VIETJO - ベトナムニュース 印刷する | ウィンドウを閉じる
[特集]

国連PKOに派遣された初のベトナム人女性士官

2019/03/03 05:59 JST更新

(C) vietnamplus
(C) vietnamplus
 ベトナム国防省ベトナム平和維持センターは、2014年から南スーダンに軍事連絡要員などを派遣している。2017年10月には、国連平和維持活動(PKO)の任務にベトナム人女性士官が初めて派遣された。

 この女性士官は、ベトナム平和維持センターのドー・ティ・ハン・ガー少佐だ。ガー少佐は、2017年10月29日から12か月の任期で国連南スーダン派遣団の軍事連絡要員として南スーダンに派遣された。

 この任務に備えるため、ガー少佐は2年もの間、座学のほか、軍事連絡要員や軍事監視要員などのトレーニングをスリランカ、中国、オランダ、韓国などの各国で受けた。選ばれた士官は、知識や技能などにおいて国連側と派遣団側の様々な要求を満たしていなければならないためだ。

 2019年1月8日に任務を終えて帰国したガー少佐は、南スーダンでの1年間を振り返った。ガー少佐いわく、この1年間は「私の軍人としての人生の中で最も貴重な、かつ名誉な時間」だったという。

 ガー少佐は、業務に関する知識や軍事規則を学び、語学力も伸びた。また、派遣団の同僚たちと同様に現地の人々とも関わっていく中で、人々の厳しい生活を目の当たりにしたことからも有益な教訓を得た。

 「派遣される前、南スーダンについて資料などを読んで調べていましたが、現地に行ってみたら自分が思い描いていたものや事前に準備をしていたものがことごとく的外れだったと気付きました」とガー少佐は語る。

 ガー少佐の、南スーダンでの1日の仕事はとても大変だった。軍事連絡要員としての任務を遂行していたガー少佐だが、深夜の勤務もあり、時には勤務時間が夕方16時から翌日の午前8時までということもあった。

 14~16時間働き詰めのときや任務を請け負ったときは、彼女も同僚たちも食事をとりながら休憩をする暇すらなく、食事を持って出かけていた。

 「特に現地での紛争が激しい時は、オフィスに1週間カンヅメということもありました。自宅に帰るのは、着替えのためと食べ物を取ってくるためだけ。最初の頃は、遅い時間まで起きていることにも慣れませんでしたし、仕事もストレスとプレッシャーがかかって辛かったです。下の部隊から何かしら任務を受けたときは、すぐに、遅くとも30分以内には処理しなければなりませんでした」。

 仕事が早く片付いても、ガー少佐と同僚たちは関連部隊や司令官に問題を報告するために検討を重ね、時には緊急会議を招集する必要もあった。過酷ではあったが、ベトナムで仕事をしていた時にはストレスやプレッシャーを感じることがなかったため、自分自身を大きく成長させてくれたこうした時間には感謝しているという。

 ベトナム人民軍の軍人の1人としての重責を負い、遠い国での任務に参加したガー少佐は、常に熱意を持って努力し、仕事に全力で取り組んだ。仕事を最高のレベルでやり遂げ、困難を恐れず、「国連PKO活動に参加したベトナム初の女性士官」という立場に甘んじず、1人の軍人としての責任を果たすべく尽力した。

 軍事連絡要員という性質上、国連の基地で働くことのみが求められていたが、ガー少佐は平和維持の専門知識を学ぶことに加えて、現地の人々の暮らしについても知ろうとしていた。

 「ベトナムの兵士たちは地元の人々の伝統を尊重し、親密な関係を保っています。そのため、私は自由時間のほとんどを地元の人々との交流にあてていました。はじめの頃、朝から人々の暮らしを知ろうと出かけていたことで、ホームシックを感じなくなりました。子供たちと遊んでいるときは、ベトナムの家の子供たちと遊んでいるような感覚でした」。とガー少佐。

 「地元の子供たちには衛生習慣、お母さんたちには子供の世話の仕方を教えていました。お母さんの知識が十分でないがため、高熱を出している小さい子供を暑い外にいさせたり、深い傷を負っているにもかかわらず治療もしないというのを見たときには心が痛みました。そういった知識を共有したことで、皆が私を家族のように受け入れてくれて、より親密になっていったのだと思います。だからこそ私と同僚は、彼らを手助けするために多くの時間を捧げました」。

 ガー少佐にとって最も印象的な思い出は、ベトナムに帰国するときのことだ。地元の子供たちがガー少佐の同僚の電話を借りて彼女に電話をかけ、「寂しい、早く戻ってきて」と話したのだった。

 ガー少佐が任期を終えて南スーダンからいなくなることを知ったとき、泣いた子供もいれば、空いた時間にガー少佐へ贈る絵を書いたりプレゼントを用意したりする子供もいた。そして子供たちは、自分たちのことを忘れないで、プレゼントを持ち帰って大切にして、と伝えた。

 ガー少佐は、「ベトナムより他国のほうがPKO活動の経験が豊富で、私の同僚たちもほとんどが2回目、3回目の参加でした。よく一緒に地元の人々と交流したノルウェー人の親友も、私が向こうへ行ったときからたくさん助けてくれました。仕事について時間を忘れて話し合っていて、深夜の2時、3時になることもありました」と語る。

 こうした南スーダンでの経験は、女性士官のガー少佐にとって一生忘れることのできない、貴重な思い出となっている。 

[TTXVN/Vietnam+ 08:45 08/02/2019, A]
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved.


このサイトにおける情報やその他のデータは、あくまでも利用者の私的利用のみのために提供されているものであって、取引など商用目的のために提供されているものではありません。弊サイトは、こうした情報やデータの誤謬や遅延、或いは、こうした情報やデータに依拠してなされた如何なる行為についても、何らの責任も負うものではありません。

印刷する | ウィンドウを閉じる