[特集]
私財を投じて地域を守る、ドンタップ省の有志消防隊
2026/10/11 08:20 JST更新
) (C) VnExpress |
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南部メコンデルタ地方ドンタップ省タンタイン村(xã Tân Thạnh、旧タインビン郡)のファム・バン・ヌンさん(男性・54歳)は、自費で15億VND(約910万円)近くを投じて大容量ポンプ6台を購入し、有志の消防隊を設立した。この消防隊は、過去5年間に地域で発生した20件以上の火災を消し止めてきた。
10月初旬のある朝、タンタイン村のタンタイン市場(Chợ Tân Thạnh)で農業資材店を営むヌンさんは、店を開けて客を出迎える。客が途切れると、ヌンさんは消防機材の保管場所へ向かい、整理や清掃、メンテナンスを行う。どんなに忙しくても、日曜日の朝は必ず点検やバッテリーの充電、注油に時間を充てている。
「始動させたらすぐにエンジンがかからなければなりません。消火活動で不具合が起きたら大変ですからね」とヌンさんは話す。
20年以上前、義父が火災に備えて水ポンプを常備している姿を見て、ヌンさんは火災への備えの重要性を痛感した。それ以来、家族や近所の人々を守るため、本格的な消火設備を整えたいという思いを温めてきた。
2021年、ヌンさんは日本のトーハツ(Tohatsu)製の中古水ポンプを8500万VND(約52万円)で購入した。それから間もなく、自宅から70mほど離れた近所の家で火災が発生し、ヌンさんはポンプを持ち出して放水した。
機材を初めて現場に投入したことで、ヌンさんはその本当の価値を実感したという。「火を消し止めると、家主は私を抱きしめ、泣きながら感謝してくれました」とヌンさんは振り返る。
この出来事をきっかけに、ヌンさんは消火設備を拡充するために資金を貯め始めた。ヌンさんはさらに5台のポンプを購入し、3台は子どもの家に配備し、残る3台は自宅に置いて「いつでも火災に立ち向かえる体制」を整えた。
ヌンさんが所有する6台のポンプはすべて大容量モデルで、毎分1200~1400Lの水をくみ上げ、30m先まで放水できるほか、500m離れた水源からもホースで水を引くことができる。ポンプは消火活動1時間あたり平均20Lのガソリンを消費する。
また、メンバー間の連携用にトランシーバーも備えており、防護装備は地元当局から提供されている。ヌンさんは過去5年間に、これらの消火機材を使って22件の火災を消し止めた。
ヌンさんの消火活動を見た地元住民20人が、隊への参加を申し出た。こうして8月14日、地元当局による「ハイヌン(Hai Nùng)有志消防救助隊」の設立手続きが完了し、本格的な訓練も行われた。
同隊はこれまで、消防当局の活動を力強く支えてきた。直近では、国道30号線沿いの縫製工場で火災が発生した際、ヌンさんはポンプ4台を現場に投入し、消火活動に加わった。隊員らは近くの池から水を汲み上げ、朝から夕方まで放水を続け、火災を抑え込んだ。
それ以前にも、旧タムノン郡の水産会社近くで発生した火災に即座に駆けつけ、ポンプ2台を10分間フル稼働させ、隣接する住宅の全焼を防いだ。
ヌンさんは隊員に対し、「絶対に無茶はしない」という厳しい原則を定めている。現場に早く到着した場合は消火に全力を尽くすが、すでに火が激しく燃え上がっている場合は、放水によって火勢を抑えて隣家への延焼を防ぐことを最優先とし、専門的な対応は消防当局に委ねる。
「ハイヌン有志消防救助隊」の隊員であるグエン・フオック・チエウさん(男性)は、地元住民もこの取り組みを応援していると語る。ガソリン代や設備の維持費として毎月かかる数十万~数百万VND(10万VND=約610円)は、すべてヌンさんが農業資材店の収入から負担している。
タンタイン村警察副署長のボー・ミン・ニー中佐によると、ヌンさんと有志消防隊の活動は、地域の緊急対応力の向上に役立っているという。
ヌンさんは、将来、所有するすべての機材を隊の若い世代に引き継ぎ、地域貢献活動を続けてもらいたいと考えている。
[VnExpress 07:57 02/10/2026, A]
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