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[特集]

ソ連寄贈のヤシ林、40年以上を経てリゾートに変貌 クアンガイ省

2026/09/13 10:33 JST更新

(C) VnExpress
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 南中部地方クアンガイ省には、かつてソビエト連邦(ソ連)から寄贈されたヤシ林がある。企業からヤシ林を伐採してエビ養殖池を建設する提案があったものの、地元の指導者たちはこれを拒否し、このヤシ林を保存して観光開発に活用することを決めた。

 17~19世紀に貿易港として栄えたトゥーサー(Thu Xà)旧市街の外れに位置し、現在はクアンガイ省トゥーギア村(xã Tư Nghĩa、旧トゥーギア郡)に属するバイズア(Bãi Dừa)は、クアンガイ省で名の知れた観光地となっている。「ズア(Dừa)」は「ココナッツ」を意味する。

 フオックザン(Phước Giang)川の支流であるブックホン(Vực Hồng)川が海へと注ぐ河口にある10ha超の敷地には、1000本以上のヤシの木が涼しげな木陰を作っている。その多くは樹齢を重ね、高さは20~30mにも達する。このヤシ林の始まりが、1982年にソ連から寄贈を受けて植えられた約500本の苗木であったことを知る人は少ない。

 旧トゥーギア郡ギアホア村(xã Nghĩa Hòa)の共産党委員会元書記 兼 人民委員会元主席であり、40年以上にわたりこの地でヤシの成長を見守ってきたチャン・チュオン・ブーさん(男性・72歳)は、「当時、ソ連はトゥーギアでヤシ油工場を建設するプロジェクトを進めていて、原料を得るために約500本のヤシの苗木を寄贈してくれました」と振り返る。

 ヤシ林ができる前、この地域は旧地主の名にちなんで「バイオンブオック(Bãi Ông Bước)」と呼ばれていた。低地の砂質土壌で、洪水の季節には一面が水没するため、地元住民は主にサツマイモやスイカを栽培していた。

 ソ連から寄贈されたヤシの苗木は、やや塩分を含んだ海岸の砂質土壌にすぐに適応し、次第に河口一帯は緑に覆われていった。このヤシの実から採れるココナッツジュースは独特の甘みがあり、飲むとほんのり炭酸が効いたような爽やかさが感じられる。

 その後、ヤシ油工場は操業を停止し、この地域は協同組合と地元自治体に管理が引き継がれた。原料供給地としての役目を終えた後も、ヤシ林は心地よい木陰を提供し、浸食を防ぐ役割を果たしている。

 約15年前、ある企業からヤシ林を伐採してエビの商業養殖池を掘るという提案があった。当時、旧ギアホア村人民委員会主席を務めていたブーさんは、地元の人々の意見を聞いた上で、この提案を断固として拒否した。

 「ブックホン川の近くにエビ養殖池を掘れば、この地域全体が破壊され、一帯が水没してしまうと考えました。ここを守り、緑豊かで清潔なエコツーリズム地区にするしか道はありませんでした」とブーさんは語る。観光開発というアイデアはその後、村の共産党大会と人民評議会の決議に盛り込まれた。

 2018年、クアンガイ省人民委員会は、ヤシ林でのエコリゾート開発プロジェクトへの投資を承認した。当時は多くのヤシの木が生育不良で弱っていたため、プロジェクトの投資主はヤシ林を回復させるべく、作業員を雇って施肥や手入れを行った。地面に落ちた熟したヤシの実は回収され、補植用の苗木として育てられた。

 リゾートは「ココナッツ(coconuts)」と「土地(land)」を組み合わせた「ココランド(Cocoland)」と名付けられ、バイズア初かつクアンガイ省初の4つ星リゾートとして誕生した。ココランドという名前が選ばれたのは、ソ連とベトナムの友好の証であるバイズアの歴史を守り、継承していきたいという投資主の思いからだ。

 当初の約500本の苗木と、自生した木、新しく植えられた木を合わせて、現在のリゾート全体にはさまざまな樹齢のヤシの木が1000本以上ある。大きなヤシの木には管理のために白い石灰で番号が記されている。リゾートは、建築から内装に至るまで、ヤシをデザインの中心に据えている。

 リゾートには滞在客のニーズに応える2つのプールが設けられている。1つは地上にあり、建物と両側に並ぶ2列のヤシの木に囲まれている。もう1つは屋上にあるインフィニティプールで、水面にヤシの葉が映り込む美しい光景を楽しむことができる。

 朝食にはビュッフェが用意され、ココナッツライス、チキンライス、レンコンスープといった地元の特産料理を別途注文することもできる。収穫期に訪れれば、採れたてのココナッツが提供される。

 宿泊客は、リゾートに隣接する地元住民のいかだ式の水上レストランで新鮮なシーフードを味わったり、旧ギアホア村エリアでクアンガイ省の特産品である二枚貝の一種「ゾン(don)」を使った料理を楽しんだりすることもできる。

 バイズアから3~5km離れた場所には、クアンガイ省でよく知られるギアアン(Nghĩa An)ビーチやドゥックロイ(Đức Lợi)ビーチがある。また、コールイ(Cổ Lũy)橋を渡れば、ティエンマー(Thiên Mã)山にある東南アジア最高の観音像や、ニッパヤシのマングローブ林、ミーケー(Mỹ Khê)ビーチを訪れることもでき、さらにはリーソン(Lý Sơn)島へ渡ることもできる。

 歴史探訪を好む旅行者は、西へ向かえばトゥーサー旧市街にアクセスでき、オン寺(Chùa Ông)や海南会館(Hội Quán Hải Nam)などの史跡のほか、氷砂糖作り、飴作り、ゴザ編み、獅子舞の頭の制作といった数百年の歴史を持つ伝統工芸に触れることもできる。

 初めて訪れる旅行者からは、バイズアは旧クアンガイ市の中心部から約8kmとやや離れており、道路が狭く、交通インフラの整備も不十分で、周辺には娯楽施設が少ないため、統合的な観光エコシステムが形成されていないとの声もある。

 南中部地方ダナン市から観光で訪れたというチャン・ティ・アイン・グエットさん(女性)は、「ここは緑が豊かで、空気もとても爽やかです。樹齢を重ねたヤシの木陰で、甘くて冷たいココナッツジュースを味わえるなんて、本当に素晴らしい体験ができました」と語る。

 クアンガイ省文化スポーツ観光局のファム・ティ・チュン局長は、このリゾートについて、文化的・歴史的価値の保存と活用を軸とした観光開発の代表例だと話す。今後、同局は関係機関と連携し、交通インフラの一体的な開発施策を省当局に提言するとともに、リゾート地への誘客と地域文化を体験する機会の拡大を図る計画だ。

 リゾートの運営会社は、景観の形成だけでなく、ココナッツを飲料や食材、土産品としても活用できるよう、陸地と水面を合わせた15ha全体で、ヤシの苗木の育成と補植を続けていると明かした。

 ココランドは、ヤシの木をこの土地の歴史の証人として観光客に紹介していきたいとしている。 

[VnExpress 07:00 08/09/2026, A]
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