[特集]
ごみ拾いの少年がベトナム初のドローン開発者に、米国警察も採用
2026/04/19 10:07 JST更新
) (C) kinhtechungkhoan |
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ドローン製造会社のリアルタイム・ロボティクス(Realtime Robotics)の創設者であるルオン・ベト・クオックさん(男性)は、ホーチミン市のニエウロック・ティゲー運河沿いで、貧しく苦労の多い幼少期を過ごした。苦しかった日々の中、クオックさんは家族の家計を助けるため、深夜1時から2時までごみ拾いをして収入を得ていた。
13歳のときには、生計を立てるため日中はカウムオイ市場でライムや唐辛子を売った。15歳になると、さらにイトミミズを捕まえて売る仕事も始めた。貧しいゴーマー地区で育ったクオックさんの生活は苦労の連続だったが、同世代の多くの友人たちに比べれば、見捨てられることなく勉強を続ける環境があっただけ幸運だった。
高校3年生の課程を修了したものの大学受験に不合格だったクオックさんは、ホーチミン市金融高等専門学校に進学することを選び、その後大学へ進んで英語の勉強に打ち込んだ。
1994年には、越米科学技術協力委員会が主催したTOEFLの試験で610点を獲得し、150人の受験者の中で6位という成績を収めた。この結果が、国際的な学習や研究プログラムへの扉を開くきっかけとなった。
2002年、米国のフルブライト奨学金を獲得した優秀な候補者26人のうちの1人に選ばれた。米国に渡って修士課程で学び、その後も努力を重ねて博士課程の奨学金を得て、プログラム修了後は米国に残って働いた。米国で学び研究したこの期間に、ハイテク分野での専門的な知識と経験を蓄積し、その後のさらなる飛躍への基礎を築いた。
2014年、無人航空機(UAV=ドローン)技術のブームを目の当たりにしたクオックさんは、米国のサンフランシスコでこの分野のスタートアップ企業を設立することを決意した。3年後の2017年、ベトナムにドローン製造会社のリアルタイム・ロボティクスを設立し、ベトナム人として初めてドローンの製造ライセンスを取得した。
これは、国内のテクノロジー産業に貢献したいという志を持った1人の科学者の帰国を示す、重要な節目となった。
リアルタイム・ロボティクスは、「人類の進歩のためのドローン技術革新」という明確な使命のもとで活動している。同社は、より環境に優しくクリーンな農業の構築に貢献し、クリーンエネルギーの発展を促し、消防や救難・救助活動を支援し、環境保護や安全な社会づくりに寄与することを目標としている。同時に、自由と領土の主権を守るため、軍事分野向けのドローンソリューションの提供も目指している。
長年にわたりすべての資源を研究開発に集中させてきたリアルタイム・ロボティクスは、「ヘラ(Hera)」というドローンを生み出し、重要なブレイクスルーを達成した。これは、国際市場の同クラスの機器と比べても極めて優れていると評価される製品だ。
ドローンの価値を決める核心は、搭載できる機器と積載能力にある。物理的に重いものを持ち上げるには、十分な強さのモーターと、それに合ったサイズのプロペラが必要になる。
リアルタイム・ロボティクスは、バックパックに入れて持ち運べるほどコンパクトに折りたためるにもかかわらず、最大15kgと同類の多くの製品の7倍もの積載能力を持つ「ヘラ」を開発することで、この課題を解決した。
積載量が最適化されているだけでなく、「ヘラ」は柔軟に使えるスペースを備えた設計になっている。世界中の多くのドローンが荷物1つ、あるいはカメラ1台を取り付けるスペースしか持たない中、「ヘラ」は小型でありながらゆとりがあり、4つの異なる位置に4台のカメラを同時に取り付けたり、カメラと投下装置を組み合わせたりすることができる。この構造により、多様な条件や目的に応じた任務遂行能力が飛躍的に広がった。
発表当時から、「ヘラ」は専門家の間で「世界をリードしており、同じクラスに直接のライバルはいない」と評価されていた。こうした見方は、国際的な展示会で製品が紹介された後、多くの権威ある専門家たちによる評価によってさらに確かなものとなった。
特に、2022年にベトナムで開催された防衛・セキュリティ国際展示会で、「ヘラ」シリーズは国際社会から大きな関心を集めた。とあるドローン専門誌は、「現在、『ヘラ』は12の優れた機能を備え、最高レベルの戦闘能力を持つ世界で唯一の無人航空機だ」と評した。
国際市場に進出した後も、「ヘラ」はその性能と機能で引き続き認められている。リアルタイム・ロボティクスは、米国のドローン販売大手のロッキー・マウンテン・アンマンド・システムズ(Rocky Mountain Unmanned Systems=RMUS)とドローン供給契約を結び、その最初の出荷分は米国の警察部隊に引き渡された。
「ヘラ」は1機あたり5万USD(約800万円)以上と、同種の製品に比べて約1.5倍も高い価格だが、それでも海外のパートナーからの関心を集め、注文を受けている。クオックさんの会社は、「ヘラ」を米国へ輸出する500万USD(約8億円)相当の契約を結び、ヨーロッパ市場への拡大も目標に据えている。
現在、ベトナム国内では、このドローンが公安省消防・救難救助警察局(C07)によって試験的に使用されている。
貧しい運河沿いでごみを拾っていた少年から、グローバルなテクノロジー企業のリーダーへと歩んできたクオックさんの道のりは、困難を乗り越える強い意志と、知識を追い求める粘り強い精神を示している。
ベトナム人の知恵と創造力の結晶であるドローンの「ヘラ」は、世界の舞台でベトナムのハイテク研究と製造能力を証明することに貢献している。
[Kien Thuc Dau Tu 14:58 25/02/2026, A]
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