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[特集]

ごみに人生を捧げる、大学卒業し資源回収で起業した若者

2020/02/16 05:12 JST更新

(C) thanhnien
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 資源回収(ベーチャイ=ve chai)により資金を集め、3人の若者が資源回収で起業した。周りからは反対されたが、それでも彼らは諦めず、環境保護のメッセージを伝え続けている。

 ホーチミン市内の多くの集合住宅の住人や病院、レストラン、ホテルのオーナーにとって、3人の若者たちが資源を買いに来るのはお馴染みのことだ。「ホアおじさんの資源回収(Ve Chai Chu Hoa)」はお揃いの制服を着ているだけでなく、愛想よくポイントを付け、資源の分別方法について親切に案内し、また明瞭な領収書も書いてくれる。

 このユニークな資源回収ビジネスのアイデアは、ホーチミン市5区在住でグループのリーダーであるグエン・バン・ティエンさん(男性・28歳)が6年前に着手したものだ。ティエンさんは学生時代から社会活動に熱心で、特に環境保護に関心が高かった。ごみの分別について学び、資源回収でお金を集め、ティエンさんは自分が資源回収に特別な情熱を持っているということに気が付いた。

 「資源を回収して、リサイクルできる物やまだ使える物、また古本や骨董品に出会うととても嬉しいんです!大学2年の時、私はあるファストフード店でアルバイトをしていたのですが、多くの資源が捨てられるのを見て残念に思っていました。それで、私は秤を購入して学校に持って行き、学校が終わるとすぐに資源を買いに行きましたよ!」とティエンさんは笑いながら教えてくれた。

 ごみや資源回収の仕事について自分で調べて知識をつけ、若者の起業など滅多にないこの分野で仕事をするために、ティエンさんはあらゆる場所に出かけた。初めての仕事で状態の良い骨董品を購入することができ、3万VND(約140円)の利益を得ることができた時は、喜び勇んで家に帰り「今日は利益が出たよ!」「今日はこんないいものを手に入れられたよ!」と両親に報告した。

 しかし、ティエンさんの両親は少しも喜ばず、「大学まで出してあげたのに、ごみ拾いの仕事をするなんて!」と平手打ちをしてティエンさんを叱った。

 「誰も受け入れてはくれませんでしたよ!それでも私はこの仕事に情熱があったので、両親を説得しようとしました。この仕事を始めた時、私は資源回収の仕事がいまだに昔からのやり方で小規模に行われており、都市の発展の勢いに追いついていないことに気付きました。そのため、チームを編成し、プロ意識を高め、近代化する必要があると考えました」とティエンさん。

 そして「ホアおじさんの資源回収」が誕生した。ホアおじさんとは、かつて資源回収の仕事から後にサイゴン・ザーディン・チョロン地区(現在のホーチミン市)に3万戸近くの家を所有したと言われる華僑のベトナム人商人の名前に由来している。

 ティエンさんは、自身の会社の商標登録をし、さらに何度か一緒に資源回収に行った仲間2人を集めた。3人ともこのごみの仕事に情熱を持っている。ティエンさんは経営管理専攻で大学を卒業していたが、メンバーの1人であるミン・トゥアンさん(男性・30歳)は情報技術専攻で専門学校を卒業している。

 「ティエンさんと同じく、私が卒業後に資源回収の仕事をすると知ると、親戚は皆強く反対しましたよ!でも、この仕事は自分に合っていると感じています。初めは納屋で仕事をしていましたが、ティエンさんに出会い、素晴らしい思想を持っていると感じたので、仲間に入りました」。

 「でも、ティエンさんは幸運にもこの仕事を始める前に結婚していますが、私はこの仕事のせいでまだ相手を見つけられていません!『ボーイフレンドは何の仕事をしているの?』と聞いたら『資源収集』と答えが返ってくる、そんなことに耐えられる女性の家族がいるんでしょうか!」とトゥアンさんはユーモアを交えて教えてくれた。

 ティエンさんのグループは、商店、レストラン、ホテル、病院、集合住宅、学校などの資源収集を専門にしている。これらの場所は、安定して資源回収を続けることができ、またグループが目指す環境保護のメッセージを広く伝えることができるためだ。

 「回収の際、私たちは資源の分別方法を詳しく案内し、売ることができる資源について詳細に教えます。多くの住民はペットボトルや紙は売るために取ってありますが、実際にはCDや金属、X線フィルムなどもリサイクル可能で、今これらの資源はとても人気があります。さらに、紙は6種類に分類されることなど、資源の分別と処理方法について知っていれば、買取価格はもっと高くなります」とティエンさんは説明してくれた。

 一方で住民の多くは、資源を取っておくのは「少しのお金のために部屋を狭くするようなもの」という心理から、資源回収にあまり関心がないという。ティエンさんたちは後の世代のためにも節約を習慣づけるよう人々を説得し、同時に資源の分別を通して環境保護に貢献している。

 「ホアおじさんの資源回収」には、3人の主要メンバーの他に、社会活動を担当する5人の若いボランティアメンバーがいる。ティエンさんは共産党青年団のメンバーとして、区や街区と協力してごみを緑や安全な農作物などのギフトと交換する活動を行い、また集合住宅や学校ではリサイクルコンテストなどの活動を行っている。

 他にも、資源回収の仕事を「近代化」するため、ごみに特化したウェブサイトやファンページを作成し、より広い広報活動を行っている。

 「毎月、3人で6000万~7000万VND(約28万7000~33万5000円)を稼ぐことができます。私たちは先ほどの活動を実行するために、ここから2割を差し引きます。グループの活動基準は、経済と環境を調和させることであり、このことを忘れることはありません!」とティエンさんは語った。 

[Thanh Nien 12:12 05/11/2019, A]
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