VIETJO - ベトナムニュース 印刷する | ウィンドウを閉じる
[特集]

帰国後の仕事探しに苦戦するベトナム人労働者、再び海外へ

2026/10/25 08:34 JST更新

(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
 ベトナムに帰国してから1年間にわたり職業訓練や求職活動に奔走した末、ラムさん(男性)は2025年末に再び日本へ渡り、医療通訳の分野で働きながら学んでいる。

 高校を卒業後、ラムさんは1億6000万VND(約98万2000円)の費用をかけて日本語を学び、技能実習生として訪日した。自身の学力では、大学を卒業したところで月収700万~800万VND(約4万3000~4万9000円)の仕事を見つけるのにも苦労するのではないかと考え、兄や姉のように大学へ進学するという道は選ばなかった。

 ラムさんは、日本で自動車塗装分野の技能実習生として3年間働いた。朝に出勤して夜に帰宅する仕事は比較的楽だったものの、「かなり退屈」でもあった。友人も趣味も多くなかったラムさんは、日本語の勉強に没頭した。

 3年間の契約を終えてベトナムに帰国したラムさんは、先輩たちの意見を参考にしつつ、コンピュータを扱うのが好きだったこともあり、人気が高かった情報技術(IT)分野を学ぶことにした。自分が好きなことを学ぶべきだと考えていたが、学べば学ぶほど「頭に入らず」、自分には難しいことに気づいた。

 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる水準とされる日本語能力試験の「N3」に合格したラムさんは、日本料理店で働き始めた。

 日本で数年間生活し、働いた経験がコミュニケーション上の強みとなり、日本人の仕事の進め方にも慣れていた。しかし、店の経営がうまくいかず、店舗を明け渡して閉店することになったため、ラムさんは仕事を失った。

 26歳のラムさんは、再び日本へ戻るという選択肢を考えるようになった。

 契約を終えて帰国した労働者の間では、ラムさんのような選択をする人は少なくない。財政省傘下統計局(NSO)が2026年9月に発表した海外派遣労働者に関する報告書によると、調査に応じた帰国者の27%が再び海外へ働きに出たいと考えていることが分かった。

 その大半は、現地での生活や仕事に慣れ、同郷者のネットワークもあり、好収入の仕事に就ける見込みがあることから、かつて働いていた場所へ戻ることを希望している。

 帰国者のうち、95%が単純作業を中心とする仕事や、専門知識・技能をあまり必要としない仕事に従事している。最も一般的な職種は職人や関連職種で、約31%を占める。次いでサービス業従事者、警備員、販売員が約25%となっている。男性は主に職人として働き、女性は販売や個人サービス業に従事している。

 専門知識・技能を要する仕事に就いている帰国労働者はわずか5%超で、このうち高度な専門知識・技能を要する仕事が3%、中程度の専門知識・技能を要する仕事が2%となっている。

 中部地方出身の労働者であるトゥエンさん(男性)は、2019年にベトナムに帰国した際、自分に合った仕事が見つかると信じていた。韓国で約5年間働く中で身につけた日常会話レベルの韓国語と工場での実務経験を生かし、トゥエンさんは北部地方バクニン市に拠点を置く電子分野の韓国系外資企業に応募した。

 仕事は生産ラインで働きながら、ベトナム人作業員が機械のトラブルに直面した際や、韓国人管理者とやり取りする際の通訳も担当するというものだった。

 しかし、トゥエンさんはベトナムに約1年間滞在した後、再び韓国への渡航を申請した。ベトナム国内での仕事の収入は海外での約40%にとどまり、職場環境も「思っていたのとは違った」からだ。韓国語を生かして業務をサポートすることはできたが、別の職種に移るには専門知識や技能が不足していた。

 「帰国後の環境にはなかなか適応できませんでした。向こうの環境に慣れていて、まだ家庭などのしがらみもなかったので、もう一度韓国に行くことにしたんです」とトゥエンさんは振り返る。

 2度目の韓国滞在では、プラスチックリサイクルを行う工場に移り、トラックやフォークリフトの運転免許を追加で取得した。2022年末に帰国した時点で、海外で働いた期間は通算10年に達していた。

 トゥエンさんは、就労ビザを上位区分に切り替えて契約を延長できる条件を満たしていたが、最終的には家族のために帰国を選んだ。トゥエンさんと同じ時期に渡航した友人の大半は、現地にとどまり、上位の技能ビザに切り替えて働き続けた。

 「同じ分野であっても、ベトナム国内での仕事の収入は海外の40~50%程度です。35~40歳という中途半端な年齢で帰国しても、採用してくれる企業はほとんどないので、あと数年頑張って稼ぐ道を選ぶ人が多いんです」と、多くの人が一度帰国しながらも再び海外へ出る理由についてトゥエンさんは語る。

 中には、海外生活が約20年に及び、帰国する時期もまだ考えていないという人もいる。帰国者の多くは、海外で働いた経験に価値を感じており、調査対象者の72%が蓄積したスキルや経験が現在の仕事に役立っていると答えたものの、28%はそれらのスキルがベトナムでの現在の仕事には合っていないと感じている。

 日本向けの人材派遣を手掛ける企業の支社長であるグエン・クイさん(男性)は、海外で働いた経験は、労働者の考え方や習慣に影響を与えやすいと指摘する。彼らは若いうち、あるいは労働市場に足を踏み入れたばかりの時期に渡航することが多いためだ。

 帰国時には給与面での「ショック」を受けやすく、考え方を変え、新しい職場環境に慣れるまでに長い時間を要する。帰国した労働者が海外で身についた考え方や習慣を変えられなければ、適応するのは非常に難しい。

 海外勤務時と同等の収入が得られる、まったく同じ仕事を見つけることはほぼ不可能だ。さらに、同じ分野であっても、労働者の技能や基礎知識、国内の職場環境、同僚、顧客の要求はまったく異なる。そのため、帰国労働者の多くが以前の就労先の国に戻るか、自営を始めることを選んでいる。

 クイさんによれば、新たに海外へ働きに出る人は、お金を稼ぐという目的に加えて、語学を学び、技能を高めて将来的に渡航先に残る機会を得る、あるいは帰国後に納得のいく好収入の仕事を見つけるといったかなり具体的な目標を立てている。しかし、こうした当初の目標を維持するのは容易ではないという。

 日本では、残業をしない場合、諸費用を控除する前の労働者の月収は約18万円だとクイさんは試算する。家賃、税金、保険料を引いた後、貯蓄できる額は1300万~1500万VND(約8万~9万2000円)にすぎない。しかし、月に約60時間の残業をすれば、貯蓄額は1.2~1.5倍になる可能性がある。

 ただ、その時点で、目標はほぼお金を稼ぐことだけになってしまう。彼らは仕事で体力を使い果たし、部屋に戻ると、食事をして寝るだけで精いっぱいになる。1時間程度であってもパソコンの画面に向かってオンライン学習をしたり、スキルを高めたりすることは後回しになりがちだ。

 「仕事の忙しさに追われて、多くの人が当初の目標を見失ってしまいます。数年間の契約を終えて帰国しても、持ち帰ったお金以外にはほぼ何も残っていません。同等の収入が得られる仕事を探すことはほぼ不可能で、多くの人が再び海外に渡ることを選ぶんです」とクイさんは分析する。

 しかし、帰国することを決めているのであれば、専門スキルを「深掘り」することで、徐々に準備を進めるべきだとクイさんは助言する。介護分野で働く人は、各種機器やテクノロジーの使い方、介護技術をさらに学ぶことができる。樹脂成形や電子部品製造に従事する人は、生産ラインの運用や管理を学ぶことができる。事務職の人は語学力を高め、管理能力を身につけることができる。

 クイさん自身もかつて同じ道を歩んだ。2017年に日本語能力試験の「N3」を取得して訪日し、介護施設で高齢者の介護に従事した。その後、クイさんは食品製造工場の業務も学び、語学力を生かして事務・書類作成業務の一部を担当した。

 2019年にクイさんはベトナムに帰国し、かつて自身を日本に送り出した企業に就職した。その4年後に再び日本へ渡り、支社を任され、労働者の管理をサポートしている。現在は、2つ目となる経済法の学士号取得に向けて学んでいる。

 先のトゥエンさんはというと、2022年に帰国した際、以前とは違ってお金を稼ぐことだけを考えていればいい年齢ではなくなっていた。彼はアパレル分野の外資系企業に就職し、通訳、品質検査、梱包を担当した。

 勤務時間は通常、午前7時から午後9時までで、月収は1000万VND(約6万1000円)超だった。しかし、家族と過ごす時間は減った。アパレル業界の仕事は、韓国で経験した仕事とは異なり、トゥエンさんは多くのことを一から学び直さなければならなかった。

 1年後、トゥエンさんは妻と子どもと過ごす時間を確保するため、8時間勤務のマンションの設備技術者に転職した。韓国語を日常会話で使うことはほとんどなくなり、韓国のニュースに目を通す程度になった。

 トゥエンさんは時折、韓国に思いを馳せることもあるが、就労プログラムの受け入れ年齢が39歳までとなっているため、40歳での再渡航は容易ではない。

 一方のラムさんは現在、日本で医療通訳の分野で働きながら学んでいる。この分野では、今後数年間に人材需要の拡大が見込まれている。「ベトナムに戻るのは5~7年後になるかもしれませんし、もっと先になるかもしれませんね」とラムさんは語った。 

[VnExpress 00:00 02/10/2026, A]
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved.


このサイトにおける情報やその他のデータは、あくまでも利用者の私的利用のみのために提供されているものであって、取引など商用目的のために提供されているものではありません。弊サイトは、こうした情報やデータの誤謬や遅延、或いは、こうした情報やデータに依拠してなされた如何なる行為についても、何らの責任も負うものではありません。

印刷する | ウィンドウを閉じる