもは前の子どもと麒麟の頭の両方を支えなければいけないのでとても大変だ。しかし皆、人々を魅了する演舞ができるよう、またより多くのチップがもらえるよう、一生懸命練習に励んでいる。  13歳のファム・ホアイ・トゥオン君は打ち明けた。「はじめ、僕は2食分のご飯を得るためにここに来ました。でも先生は僕にとてもよくしてくれて、かわいがってくれました。僕は演舞を覚え、お給料ももらいました。それで、久しぶりに家に帰り、両親にお金を渡すことができたんです。僕は今、中秋節に麒麟を踊るため頑張って練習しています。僕は約15kgの麒麟の頭を演じていますが、たった4分なので、きっと自分の演技を成功させられると思います」。  彼らは、家族と離れて恋しく想うほど、家族のためにお金を貯めようと更に頑張れる、と話す。そのため、練習や演舞が辛くても不満を言う子どもはいない。まだ子どもとはいえ、彼らはいつも真剣だ。もしリズムが合わなければ、麒麟の頭とお尻が揃わず演舞は失敗となり、一緒に演舞している仲間が怪我をするかもしれないことを皆知っている。  16歳のズオン・チー・バオ君は、「僕は勉強が好きだったけれど、家がとても大変だったので、木を植える仕事をするため学校に行けなくなりました。家の近くに何人か演舞をしているお兄さんがいて格好良いと思ったので、僕も習いたいとお願いしました。朝は木を植えに行き、午後から演舞の練習をしました。人々が熱狂して僕の演舞を観てくれる時はとても嬉しくなります」と演舞の喜びを教えてくれた。  一方でバオ君は、家族に対する気持ちについても語った。「でも演舞が終わるととても家族が恋しくなります。数年前の中秋節で、僕の家には月餅がなかったので、今年は頑張って演舞してお金を貯めて、家に月餅を送りたいと思っています。僕はここでハン先生に演舞を習い続ける予定です。もし家に帰ったら、父母を養う人が誰もいなくなってしまいます」。  教え子たちの気持ちを知り、演舞に行く子どもたちが寂しさを感じることのないように、ハンさんは祝日やテトの前には食事会を開き、プレゼントやケーキなどを渡すことにしている。とはいえ、まだ幼い子どもたちは、獅子や麒麟を舞っている最中に両親と笑い合う他の子どもを見かければ、やはりそんな幸福な家族を渇望してしまうというのも本心のようだ。 

[Kenh 14, 10:00:00 07/09/2015, A]
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved.


このサイトにおける情報やその他のデータは、あくまでも利用者の私的利用のみのために提供されているものであって、取引など商用目的のために提供されているものではありません。弊サイトは、こうした情報やデータの誤謬や遅延、或いは、こうした情報やデータに依拠してなされた如何なる行為についても、何らの責任も負うものではありません。

印刷する | ウィンドウを閉じる