ベトナムの十二支~ヒツジはヤギ、ウサギはネコ~

2015/02/16 JST配信

日本と同じように、ベトナムにも中国から入ってきた干支(えと)がありますが、ベトナムの干支は日本とはちょっと異なります。日本では「ヒツジ」がベトナムでは「ヤギ」、「イノシシ」が「ブタ」なんです! ここでは、ベトナムの干支にまつわる豆知識を紹介します。
 

干支=十干十二支


日本では「干支」といえば12種類の動物からなる「十二支」のことだと思われがちですが、正しくは「十干十二支 (じっかんじゅうにし)」を略して「干支(えと、かんし)」と言います。十干は、甲、乙、丙、丁・・・で表す10の漢字からなるものです。ベトナム語では干支のことを「Can chi(カンチー)」と言います。漢字の読み方に似てますね。日本ではその年の干支を「未年(ひつじどし)」のように十二支だけで表すのが普通ですが、ベトナムではその年の干支を十干十二支合わせて呼びます。

例えば、2026年の午(うま)年、日本では「午」の一文字しか書きませんが、ベトナムでは必ず十干と合わせて「năm Bính Ngọ(ナム・ビンゴ、丙午年)」のように書きます。「năm」は「年」です。
 

ベトナムの十二支


ベトナム語で十二支は「Thập Nhị Chi(タップニチー)」と言います。これは「十二支」という漢字をそのままベトナム語読みにしたものです。「Địa Chi(ディアチー、地支)」ともいいます。

それでは、ベトナムと日本の十二支を比較してみてみましょう。
 

「牛」じゃなくて「水牛」

「丑」は中国や日本では「牛」ですが、ベトナムでは普通の牛より身近な「水牛」に置き換えられたようです。ベトナムの農村の風景に、水牛の姿は欠かせません。


(C) NgBK ちょっと人型っぽい水牛です
 

「兎」じゃなくて「猫」


(C) NgBK トラの次はネコ

なぜ「卯」が兎ではなく猫になったのかは諸説ありますが、「卯」の中国語の発音mão(マオ)がベトナム語のmèo(メオ、猫)に近いこと、ベトナムで兎は馴染みの動物ではなく、米を食べる鼠を追い払ってくれる猫がより身近な存在であったこと、などから猫に置き換えられたのでは、と言われています。

よく知られている十二支の物語は、神様が「1月1日に新年の挨拶に来た動物を先着12番目まで順に十二支にしよう」と動物たちに伝たが、日付を忘れてしまった猫は鼠に騙されて1月2日に出向いたため十二支に入れなかった、というもの。ベトナムでは、猫は鼠に騙されなかったようですね。

ちなみに、チベット、タイ、ベラルーシでも「兎」ではなく「猫」が十二支に入っているそうです。
 

「羊」じゃなくて「山羊」


(C) VIETJO Life

「未」は中国や日本では「羊」ですが、ベトナムではなじみのない動物のため「山羊」になったようです。ベトナム原産の羊はおらず、現在ベトナムにいる羊は、フランス統治時代にインドやパキスタンから持ち込まれたものだそうです。
 

「猪」じゃなくて「豚」

日本では「亥」は「猪」とされていますが、十二支がある日本以外の国ではすべて「豚」になっています。「猪」という漢字は、中国ではブタのことを指し、イノシシのことは「野猪」や「山猪」と書くそうです。これについては、ベトナムのほうが中国のものをそのまま受け継いでいるんですね。
 

ベトナムの十干


十干のことをベトナム語ではThập Can(タップカン、十干)またはThiên Can(ティエンカン、天干)と言います。これは、中国、日本、ベトナムいずも同じで、以下の通りです。
 
番号 十干(日本語読み) ベトナム語
1 甲 (こう / きのえ) giáp (ザップ / イヤップ)
2 乙 (おつ / きのと) ất (アット)
3 丙 (へい / ひのえ ) bính (ビン)
4 丁 (てい / ひのと) đinh (ディン)
5 戊 (ぼ / つちのえ) mậu (マウ)
6 己 (き / つちのと) kỷ (キー)
7 庚 (こう / かのえ) canh (カン)
8 辛 (しん / かのと) tân (タン)
9 壬 (じん / みずのえ) nhâm (ニャム)
10 癸 (き / みずのと) quý (クイ)

 
この十干と十二支を「甲」と「子」、「乙」と「丑」・・・と順番に組み合わせていくと、十干と十二支の最後「癸」と「亥」がちょうどぴったりところまで60通りの干支ができあがります。 
この60年を一つの「暦」と考えていたので、60歳を「還暦」つまり暦を一巡しためでたい歳としてお祝いするのです。ベトナムでも中国からの影響で、60歳を「下寿(かじゅ)」、70歳を「中寿(ちゅうじゅ)」、80歳を「上寿(じょうじゅ)」として祝うそうです。

2015年~2030年の干支は、以下のようになっています。
 
西暦 干支 西暦 干支
2015 乙未 Ất Mùi 2023 癸卯 Quý Mão
2016 丙申 Bính Thân 2024 甲辰 Giáp Thìn
2017 丁酉 Đinh Dậu 2025 乙巳 Ất Tỵ
2018 戊戌 Mậu Tuất 2026 丙午 Bính Ngọ
2019 己亥 Kỷ Hợi 2027 丁未 Đinh Mùi
2020 庚子 Canh Tý 2028 戊申 Mậu Thân
2021 辛丑 Tân Sửu 2029 己酉 Kỷ Dậu
2022 壬寅 Nhâm Dần 2030 庚戌 Canh Tuất
 

生まれ年を言うときは、「いぬ年」「ねこ年」でOK


人の相性を占う場合、日本では星座や血液型を用いますが、ベトナムではもっぱら生まれ年を見ます。そのため、ベトナム人と会話していて「Tuổi con gì ?(トゥオイ・コン・ジー)」(なにどし?)と聞かれることがよくあります。「Tuổi」は「歳」、「con」は動物につける類別詞、「gì」は「何?」という意味。この場合には、上に述べた干支の言い方ではなく、動物の名前を言えばOKです。
 
動 物 ベトナム語
鼠(ねずみ) con chuột (コンチュオット)
水牛(すいぎゅう) con trâu (コンチャウ)
虎(とら) con hổ (コンホー) / con cọp (コンコップ)
猫(ねこ) con mèo (コンメオ)
竜(りゅう) con rồng (コンゾン / コンロン)
蛇(へび) con rắn (コンザン / コンラン)
馬(うま) con ngựa (コングア)
山羊(やぎ) con dê (コンゼー / コンイェー)
猿(さる) con khỉ (コンキー)
鶏(にわとり) con gà (コンガー)
犬(いぬ) con chó (コンチョー)
豚(ぶた) con lợn (コンロン)/ con heo (コンヘオ)

 
ちなみに、兎(うさぎ)は「con thỏ(コントー)」、羊(ひつじ)は「con cừu(コンクウ)」、猪(いのしし)は「lợn rừng(ロンルン)/ heo rừng(ヘオルン)」です。


生まれ年は旧暦で見ますので、1~2月に生まれた人は、旧暦の誕生日を調べると、正確な生まれ年がわかります。


 
ベトナム人の多くは日本に干支があることや干支の動物が違うことを知らないので、干支の話はお正月の楽しい会話の良いきっかけになるかもしれませんね。