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[特集]

ベトナムの書籍市場に旋風、塗り絵に熱中する大人たち

2015/10/11 05:37 JST更新

(C) phapluattp
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 「塗り絵」は子どもたちの創造性を育てる遊びの一つだと思われているが、ベトナムの書店やオンライン書店、フェイスブック(Facebook)・インスタグラム(Instgram)・ツイッター(Twitter)などのソーシャルメディアでは、数か月前から「大人の塗り絵」が溢れている。  今年7月中旬から8月はじめにかけて、国内の各出版社が大人のための塗り絵(カラーリングブック)を大量に発行した。中でもタイハー書籍社が出版した、英国の塗り絵作家ジョハンナ・バスフォード(Johanna Basford)の「ひみつの花園(Khu vườn bí mật)」「ねむれる森(Khu rừng bị phù phép)」の2冊は、ファンタジーワールドの物語をなぞりながら彩色をしていくシリーズで、日本でもグラフィック社が同タイトル(西本かおる翻訳)で出版している。  塗り絵本と一緒に、「Sachtomau.com」「Coloring Book - Tô màu cảm xúc」「Coloring Book Club」「Sách tô màu - Coloring Book」など、塗り絵に関する多くのウェブサイトが立ち上げられた。これらのサイトでは、実際に塗り絵を楽しんでいる人が、最適な色鉛筆の選び方、配色の方法、そして自身の作品について紹介している。  塗り絵本の何が大人たちを魅了しているのか?まず、テーマが人々の関心を引き寄せる。花で溢れたバス、鍵盤が踊るピアノ、旅行かばんから飛び出る見知らぬ土地の景色、カラフルな動植物の世界など、物語のような世界に迷い込む。  また、塗り絵に彩色をするだけでなく、塗り絵をする人が自身で絵を創作できるよう、本には多くの異なるイメージが隠されている。塗り絵を楽しみながら、本の中で足りない絵を自分で描き足したり、印刷された絵の中に隠されている細かい絵を探したりもできる。  ホーチミン市の書店「ブックネスト(Book Nest)」のオーナーであるザ・トゥオンさん(女性)は、塗り絵の魅力はそれだけではないと言う。「ショッピングに行ったり、スパに行ったりすることと比べて、塗り絵本は誰にでもできる、安価なストレス発散方法です」。

 ジョハンナ・バスフォードも、「このような塗り絵本が注目を集めている理由の一つは、様々な環境の中に生きる人々のストレスをほぐすことができることでしょう」と述べている。  また、塗り絵本は、大人たちの「絵を描きたい」という気持ちも満たす。幼い頃は誰しも紙と色鉛筆と想像力を使って創作し、時には絵描きを夢見ることもある。しかし大人になると、白い紙と色鉛筆を前にしても、何をしたらよいかわからなくなる人が少なくない。多くの人は、絵を描こうと綺麗な色鉛筆のセットを購入しても、引き出しの中にしまい込んでしまう。  しかし塗り絵本は、本の紹介文にも書かれているように、このような大人たちの「感性を目覚めさせる」と共に、「真っ白な紙に描くよりも簡単な創作」を可能にしてくれる。  「塗り絵本で、人々は幼少時代に戻ることができます。何が正しくて何が間違いかという心配をしなくても良かった時代です。塗り絵本では、葉っぱは何色か、鳥は何色かなど気にすることなく、自分の思い通りに色を塗り、自分が創作することができるのです」とザ・トゥオンさんは言う。  塗り絵に熱中する大人の一人、ホーチミン市の会社員フオン・ザンさん(女性)は、「塗り絵本の絵はとても細かいので、塗り絵は忍耐の訓練になります。また、大きな塗り絵に一緒に没頭することで、友達との仲をより深めることができます」と、その魅力を語る。  塗り絵本の出現は、ベトナムの書籍市場に変化をもたらした。発行からたった数か月で再版を重ねており、売れ行きは上々だ。この成功を受けて、各出版社が次々と新しい塗り絵本を発行している。海外の本の翻訳だけでなく、ベトナムの画家が描いた塗り絵集も現れた。  塗り絵本は、単なる本ではなく遊びながら創作もできる場でもあるため、今後ベトナムにおいて独自の市場を作り出すことになるだろうと期待されている。 

[Quynh Trang, Phap Luat thanh pho Ho Chi Minh, 23/8/2015 - 06:25, A]
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