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[特集]

トランスジェンダーが集う「闇市」に潜入【後編】ネット売春の実態

2021/01/24 05:28 JST更新

(C) vietnamnet
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 トランスジェンダーの人々は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のグループを、性転換の悩みを相談したり、経験をシェアしたりする場としてだけでなく、自分の「サービス」を売り込むツールとしても活用している。

 前編でも話を聞いた東南部地方ビンズオン省在住のシャオ・ミー(Xiao Mie)さん(26歳)は、何度目かの約束でようやく、トランスジェンダーの売春に特化したフェイスブック(Facebook)の秘密のグループに記者を潜入させてくれた。

 グループに入るのは難しくなく、管理人からの簡単な質問に答えて数分待つだけで、グループの新メンバーになることができる。

 グループでは、完全に性転換手術を終えている人もそうでない人も、皆一様にセクシーな写真とコメントを投稿し、客を探している。ただし、度を超えた写真を投稿すればフェイスブックにグループのページを制限されてしまう危険性があるため、管理人が注意を促す。

 写真には、「お客さん募集中、ザロ(Zalo)で繋がりましょう」や「(ホーチミン市)8区在住のレディボーイ。お客さん募集中。連絡ください」など、客を探すコメントが添えられている。中には集団での売春を呼び掛ける人もいる。

 このグループの人々の「サービス」の料金は決して安くない。ゴック・リン・ニーと名乗るメンバーは「ホテルのみ。1時間50万VND(約2300円)。1晩100万VND(約4500円)」と書き込んでいた。

 一方、ゴ・ミー・イエンというメンバーは1時間60万VND(約2700円)、1晩120万VND(約5400円)を提示していた。メンバーたちは、数千万VND(1000万VND=約4万5000円)で「セックスツアー」も受ける。

 また、SNSのグループで公に活動するだけでなく、経験豊富な人はアダルトサイトを通じて客を探す。その1人であるN.M.さんはこう語る。「私はグループのほかに、ウェブサイトでもお客さんを探します。フェイスブックで出会うお客さんはほとんどが冷やかしで、声をかけるだけかけて、実際には会う気がない。そういうお客さんはいりません。ウェブサイトで見つけるお客さんのほうが、質が良いですね」。

 N.M.さんに紹介されたアダルトサイトにアクセスすると、生計を立てるために身体を売ることを選んだ女性たちが、自己紹介とともにヌードやベッドの写真を公開し、客を探している。アダルトサイトには、N.M.さん自身も投稿している、トランスジェンダーに特化したコンテンツもある。

 N.M.さんによると、客から要求があれば、「契約」前にザロを通じてヌード写真を送ることもいとわないという。このように客の要求に応えることは、自分の「サービス」を売り込むための「ノウハウ」でもあるのだ。

 一方、多くのトランスジェンダーの売春婦たちは、客と買うか買わないか、どこで会うかなど最低限のやりとりしかしない。SNSのメンバーの1人であるイエン・ニーさんは「あれこれたずねてくる人は、たいてい買ってくれません。私たちをからかいたいだけなんです。こういうお客さんは嫌ですね」と話す。

 イエン・ニーさんは、友人を探したり、交流したり、語り合ったりすることをグループには求めておらず、客探しのためだけと割り切ってグループを使っている。イエン・ニーさんのようなタイプは多く、客から長々と質問されると、客のアカウントをブロックすることもある。

 記者が客のふりをしてアン・アンというレディボーイに連絡すると、「あなたとゆっくり話している暇はないわよ。だって、あなたと話してもお金は発生しないけれど、私が必要なのはお金だから」と答えた。しかし、「購入」を前提に話がしたいと伝えると、アン・アンはようやく心を開いた。

 彼女は記者に自身のヌード写真を送り、普通の女性と全く同じように、もしくは普通の女性以上に「忘れられない」サービスができる、とアピールした。その後、アン・アンは会う日時と場所をどうするか、しきりに催促した。

 記者が「まずはデートから」と提案すると、彼女はすぐさま態度を変え、「高級レストランと映画にしか行かない。路上での食事なら行かない」と答えた。そして、記者がホテルに行くつもりはないとわかると、「暇なときにまた探して」と言い残してやりとりを終えた。

 トランスジェンダーの人々は、差別の目で見られたり、身体が弱かったりするため、普通の仕事に就くことができず、多くの危険が潜んでいる売春の道をやむなく選ぶというケースも少なくない。こうした人々がSNSや裏サイトで売春をしているという事実は、トランスジェンダーの世界の闇を表しているともいえる。

 彼女たちにとって、売春は「簡単に稼げる仕事」だ。お金さえ持っていれば、客は誰でもいい。トランスジェンダーを相手にする客も、多くは物珍しさを求めている。SNSのグループは、自分たちで立ち上げて自分たちで客を探すだけで、裏で手を引く黒幕もいない。

 通常、性転換手術を受けていないトランスジェンダーは、「ロトショー(Lo To Show、ビンゴゲームと歌や踊りを組み合わせたイベント)」の歌手としてステージに立つか、カフェの店員として働くか、もしくは路上で客引きをするか、選択肢は少ない。

 一方、ネット売春で稼いでいる人々は、豪華なマンションやホテルでの生活の様子をSNSに投稿し、グループでも「言い値」で自分を売り込むことができる。

 客を取るだけでも、贅沢な生活を送るのに十分な収入を得ることができる。美容やホルモン剤にお金をかけて身なりを整え、ブランド品を身に着け、豪華な住まいに身を置くことで自分の価値を高め、さらに多くのお金を稼ぐのだ。

 他に選択肢がないからと売春の世界に足を踏み入れ、実際に苦い経験をする人も少なくない。性感染症の恐怖もあれば、客にお金を払ってもらえなかったり、客から暴行を受けたりすることさえある。

 特に、トランスジェンダーの売春婦は、普通の売春婦よりも危険にさらされることが多い。あえてトランスジェンダーの売春婦を選ぶ客は、総じてある種の性癖を持っていることが多いからだ。

 先のアン・アンは、自身の経験をこう語る。「1度、薬をやっているヤバい人に会ったことがあります。友人たちの中にはお客さんと一緒に薬をやる子もいますが、私はそういうタイプではありません。その時、お客さんは薬をきめた後、ナイフを握って私の肩を何度も刺したんです。幸い大事には至りませんでしたが、それ以来、より慎重に、気を付けてお客さんを選ぶようになりました」。

 しかも、アン・アンのような人々は、自分が違法な仕事をしているということを認識しているため、暴行を受けたりしても警察に届け出ずになかったことにしてしまう。

 ホーチミン市弁護士団のブイ・クオック・トゥアン弁護士によると、法的な観点からすればSNSでトランスジェンダーのグループを立ち上げたり、個人ページに自分の写真を投稿したりすること自体は法律違反ではないが、こうした写真を売春に利用すれば違法になるという。

 トゥアン弁護士は、「この観点から、SNSのグループに写真を投稿し、売春の客を探しているトランスジェンダーの人々は違法に当たります。具体的な行為に応じて、本人またはSNSの管理人、運営グループ、立ち上げ人が法的処分を受ける可能性もあります」と指摘し、注意を呼び掛けた。 

[Vietnamnet 04:25 30/12/2020, 09:30 31/12/2020, A]
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