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[特集]

新型コロナで行き場失った農産物を救え!果物入り米粉製品を開発

2020/03/08 05:24 JST更新

(C) thanhnien
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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により行き場を失った農産物の「救助」が叫ばれる中、ホーチミン市クチ郡のレ・ズイ・トアンさん(男性・32歳)は、売れ残ったスイカやドラゴンフルーツを使ったバインチャン(banh trang=ライスペーパー)やブン(bun)、フォー(pho)を開発した。

 数週間前、トアンさんは困っている農民を助けるため、売れ残りのスイカを買って帰りスタッフに分けたが、普通に食べていてはたくさん消費することができず、問題の解決にならないと気付いた。

 以来、自身が手掛ける伝統的な米粉製品の強みを活かし、トアンさんはライスペーパーやブン、フォーと、スイカやドラゴンフルーツを組み合わせた商品の研究に取り掛かった。

 「私の強みは、作っている商品が既に市場に出回っているという点です。今、農産物はとても豊富にあり、『救助』できなければ廃棄せざるを得ません。そして農産物の質も良い。それならば、自分の商品と農産物を組み合わせることで、農民を助けながら、伝統的かつユニークで斬新な商品を作ればいいと考えました」とトアンさん。

 1週間にわたり研究と実験を重ね、ついに魅力的な商品が完成した。「最初の実験では、麺は固いし色は薄いし、味も美味しくなく、期待していたような完成品にはなりませんでした。そこでレシピを調整しましたが、まだ固い。やっとレシピの分量が整っても、今度は乾燥時の温度が足りず、麺の見た目が悪い。こうして、7~8回の調整を繰り返してやっと今の商品ができあがりました」とトアンさんは語る。

 まず、新鮮なスイカをきれいに洗い、皮を剥いて小さく切る。種を取り除き、ブレンダーに入れて果肉を残しつつピューレ状にする。このピューレを、美しく自然なスイカの色になるよう適切な割合で米粉と混ぜる。茹で上がったブンは、柔らかさとコシがあり、スイカの香りがしなければならない。

 現在のところ、トアンさんのところではスイカを使ったブンとフォー、ライスペーパーを作ることができるが、ドラゴンフルーツは小さな種があるためライスペーパーしか作れない。

 果肉が白いドラゴンフルーツを使うと、ごま入りのライスペーパーのような見た目になる。一方、果肉が赤いドラゴンフルーツを使うと、目をひくピンク色のライスペーパーになる。

 スイカを使った場合、厳密にはライスペーパーもブンもフォーもオレンジ色になるが、トアンさんによればこれは加工中の熱の影響によるもので、風味と質はそのまま変わらないという。

 クチ郡のライスペーパー村でレ・ズイ・トアンといえば、誰もが知る存在だ。トアンさんは4年近く米国に留学していたが、「故郷のライスペーパーを世界へ」と夢見て、家業のライスペーパー作りを継ぐために帰国することを選んだ。

 「かつては自分が家業を継ぐことになるなんて考えてもいませんでした。以前、私の家族は手作業でライスペーパーを作り、日に当てて乾かしていました。両親はとても大変そうで、日が差せば外で乾かし雨が降れば急いで中に入れ、それでも1日にたくさん作ることはできませんでした」。

 「留学中にアジアのスーパーマーケットに行くと、ライスペーパーや乾麺のブンが売られていたのですが、どれも違う国で生産されたものでした。それで、自分の故郷でもライスペーパーを作っているのになぜ他国に輸出しないのだろうと考え、故郷に帰りたいという衝動に駆られたんです」とトアンさんは振り返る。

 そんな感情の中でも、トアンさんはかつて精米の臭いが大嫌いだったことを思い出した。なぜならいつも両親の手伝いでライスペーパーを作るために手で米を挽かなければならなかったからだ。

 でも、今ではそれも中毒のように好きになった。「感謝すらしています。以前は毎朝拷問のようでしたが、遠く離れて初めて精米に恩を感じました。ライスペーパーのおかげで両親は私を育て、留学までさせてくれたんですから。それに、外に出たからこそ故郷の商品の可能性と発展のチャンスを見出すことができました」と打ち明けた。

 こうして、トアンさんは世帯で営む小規模かつ手作業のライスペーパー工場を、200人以上の従業員を抱え42か国に製品を輸出する企業に育て上げた。

 ライスペーパーやブン、フォーといった伝統的な商品を海外に輸出するためには、技術や生産プロセス、品質を改善することのほかに、革新的な商品を生み出すための研究を重ねることも欠かせない要素の1つだ。このことが、トアンさんの成功の秘訣でもある。

 トアンさんのブランドを形作っているのは、自身の伝統的な米粉製品とベトナムの農産物の組み合わせだ。今回のスイカとドラゴンフルーツを使ったライスペーパーやブン、フォーの前にも、他の農産物を使って様々な研究を重ねてきた。これまでに玄米や黒米、ウコン、緑茶などを使って48種類もの商品を生み出してきた。

 小麦麺には、黒ごま、ほうれん草、にんじん、ビーツ、バタフライピー(チョウマメ)を使ったものもある。このほか、ブンガオ(bun gao=ビーフン)、乾燥春雨、ブンボーフエ(bun bo Hue)、バインホイ(Banh hoi=極細の米麺を編んだもの)、ミークアン(mi Quang)、乾燥バインウット(banh uot)、さらには韓国の美容市場向けの小麦粉パックまである。

 ベトナムの農産物を使って商品に自然かつ安全に色をつけることを考えついたきっかけについてトアンさんはこう語る。

 「最初は全く考えていませんでした。でも、ダラット(南中部高原地方ラムドン省)に行った時、紫キャベツが3玉1万VND(約47円)で売られているのを目にして、ベトナムの農産物はなぜこんなに安いんだろうと思いました。それから私は色々な方法を試しましたが、既存の商品と組み合わせてどの種類でも美しく美味しくなるわけではないとわかり、最終的には数種類しか使えませんでした」。

 現在トアンさんは、スイカを使って小麦麺やバインホイ、ブンボーフエが作れないかと試行錯誤中だ。それだけでなく、ベトナムの農産物の価値を高め、農産物を救い、農民が安定して農産物を生産できるようにするため、他の様々な農産物を使った商品の開発も進めている。 

[Thanh Nien 07:58 26/02/2020, A]
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