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[特集]

子供を水難から守る宝くじ売りの女性、無料で水泳を教えて15年

2017/09/03 05:43 JST更新

(C) dantri
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 メコンデルタ地方ドンタップ省タップムオイ郡フンタイン村在住のチャン・ティ・キム・ティアさん(女性・59歳)は、水難で子供を亡くした家族らの痛みを理解し、15年間にわたり子供たちに無料で水泳を教えている。これまでにティアさんが教えた子供たちの数は2000人余りに上る。

 ティアさんはメコンデルタ地方ティエンザン省ゴーコンドン郡の出身だ。9人きょうだいで家族の生活は苦しく、26歳のときに自立するためタップムオイ郡へ出てきて、雇われ人として様々な仕事に就いた。1992年には村落の女性幹部として月20万VND(約970円)の収入を得るようになったが、生活費が足りずに宝くじも売っていた。

 貧しい雇われ人だったため、男性に注意を払ったこともなければ、現在に至るまで誰かと交際したこともないというティアさん。ティアさんは「14歳から自立して暮らしているので、私はお堅いですよ。19歳か20歳のころに男性から告白されたこともありますが、貧しかったので自信もなく、今までずっと独り身です。でもおかげで時間はあるので、子供に水泳を教えたり、地元の社会活動に参加することができるんです」と話す。

 こうした中、ティアさんは2002年に村の子供向け水泳教室プロジェクトのコーチに選ばれた。「最初は何から始めればよいのか、どのように教えればよいのかも分からず、不安でした。でも、川に流されて亡くなった子供たちのことを考えると、かわいそうでたまりませんでした。子供も大好きでしたし、申し出を受けることにしました」とティアさん。

 最初は1~2の村落のみが対象で生徒の数は70~80人だった。しばらくすると、多くの親たちがティアさんの水泳教室に効果を見出して子供を通わせるようになったため、対象の村落も5つに増えた。こうしてティアさんのもとで水泳を習う子供の数は200人近くになった。

 水泳教室は、洪水の時期に備えて主に夏の3か月間に集中して開く。コースは毎日1.5時間ずつ、約10~15日間だ。各村落の運河や川が教室になる。ティアさんは竹を川底に突き刺して網で囲み、幅4m、長さ8m、深さ2mのプールを作る。

 「私の手にかかれば5日間で泳げるようになりますよ。手をまっすぐに伸ばすことや足のばたつかせ方、顔の上げ方を教えるだけです。なかなか上達しない子供の練習にも付き合いますから、帰宅するのが18時になることもあります」。

 フンタイン村人民委員会のレ・バン・タイ副主席はこう語る。「水泳教室プロジェクトのおかげで、2005年以降、村では子供の水難事故が起きていません。ティアさんは貧困世帯で、いくつもの仕事をしながら生計を立てていますが、子供たちに水泳を教える仕事にも本当に情熱を持って取り組んでいます。このことには心を打たれますし、地元の若者たちの模範にもなっています」。

 毎年の水泳教室の時期が終わると、ティアさんは郡から150万~200万VND(約7300~9700円)を得る。水泳教室に通う子供の親たちは、ティアさんの好意にお金を渡そうとすることもあるが、ティアさんは決して受け取らない。そしてまた宝くじを売ったり、雇われ仕事をしたりしながら自分自身を養っていく。 

[Nguyen Hanh, Dan Tri, 05:00 (GMT+7), 11/08/2017, A]
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