不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)は25日、南北高速鉄道プロジェクトへの投資登録を撤回する文書を政府に提出した。

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　VIC傘下のビンスピード(VinSpeed)は5月中旬、同プロジェクトへの投資を申請した。投資総額は1560兆VND(約9兆3000億円)を超える見込みで、投資総額の20％を自己調達し、残る80％については35年間無利子で国から借り入れることを提案していた。

　VICによると、今回の判断は、現在政府から実施を任されている戦略的インフラ事業に経営資源を集中させるためだという。

　重点事業には、ハノイ市のオリンピックスポーツ都市区のほか、◇ホーチミン市の市街地と旧カンゾー郡の埋め立て沿岸都市区を結ぶ都市鉄道(メトロ)路線(ベンタイン～カンゾー間)、◇ハノイ市と東北部地方クアンニン省を結ぶ高速鉄道が含まれる。

　このほか、工業・エネルギー・インフラ分野の大型案件も同時に進めており、投資負担と実行力の集中が不可欠と判断した。

　専門家は今回の決定を市場にとって前向きに評価した。登録段階での撤回にとどまるため事業への影響は限定的で、大型案件への過度な分散投資に対する懸念が低下するとみている。

　同プロジェクトは全長1541kmで、12省・市を通過してハノイ市ゴックホイ村からホーチミン市アンカイン街区(旧トゥーティエム街区)までを結ぶ。投資総額は1700兆VND(約10兆1000億円)の予定となっている。

　VICは、地場系コングロマリット(複合企業)チュオンハイグループ(Truong Hai Group＝THACO)、◇ベトナム鉄道総公社(VNR)子会社の鉄道運輸(Railway Transport)、◇ベトナム3000(Vietnam 3000)など、複数の有力企業が関心を示していることから、VICの撤回が事業進捗に影響することはないとしている。