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[特集]

日本で末期がんと闘うベトナム人留学生、帰国望むも新型コロナで足止め

2020/04/19 05:12 JST更新

(C) thanhnien
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 南中部沿岸地方ダナン市出身のダン・ティ・ミン・アインさん(女性・26歳)は、留学先の大学を卒業するため日本に滞在している間に、予期せず末期の肺がんと診断された。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でベトナムに帰国することができず、日本の病院のベッドで日々を過ごしながら、家族との再会を切望している。

 ミン・アインさんは2014年に日本へ渡り、大阪府茨木市にある追手門学院大学でマーケティングを学んだ。2019年のクリスマス、ミン・アインさんは2020年3月の卒業に向けて、ベトナムから日本に戻った。しかし、日本に戻ってから何日も喀血が続いた。病院で検査を受けたところ、2020年1月半ばにがん専門の病院に移され、末期の肺がんと診断された。

 「テト(旧正月)にはベトナムへ帰るつもりでしたが、1月28日に医師から末期がんだと告げられました。その時は身体も弱っており、すぐに入院しなければならなかったので、日本に残りました。その後、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、両親が私に会いに日本へ来ることもできないままです」とミン・アインさんは語った。

 入院中は、知人や友人がお見舞いに来てくれて、家に帰ってからも恋人が世話をしてくれたため、ミン・アインさんの心は慰められた。何度も投薬をし、家のあちこちに抜けた髪の毛が落ちた。そこで、ミン・アインさんは2月に髪の毛を全て剃った。つるつるになった頭を見ると悲しみが沸き上がったが、乗り越えるために頑張ることにした。

 その後、ミン・アインさんは4月2日に再び入院し、翌日には肺の圧迫により横になっていなければならず、身動きもとれず、ものを食べることもできなかった。ここ2~3日は落ち着き、自分で起き上がり、少しのお粥や果物を食べることができるようになった。

 タインニエン(Thanh Nien)紙の記者と話している間、ミン・アインさんはかなり疲れた様子だったが、「悲しんでいても何も解決できませんし、身体も弱ってしまいます」といつも前向きだった。

 ミン・アインさんは、「最初は新型コロナウイルス感染症の流行が収まったらベトナムに帰るための航空券を購入するつもりでした。でも、入院してさらに検査を受けたところ、病状は悪化しているそうで、医師は私に、家族を日本に呼ぶことができるかとたずねました。そして、まだ動けるうちにベトナムに帰ることも考えたほうがいい、と告げました。今は、一刻も早くベトナムに帰りたいです」と語った。

 ミン・アインさんの父親であるダン・フオック・クオンさん(男性・62歳)は、娘がベトナムに帰国し、故郷で治療を続けながら暮らせるよう、駐日ベトナム大使館に嘆願書を送った。クオンさんは、もともととても心の強いミン・アインさんが「何とか帰国したい」とフェイスブック(Facebook)に書き込んでいるのを見るたびに涙があふれるという。

 クオンさんは、「2週間前はミン・アインの病状も良くなっていたのですが、最近になってまた入院してしまい、酸素吸入をしなければならない状況です。この病気は予測ができないので、医師が前もって何か言うこともできません」と声を詰まらせた。

 「娘からがんだと聞いたとき、家族皆たくさん泣き、食べることも寝ることもできませんでした。病気がわかったとき、ミン・アインは私に、すぐにベトナムへ帰りたいと言いました。でも、私は娘に日本で治療を受けて、病状が安定したら帰ってくるように言いました。そんな中、新型コロナウイルス感染症のせいで多くの便が欠航し、娘は日本に足止めになり、私たち家族が日本へ行きたくても行けなくなってしまいました」とクオンさん。

 クオンさんたち家族の願いは、ミン・アインさんがすぐにでもベトナムへ帰国することだ。クオンさんらは、ミン・アインさんが日本からハノイ市のノイバイ国際空港に到着し、そのままダナン市へ乗り継ぎ、隔離と治療を受けられるよう切望している。

 駐日ベトナム大使館は、クオンさんからの連絡を受け、ミン・アインさんが帰国できるよう手配している。 

[Thanh Nien 08:22 15/04/2020, A]
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