[特集]
旅行者を魅了するホイアンの「超特急スーツ仕立て」と若き職人たち
2026/06/28 10:11 JST更新
) (C) thanhnien |
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南中部地方ダナン市のホイアン旧市街で多くの店が閉まった後も、チャンフー(Tran Phu)通り、ファンチューチン(Phan Chu Trinh)通り、レロイ(Le Loi)通りの奥にある小さな家々では、ハサミで布を切る音、アイロンから立ち上るシューという蒸気の音、そしてミシンの音が夜通し規則正しく響いている。
「眠らない」ミシンの音
狭い裁断机を照らす黄色い明かりの下、グエン・アイン・クオックさん(男性・34歳)はアッシュグレーの布地の上に身をかがめ、ホイアンでスーツの仕立て業に20年近く携わってきたことで深く染み付いた反射神経のように、素早くハサミを動かしている。
16歳で裁縫を学び始めたクオックさんは、多くの若い職人が旧市街の仕立て屋に入ってきては去っていくのを見てきた。「忍耐力がなければ、この仕事を続けるのはとても困難です。最大のプレッシャーは時間です。『朝に採寸、夕方に受け取り』というブランドがあるため、すべての工程が時間との戦いになるからです」とクオックさんは語る。
ホイアンは昔から超特急のオーダーメイドサービスで有名だ。旅行者はわずか数時間で、世界中の他の多くの場所よりも手頃な価格で、自分のサイズに合わせて仕立てられたスーツを手に入れることができる。
1990年代後半から、スーツの仕立て業は旧市街の観光の一部となっていった。大量生産のファッションや既製服が市場を席巻する時代にあっても、ホイアンの多くの若者は今もなお、ミシンの前に座り、一針一針にこだわって服を仕立てている。
クオックさんによると、繁忙期には工房全体が早朝から深夜まで稼働する。外国人観光客は慌ただしく訪れては去っていくため、すべての工程においてミスはほとんど許されない。
「朝に採寸して、夜には試着しに戻ってくるお客様もいます。肩やウエストが少しずれているだけでも、お客様のフライトに間に合わせるために、すぐに直さなければなりません」とクオックさんは話す。
1着のスーツが完成するまでには、採寸、素材選び、型紙作り、裁断、縫製、試着後の直しなど、多くの工程を経る必要がある。最も難しいのはハサミや針の作業ではなく、いかにして着る人の身体にスーツを「ぴったりと」合わせるかだ。
「美しいスーツとは、お客様が着たときに、まるでずっと前から自分のものだったかのように快適に感じられるものなんです」とクオックさんは語る。
ホイアンという名の思い出
工房の片隅で、ボー・ダン・フン・アインさん(男性・25歳)がネイビーブルーのスーツジャケットの最後の縫い合わせ作業に没頭している。
アインさんは仕立ての道に進むため、16歳で学業を中退した。「毎日同じ作業の繰り返しですが、退屈だと思ったことは一度もありません。きっとこの仕事に縁があるんでしょう」とアインさんは笑う。
アインさんにとって、1着のスーツは何時間にもわたる慎重な作業の結晶だ。「この仕事のおかげで安定した収入を得られ、家族を養うことができています。でも、何よりも私を惹きつけているのは、自分自身の手で、美しくお客様にぴったり合った製品を作り上げたときに感じる誇りなんです」とアインさんは語る。
ホイアンでは、スーツの仕立て業は単なる生計を立てるための仕事ではない。多くの若者にとって、それは旧市街の思い出の一部を守り伝える方法でもある。近代的なサービスが日々増える中、手作業によるオーダーメイドの仕立ては、多くの外国人観光客にホイアンを印象付ける独自の魅力となっている。
小さな試着室では、フランスのパリから訪れたという旅行者のエルワン・サビナさん(36歳)が鏡の前に立ち、1日も経たないうちに仕上がったスーツの襟を整えている。「こんなに早く仕上がるとは驚きです。でも、それ以上に印象に残ったのは、品質と職人のプロ意識ですね」とエルワンさんは語る。
エルワンさんは友人の紹介で旧市街の仕立て屋を訪れたという。最初は単なる面白い体験のつもりでいたが、ほぼ完璧にフィットするスーツを受け取って、ホイアンの仕立て業が長年にわたって有名である理由を理解した。「ここの人たちは本当にプロですよ」とエルワンさんは評価する。
オーストリアからの旅行者であるヘルムートさん(55歳)は、わずか数日のホイアン滞在でスーツを仕立てた。スーツを仕立てることがホイアンを目的地に選んだ主な理由ではなかったが、初めて体験してみて、これは「試してみる価値が大いにある」と思ったという。
「オーストリアでは、このようなスピーディーな仕立てサービスはほぼ不可能です。ホイアンの皆さんは本当に素晴らしい仕事をしています」とヘルムートさんは語る。
多くの外国人観光客にとって、ホイアンで仕立てたスーツは単なる衣服ではない。それは、旅行の思い出、黄色い明かりに照らされた街並み、そしてミシンに向かって静かに働く若い職人たちの思い出を刻んだお土産のようなものでもあるのだ。
「仕事を守ることは、ホイアンの魂を守ること」
ホイアン旧市街にある家族経営の仕立て屋「キムトゥイ・クロス(Kim Thuy Cloth)」の管理を担当するチュオン・バー・ダットさん(男性・25歳)は、胸の内をこう明かす。「ホイアンでのスーツの仕立ては単なるサービスではなく、旅行者と地元の人々を結ぶ、心の架け橋でもあります。この仕事に就き、この仕事を守ることは、ホイアンの魂を守ることでもあるんです」。
ホイアンの仕立て業の最も特別な点は、職人と客とのつながりにある。ここを訪れる客は単に服を買うだけでなく、職人と一緒に生地の種類、糸の色、襟の形などを一つ一つ選んでいく。
ダットさんが長年この仕事をしてきて最も印象に残っているのは、ベトナム系オーストラリア人のカップルが結婚式用のスーツとアオザイ(ベトナムの伝統衣装)を仕立てるためにホイアンを訪れたときの話だ。「数ある選択肢の中から、彼らは人生で最も大切な日にベトナムの伝統的な手仕事を採り入れようと、旧市街を選んでくれたんです」とダットさんは話す。
しかし、ホイアンのスーツの仕立て業もまた、少なくない試練に直面している。ファストファッションの発展、季節によって変動する観光客数、絶えず変化する嗜好により、多くの小規模な店舗が事業の縮小を余儀なくされている。
また、多くの若者がこの仕事に就くものの、仕事のプレッシャーや不規則な生活リズムが原因で、わずか数年で離れていく。職人は優れた技術だけでなく、トレンドを常に把握し、外国人観光客とコミュニケーションを取り、様々なスタイルに適応する能力も求められる。
ミシンから離れて、より楽な仕事を探す若者もいる。しかし、クオックさんやアインさん、ダットさんのように、この仕事を続ける人たちもいる。「私がスーツの仕立て業を守りたいと願っているのは、これが生計を立てる手段であると同時に、ホイアンの文化的な魂の一部でもあるからです。若者が受け継がなければ、観光客が求める独自の魅力が失われてしまうでしょう」とクオックさんは打ち明ける。
深夜近くになり、旧市街の人影はまばらだ。人気のなくなった通りに漏れる黄色い明かりの下で、クオックさんはマネキンに着せたスーツの肩のラインを丁寧に整えている。その傍らで、アインさんはミシンに向かい、作りかけの服の最後のステッチを仕上げている。こうして、ホイアンの夜に、ミシンの規則正しい音が今も響いている。
[Thanh Nien 08:11 21/06/2026, A]
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