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[特集]

母親と姉の2役をこなす12歳の少女、悲しい過去を乗り越えて

2017/06/18 05:13 JST更新

(C) tuoitre
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 母親は少女が小学校1年生の時に家を出て行き、父親は遠くへ出稼ぎに行ってめったに家に帰らない。山地の間にひっそりとたたずむ小さな家には、さまよい身を寄せ合って生きる3人のきょうだいだけが残されている。  少女は朝ごはんを食べるのも我慢して、おんぼろの自転車をこいで学校へ行く。通学路は上り下りの急な坂道だ。貧しい暮らしだが、少女はエネルギーに満ちあふれていて、学校へ行きながら両親に代わって家族を引き受け、小さな弟と妹の世話をする生活を何年も続けている。  この気概に満ちた少女が、東南部地方ビンフオック省ブーダン郡のダンハー中学校に通う中学2年生、12歳のビー・ティ・フエンちゃんだ。  フエンちゃんの家は同郡ダンハー村第4村落にある。フエンちゃんの父親、ビー・バン・チャンさんは病弱で、家族は経済的に特に困難な世帯にあたるため、同村人民委員会は飼育用の牛を支給するなど様々なサポートを行っている。  フエンちゃんの家の中は空っぽで、古い服と変色した鍋が木材を組んだ壁にかけられているだけだ。台所はフエンちゃんの寝床であり勉強場所でもある。がたがたの家で、フエンちゃんは10年前の痛い記憶を今も思い出すという。

 当時、フエンちゃんは両親と2人の弟、ビー・バン・フォンくんとビー・バン・フンくんと5人で暮らしていた。平穏に暮らしていたある日、両親が出稼ぎに出ている間に家が火事に見舞われた。フエンちゃんはやっとのことでフォンくんを助け出したものの、障害を持っていたフンくんは逃げ遅れて死んでしまった。その後、母親は妹のビー・ティ・リエンちゃんを産んだ。  しかし数年後、フエンちゃんが小学校1年生のときに母親は突然家族を捨てて家を出て行った。3人の幼いきょうだいは困惑し、父親は子供を亡くし妻も失って自暴自棄になり、家を出て出稼ぎに行くようになった。以来、フエンちゃんは弟と妹のために母親と姉の2役をこなしている。  生活をやりくりするため、フエンちゃんは学校に行きながらお金も稼ぐ。学校を休めるときはカシューナッツの収穫を手伝いに行き、15~20kg収穫して約10万VND(約490円)を得る。カシューナッツの時期が終わると、雇ってくれる人がいれば何でもやる。米と魚醤が買うお金があれば十分だ。  父親がお金を稼いでくると、フエンちゃんは市場に行ってわずかな野菜と米を買い、備蓄する。きょうだいは野菜1束を何日もかけて消費する。あまりの貧しさから米を買うのがやっとで、フエンちゃんは肉や魚のある食事など考えたこともないという。

 フエンちゃんが通う学校の先生は、「彼女の家を訪ねたある日、3人の子供たちが食事をしているのを見て涙が出そうになりました。3人は鍋のそばに座って、おかずもないのに白いごはんだけをおいしそうに食べていたんです。私がどうしてスープくらい作らないのかと聞くと、フエンちゃんは『慣れていますから』と答えました。私は3人のために急いで魚醤と肉を買いに行きました。あんな食事では栄養も不足してしまいます」と話す。  先生は「彼女たちはめったに朝ごはんを食べず、おなかをすかせて学校に来ます。どうして食べないのかと聞くと、また『慣れているから』と答えますが、そう言っているだけで、本当は朝ごはんを食べるお金もないのでしょう」と打ち明けた。  フエンちゃんは、いくつもの表彰状を大切に保管している。彼女は学校で先生や友だちからも好かれ、勉強もよくできるため、学級委員を務めている。学校は、フエンちゃんの生活が少しでも楽になるよう、物を寄付したり家を訪ねて激励したりと、様々なサポートを行っている。  貧しいながらも自分の力と先生や友だちの愛情を受けて、フエンちゃんきょうだいは困難を乗り越え、学校に通い、日々を生きている。 

[Duc Trong, Tuoi Tre, 14/06/2017 14:30 GMT+7, A]
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