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[特集]

テト名物、家族で70年作り続ける生姜の砂糖漬け

2024/01/28 10:16 JST更新

(C) VnExpress
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 東南部地方ビンズオン省トゥアンアン市フンディン街区在住のチャン・トゥエット・フオンさん(女性・50歳)はこのところ、テト(旧正月)用に販売する生姜の砂糖漬け作りに大忙しだ。フオンさんの家族は、70年もの間、生姜の砂糖漬けを作り続けている。

 ビンズオン省では、トゥアンアン市のビンニャム街区とフンディン街区の周辺に、約100年もの伝統を有する生姜の砂糖漬けの伝統工芸村が集まっている。

 「父方の祖母は生涯、生姜の砂糖漬けを作り続けていました。このあたりではもう、数軒しか作っていません」と、フオンさんは乾燥させる生姜を運びながら話す。

 ビンズオン省の生姜の砂糖漬けの特徴は、他の地域のように生姜を薄くスライスするのではなく、原形を保ったまま白砂糖をまぶすという点だ。今年のテトに、フオンさん一家は前年よりも100kg少ない、300kg分の生姜の砂糖漬けを作るという。

 「きっと経済的に厳しいご時世だから、テトの買い物も減っているんでしょうね。他のところと比べたら、うちはまだ多く作っているほうですよ」とフオンさんは語る。

 テト用の砂糖漬けのシーズンは、旧暦9月から始まる。この伝統工芸村の各世帯では、辛みと香りが強い、南中部高原地方ダクラク省から仕入れた生姜のみを使う。生姜は手のひらほど大きく、食べたときに繊維っぽくならないよう、寝かせすぎない新鮮なうちに加工する。

 生姜は皮をむき、きれいに洗う。平均して1人あたり1日に約5kgの生姜の皮をむく。それから生姜をトレイに並べて、針のついた機械で押しつぶす。

 フオンさんの夫であるリー・ホアン・バンさんは、自作の針のついた機械に生姜を並べたトレイを乗せ、生姜を押しつぶす。この機械で1日に約20kgの生姜を処理することができ、この作業をすることで、生姜が柔らかくなり、風味がより均一になる。

 「今年は機械を導入したので、やっと手作業ではなくなりました。生産性は以前の4倍に向上しました」とバンさんは話す。

 押しつぶした生姜は水に浸してから、4日間天日干しする。その後、辛みがなくなるまで煮て、冷水ですすいで砂糖をまぶし、さらに数日間乾燥させる。水に浸している間にライムを絞ると、生姜がより柔らかくなり、透明感も増す。

 砂糖をまぶした生姜を乾燥させる間は、ハエやハチ、アリなどの虫が寄ってこないように蚊帳で守る。1週間ほど乾燥させたら、50kg分入る大きなバケツに移し、テトが近づくまで保管しておく。

 そして、テトの20日くらい前になったら取り出し、砂糖水で10~15分ほど煮る。砂糖水で煮る作業は、生姜が焦げることなく明るい黄色になるように、絶えずかき混ぜなければならない。最後に、白砂糖をまぶしてパックに詰めれば完成だ。だいたい、1kgの生姜を加工すると、完成時には800gほどになる。

 生姜は下処理をしてから水に浸し、煮て、乾燥させるという工程を経ることで、最後の工程に着手するまでに1年間は保管できるという。すべての作業は、配達に間に合うように旧暦12月15日までに終える。

 生姜の砂糖漬けは、美しい黄褐色であること、生姜の元の形が崩れすぎていないこと、柔らかく、わずかな辛みと特徴的な香りがあることがポイントになる。500g入りの1パックの卸売価格は6万VND(約360円)で、4~5か月は保存できる。

 「美味しい生姜の砂糖漬けを作るには、大変な工程をいくつも経なければなりません。そのため、子供たちは誰もこの仕事を継いでいないんです」とフオンさんは語った。 

[VnExpress 06:00 23/01/2024, A]
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