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[特集]

豚を抱きかかえて運ぶだけ?市場の伝統的な大仕事

2015/12/27 05:47 JST更新

(C) zing
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 南中部沿岸地方クアンナム省クエソン郡クエスアン村に、唯一無二の伝統的な職業がある。それは、「豚を抱きかかえて運ぶ仕事」。誕生してから50年もの歴史を有する大仕事だ。  この職業に就いているのは約20人の貧しい女性たちで、職場は国内最大規模の繁殖豚の供給源として全国的にも有名な、同村のバーレン(Ba Ren)市場。豚をケージに入れたりしばったりすると体に傷がついて価値が下がるため、人が抱きかかえて運ぶ必要があるのだ。計量も、人が抱き抱えたまま計量し、人の体重を差し引いた数値を豚の重量としている。  豚の運び屋の女性たちは、子供を持ちながらも夫に先立たれた寡婦ばかりで、1人で生計を立てなければならない。仕事は雨の日も晴れの日も、早朝4時に始まり、12時ごろに終わる。報酬は運ぶ豚の重量によって異なるが、1頭当たり500~2000VND(約2.7~10.9円)となっている。

 作業は単純で、売り場から買い手の車まで豚を抱きかかえて運ぶだけ。距離にして約400mに過ぎないが、豚の重さは25~30kgくらいで、両腕でしっかりと抱きかかえなければ腕をすり抜けて逃げられてしまう。糞や尿で服が汚れる上、その悪臭に耐えなければならず、決して楽な仕事ではない。  この道10年のベテランのベーさんは、「この仕事には、健康であることが要求されます。重労働に耐えることができなければ雇ってもらえません。最初の頃は、糞や尿の悪臭に耐えられませんでしたが、しばらく経ったら慣れました。一番大変なのは雨の日で、豚の体が雨に濡れると抱きかかえにくく、腕から滑り落ちてしまいます。万が一豚が逃げてしまったら、その分の額を自分が負担しなければなりません」と語った。  5年前に夫を交通事故で亡くしたロイさんは、この仕事を続けながら女手1つで子供3人を育てている。「毎日、平均して約40頭の豚を運んで4万VND(約217円)を稼いでいますが、3人の子供を育てながら暮らしていくには足りず、家計はとても苦しいです」と打ち明けた。 

[Zing, 09:55 (GMT+7) 15/12/2015, A]
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