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[特集]

沖に流された子どもを救った2人の日本在住ベトナム人青年

2025/09/28 10:20 JST更新

(C) thanhnien
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 2025年8月11日午後、三重県津市の海岸で日本人の子ども2人が強風と大波で沖合に流され、現場に偶然居合わせたベトナム人男性2人が子ども2人を救出するという出来事があった。

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では、危険を顧みず子どもを救出した男性2人の勇敢な行動に賛辞の声が上がった。

 そのとき、日本人の男の子と女の子が海岸の遊び場の近くで浮き輪に乗って遊んでいたところ、突然の強風と大波で岸からおよそ100mの沖合に流され、海岸沿いに約700mも漂流してしまった。

 潮の流れも速く、浮き輪がいつ転覆してもおかしくない危険な状況に気づいたベトナム人のファム・クオック・ダットさん(男性・27歳)とトン・マイン・トゥアンさん(男性・30歳)は、すぐさま海に飛び込み、救出に向かった。

 ベトナム現地紙の取材に対し、ダットさんは当時についてこう語る。

 「あの日、海で遊んでいると、遠くから助けを求める声が聞こえて、浮き輪に乗った子ども2人が波にさらわれて流されているのが見えました。僕とトゥアンさんは何も考えず、2人のところまで泳いで行って救出しようとしました。でも、あのときは風も強く、波も高く、潮の流れも速くて、その方法ではうまくいかず、いったん岸に戻って救助方法を変えることにしました」。

 その後、2人は海岸沿いを走り、子どもたちが流されている位置に並行する場所まで行ってから、自転車のタイヤチューブを利用した浮き輪を使って再び海に入った。幸いなことにダットさんは自転車販売をしていて「特製の浮き輪」を持っており、扱いにも慣れていた。

 ダットさんとトゥアンさんは、今度こそ子どもたちに接近することができ、子どもたちを安心させようと声をかけ続けた。2人が自分たちを助けようとしているのだとわかり、子どもたちは落ち着きを取り戻した。

 そして、30分以上にわたる波との格闘の末、ダットさんとトゥアンさんは子どもたちを無事に岸まで連れ戻し、家族とその場に居合わせた人々が歓喜する中でこの救出劇は幕を閉じた。

 「子どもたちを助けようと泳ぎ出したときは、何も考えていませんでした。ただ、2人が危険にさらされているのを見て、何とかして助けようということしか頭にありませんでした。子どもたちに何かあったらどうしようとそれだけを恐れていて、できるだけ早く2人に近付こうと思っていました」とダットさんは語る。

 一方のトゥアンさんは、SNSで賛辞の声が殺到したことについて、「自分の生活はこれまで通り、仕事も普通にしています。ただ、これは一生忘れられない経験です。あんな状況で人を助けたのなんて初めてのことですから」と笑いながら話す。

 ダットさんは旧バリア・ブンタウ省(現ホーチミン市)出身で、日本には6年間在住しており、現在は自転車販売店とカフェを経営している。一方、トゥアンさんは南中部地方ザライ省出身で、日本で何年も暮らしている。

 その日、現場で一部始終を目撃していたフオン・リンさん(男性)は、同じ日本在住ベトナム人として、善良な2人の行動に心から感動し、誇りに思うと語る。

 「異国の地で、彼らは自らの命の危険も顧みず、強風と大波をものともせず、日本人の2人の子どもを救いました。これはただの勇敢な行動というだけでなく、人情の証であり、他人を助けるためなら見返りを求めないという、思いやりに満ちた、我々ベトナム人の良さを表すような行動だったと思います」とリンさんは話す。

 リンさんは加えて、こうした行動こそが、ベトナム人と日本人との絆をより深めるきっかけになるだろうと語った。 

[Thanh Nien 06:00 15/08/2025, A]
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