米国ワシントン州在住の退役軍人ボブ・フレーザーさんはこのほど、戦死したベトナム人兵士ブー・ディン・ドアンさんの日記の遺族への返還を果たした。ボブさんが46年間保管していた日記は、6月に訪越したレオン・パネッタ米国防長官からフン・クアン・タイン国防相に手渡され、遺族の元に届けられた。
(C)Lao dong、ドアンさんの遺族 |
ベトナム戦争に従軍した米国の退役軍人が、戦場から記念に持ち帰った物や日記などをベトナム側に返還する動きは2001年8月から始まったが、遺物を受け取るべき遺族が見つかることは多くないという。戦死した女性軍医ダン・トゥイー・チャムさんの日記が2005年にベトナムで出版され、多くの読者に感動を与えたことはまだ記憶に新しい。
ボブさんがドアンさんの日記を入手したのは1966年3月。米軍と北ベトナム軍の戦闘後の戦場を捜索していた時にドアンさんの遺体を発見した。その時の情景をボブさんはよく記憶している。体から血は流れておらず、まるで眠っているようで、恐らく1発の銃弾で即死したと思ったという。
ボブさんはドアンさんの手に赤い表紙のノートがあるのを見て記念に持ち帰った。1970年代後半になって、日記を遺族に返そうと思い立ち方法を探ったが、当時の越米関係ではそれも難しかった。