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[特集]

ハノイの心霊スポット「キムマー300番地」の噂と歴史

2018/05/20 05:04 JST更新

(C) tuoitre
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 「幽霊屋敷(Nha ma)」や「キムマー通り300番地(300 Kim Ma)」の名で心霊スポットとして知られるハノイ市バーディン区キムマー通り300番地(300 Kim Ma St., Ba Dinh Dist. Ha Noi)の土地と建物がこの5月、元の所有者である在ベトナム・ブルガリア大使館からベトナム外務省へと返却された。

 1982年12月14日、ベトナムとブルガリアの政府は両国の外交代表機関のための土地売買および建物建設に関する協定を結び、ベトナム側は在ベトナム・ブルガリア大使館の建物とブルガリア大使公邸の建設地として、ハノイ市の一等地であるキムマー通り300番地の土地3243m2を供与した。

 その後、ブルガリア側はこの土地で、フランス植民地時代の建物の基礎の上に面積1307m2の建物を建設し、1991年に建設工事を完了した。建物は3階建てで、事務室や廊下、階段、プール、通路、庭、塀などを併設していた。

 しかし、建設が終わったにもかかわらず、ブルガリア側はこの建物を当初の目的のように使用する必要がなくなったとしてそのままにした。以来、27年もの間空き家となり、見知らぬ人の侵入を防ぐため常にドアが閉まったままとなっていた。

 この建物を使わない理由も明らかにされず、長きにわたり放置されていたため、「この建物には幽霊がいる」という噂が立ち、噂に尾ひれがついて日に日に広まり、ここに住んだり働いたりする者が誰もいなくなった。また、多くの人々がここに線香を焚き、供養するようになった。

 さらに、2009年に起きたある事件がこの噂を増幅させた。この事件は、2009年2月14 日深夜、キムマー通り300番地の門の前の路上に停まっていた高級乗用車の運転席で会社社長のグエン・ティエン・チンさん(男性)の刺殺体が発見されたというもので、犯人はチンさんの元不倫相手で当時女子大生のブー・ティ・キム・アイン(女)だった。

 この事件後、若者たちはそれまで以上にキムマー通り300番地を「観光名所」やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)での「チェックインスポット」として扱い、面白半分で訪れるようになったのだった。

 長期にわたる交渉を経て、2016年9月22日にベトナムとブルガリアの両国政府はこの土地の返却について合意し、1982年の協定に替わる両国外交代表機関の不動産に関する新たな協定を結んだ。

 新たな協定は2017年12月14日に発効。これを受けて、2018年5月8日にベトナム外務省と在ベトナム・ブルガリア大使館の代表の間でキムマー通り300番地の不動産の譲渡と受領に関する合意書への署名式が行われた。

 これにより、「幽霊屋敷」と呼ばれたキムマー300番地の土地と建物は、正式にベトナム政府に返却された。法律と国際慣行の規定に従い、今後キムマー通り300番地はベトナム外務省傘下の外交団サービス局が管理し、外国大使館または国際機関などの外交目的で再利用されることになる。 

[Lam Hoai - Quynh Trung, Tuoi Tre, 15/05/2018 17:05 GMT+7, A]
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