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[特集]

御年97歳の「コンピューターおばあちゃん」、FacebookもSkypeも

2017/06/11 05:13 JST更新

(C) zing
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 1920年生まれのレ・ティーさんは、フェイスブック(Facebook)やスカイプ(Skype)を使いこなし、ネットサーフィンをし、いつも新たな学びを求めている。今年で97歳になるが、心はまるでまだ20歳のようだ。  ティーさんは、歯もなく、背中も曲がっており行き来も大変で、一見すると他の老人と何ら変わらないかもしれない。1日の多くの時間をベッドの上で過ごし、ゆっくりとキンマを咀嚼している。  しかし、好きなことや学ぶことについてたずねると、ティーさんは全く異なる様子を見せる。すっと体を起こし、輝く瞳と穏やかな笑顔で、半世紀余り前のフランス植民地時代のベトナムでの生活や、ロシアのモスクワにいる孫とのSkypeでのチャット、87歳で本を書いたことについて話してくれた。  ティーさんは、「もし私にまだ知らないことが10個あるとすれば、私はできる限り多くのことを知ることができるよう頑張って学びます。私もかつては読み書きのできない子供だったんですよ」と語る。  ティーさんは毎日、グーグル(Google)とヤフー(Yahoo)でニュースを読み、Facebookの個人ページを更新し、FacebookやSkypeを通じて家族や友人と連絡をとる。更に、文学に関するフォーラムに参加し、熱心にコメントを書き込む。人生の大先輩であるティーさんのネット上の書き込みは、多くの若者の関心を集めている。

 ティーさんがパソコンの使い方を学び始めたのは2007年のことだ。当時1冊の本を書いていたが、手が震えてペンと紙で書き続けることが難しくなったためだった。そこで孫たちを説得してノートパソコンを購入し、使い方を教わった。そして3年後の2010年、ティーさんは「Nguoc dong(「上流」の意)」というタイトルで、600ページにわたる自伝的な小説を出版した。  ティーさんは、幼少期について述懐してくれた。「男性は、私が女性だからという理由で『近寄るな』と言いました。椅子に座らせてももらえませんでした。女性は汚れたものとされていたんです。女性に生まれたというだけで蔑まれるんです」。  当時は「女性」イコール「ツール」だった。そのためティーさんは父親が教師だったにもかかわらず学校に行くことができなかった。しかし、学ぶことに対する情熱から、ティーさんは女性としての「運命」を受け入れなかった。  「父や兄が本を読んでいるのを見て、自分が文字を知らないことは受け入れがたいと感じました。自分の運命を受け入れられませんでした。男性ができることは何だって私にもできるはずなんです」。  ティーさんは、父親の本をこっそり読みながら、自分で学び始めた。「夜に毛布をかぶって本を読んでいました。そして木の枝を燃やして地面に文字を書くんです。何でも書くことができましたよ」とティーさん。

 しかし、1940年代に入り、ティーさんはフランス植民地からの独立を求めて第一次インドシナ戦争を戦った独立運動組織「ベトナム独立同盟会(ベトミン) 」に参加し、反日のために戦った。  ティーさんはベトミンで夫と出会い、息子1人を授かったが、結婚してわずか17か月後に夫は戦死してしまった。その後、長年にわたり、家畜の飼育や耕作、刺繍などで生活をしていたが、学ぶことに対する情熱が消えることはなかった。  97歳になったティーさんは、これまでに2000点以上の絵を描き、日記を含めて50冊以上の本を書いてきた。現在も新しい小説を書いているところだという。高齢のため、執筆にあたり健康の影響を少なからず受けているが、あきらめることは決してしない。  「私は、現代の生活に向けて自分の考えを書いています。今の世の中はモノであふれていて、誰もがお金さえあれば何でも買えると思っています。でも私は、本当の幸せとは『自由』であり、『知識』であり、そして『科学』なのだと思っています」。  ティーさんの願いは、自分の経験や知識を孫たちに伝えることだ。「知りたいことは何百万とあります。それらを学ぶには、あと1世紀は必要でしょうね。でも、そうするくらいの覚悟は決めています」とティーさんは語った。 

[Nguy An - The Long, Zing, 14:58 27/05/2017, A]
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