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[特集]

人々の無事な帰宅を願って、夕方の交差点で交通整理を続ける男性

2018/04/01 05:23 JST更新

(C) An Huy, Thanh Nien
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 雨の日も太陽が照り付ける日も、平日の16時30分になると、誘導棒と笛を携えて自転車に乗り、ホーチミン市内で渋滞が深刻な通りへ出向いては交通整理に励む男性がいる。

 ホーチミン市1区グエンクーチン街区に住むレ・ゴック・トアンさん(38歳)が交通整理をするようになって10年以上が経つ。ラジオで渋滞情報を確認すると、トアンさんはすぐさま自転車にまたがり現地に向かう。

 3月13日の帰宅ラッシュが始まる頃、1区チャンフンダオ(Tran Hung Dao)通りの歩道でバイクの修理道具を片付け、「出動」の準備をしているトアンさんの姿があった。「もう16時30分だからみんな帰り支度をしている頃だ。渋滞がひどくなる前に今すぐ行かないと!少しでも遅れると渋滞は夜まで続くからね」と、古い携帯電話の画面に表示された時刻を見ながらトアンさんは慌ただしく出発した。

 10分程で数千人が行き交い大渋滞が発生しているザンチュー(Dan Chu)六叉路に到着すると、歩道に自転車を止めて車道に下り、交通整理を始めた。数分後に道路の交通がスムーズになったのは一目瞭然だった。

 その時、バイクを運転していた女性が別のバイクに擦られ転倒した。トアンさんは現場に駆け付けて女性を支え、バイクを起こして道路脇に寄せた。

 1時間もすると、トアンさんは汗びっしょりになり、顔は埃や排気ガスで黒くなった。「大変に見えるかもしれないけど、みんなが無事に家に帰ることができればそれでいいんだ。コミュニティのためにと思って頑張っているし、効果も出ているからね」と着ていたシャツで顔の汗をぬぐった。

 時刻は18時50分、市内は帰宅ラッシュが過ぎ、交通量も減り始めるとトアンさんはまた自転車に乗って帰宅した。

 トアンさんは子沢山の家に生まれたが、今ではみんな結婚して独立している。トアンさんだけが未婚で今も70歳を超える父親と同居している。トアンさんはかつて知人のつてでトラックの荷役を仕事にしていたが、その後は自宅のある街区の警備部員として働いた。しかし給与があまりにも低かったため、トアンさんは父を養うためにチャンフンダオ通りでバイク修理店を商うようになった。

 転機は2002年のある日、仕事でタンビン区に行った時だった。1時間以上の大渋滞にはまり、誰も道を譲り合おうとしないことに耐えられなくなったトアンさんは、バイクを道路脇に止めて自ら交通整理をしたのだ。この時から、渋滞を見つけては交通整理をするようになった。

 2006年初めに3区のレクイドン(Le Quy Don)通りを走っていると渋滞にぶつかり、トアンさんはいつものようにバイクを降りて交通整理を始めた。すると、自分と同じように交通整理棒を手に道路に立つグエン・バン・リンさん(44歳)と知り合った。リンさんはこの道11年以上の交通整理のベテランだ。それ以来、市民のためにと同じ志を持つ2人は交通整理について情報交換をする関係になった。

 トアンさんは以前、バイクに乗って市内の中でも自宅からもう少し離れた場所まで交通整理に通っていた。しかし、数年前にバイクの盗難に遭ってからは新車を買うお金もないため、自転車で行ける範囲で交通整理をしている。

 交通整理を始めた当初は、親類や知人は「お金にもならないことをして」と反対していたが、今ではみんなトアンさんの活動に好意的で、応援もするようになった。交通整理をしていると、飲み物や食べ物をくれる人がいる一方で交通ルールを守らない人や罵声を浴びせる人もいる。

 それでもトアンさんが交通整理を止めることはない。「人々のためになることが私の喜びであり、その他には何もいらないんです」。今日もトアンさんはラジオの交通情報に耳を傾ける。 

[An Huy, Thanh Nien, 13:37 15/03/2018, T]
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