|[日] ドラゴンフルーツ、ピタヤ(スペイン語から)
[越] Thanh long(タインロン / タンロン)
[英] Dragon fruit、Pitaya
[学] Hylocereus undatus (サボテン科)
[原産] メキシコまたは中南米
[サイズ] 10~14cm|
ドラゴンフルーツはサボテンの実!
ドラゴンフルーツがサボテンの実だということをご存知でしょうか。ベトナム語でこの果実を Thanh long(タインロン / タンロン) と言うのですが、これは漢字 「青龍」 のベトナム発音。ドラゴンフルーツの木の幹が、まるで青い龍がのように長くうねっているような姿から、こう名づけられました。「ドラゴンフルーツ」の名称は、中国語の「火龍果」から翻訳されたもので、龍の鱗が燃えているかのような外皮からこう名づけられたようです。
世界には外皮が黄色いものなど様々な種類があるようですが、ベトナムで流通しているものは外皮が赤いもの。年中出回っていますが、通常の収穫期は4~10月で、 最盛期は5~8月 です。最近作付け面積が増えて収穫量が急増しているため、2015年の最盛期だと 1kg3000~4000VND(約16~22円) という、日本では信じられない安値で売られています。
(C) VIETJO Life
農薬などを使わずに栽培できることから、土地がある家庭では自家栽培したりしています。上の写真はホーチミン市郊外の民家の前で栽培されていたものです。
(C) VIETJO Life
幹の途中や先端に 大きな美しい花 がついて、花が枯れると左の写真のように実が出てきます。実の赤色と「青龍」がめでたいことから、右の写真のように仕立てて、旧正月(テト)の飾りつけにするのも人気が高いです。
ドラゴンフルーツ、本当はものすごく甘い!?
甘みが少なく味が薄いと思われがちのドラゴンフルーツ。その原因は、甘みの成分が他の果物のような「果糖」ではなく「ブドウ糖」だから。ブドウ糖は舌ではあまり甘さを感じられないのだとか。糖度だけを調べると、マンゴーより糖度が高い場合もあるそうです。
そして、もう一つの原因は、 追熟しない ということ。多くの果物は未熟のうちに木からとっても、その後追加で熟していきますが、ドラゴンフルーツは熟しません。流通の段階で長持ちさせるために完全に熟し切らないうちに収穫し、その後追熟しないため、収穫時のままの完熟していない実を食べることになります。実は、 木の上で完熟させてから収穫したドラゴンフルーツを食べると、驚くほど甘い のです! よく、南中部沿岸地方 ビントゥアン省 のファンティエットなど栽培の盛んな地域に行くと道端にドラゴンフルーツが山盛りになって売られていますが、こういった産地で買うと本当に甘いです。
また、最近は流通の状況がよくなり、収穫から店頭に並ぶまでの時間が短くなったので、都市部でも甘いものが手に入るようになってきました。以前食べておいしくないと感じた方も、今食べたら甘さにびっくりするかもしれません。産地直送で販売しているスーパーのものが意外にも甘かったりします。ぜひお試しを。
果肉は白と赤の2種類。何が違うの?
ベトナムで栽培されているドラゴンフルーツには、果肉が白いものと赤いものの2種類あります。以前南部では白い果肉のものしか見当たりませんでしたが、最近では赤い果肉のものが増えてきました。調べてみると、1988年に台湾から赤い果肉の品種が北部に持ち込まれたのが現地栽培のはじまりのようで、赤い果肉はまだ歴史が浅いようです。
赤白どちらの果肉もみずみずしく、さっぱりとした甘さ。果肉のシャクシャクした食感とゴマのような種の歯ざわりが心地いいです。
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赤と白を食べ比べてみると、赤い果肉のほうが僅かに粘り気があり、甘みが強いようです。できるだけ甘ものを食べたいという人は赤を選ぶと良いでしょう。果実の形は、白が縦長なものが多いのに対し、赤はまん丸のものが多いそうです。外見では明確に判断できないため、市場などでは赤い実であることを知らせるために半分に切ったものを見本に出していることもあります。
また、果肉が白いものを「Thanh long ruột trắng(タインロン ジュオット / ルオット チャン)」、果肉が赤いものを「Thanh long ruột đỏ(タインロン ジュオット / ルオット ド~)」と言います。看板に「trắng」の文字があれば白い果肉、「đỏ」の文字があれば赤い果肉です。
(C) VIETJO Life 左の実は白い果肉、右の実は赤い果肉のもの
赤い果肉の品種は主に北中部の ゲアン省 で、白い果肉のものは ビントゥアン省 のほか、メコンデルタ地方 ロンアン省 、ティエンザン省 などで盛んに栽培されています。タンロンはサボテンですので、水はけの良い土壌が好まれます。
高血圧の人、妊婦さんにおススメ!
ドラゴンフルーツは他のトロピカルフルーツに比べて味があっさりしているので、栄養価が低いような気がしてしまいますが、実は栄養豊富! ビタミンB1・B2、葉酸、ナイアシン、ビタミンC、カロチンの他、カリウム、マグネシウム、鉄などのミネラル類がたくさん含まれています。
中でも、 カリウム、マグネシウム、葉酸 の3つが豊富です。カリウムやマグネシウムは汗をかくと一緒に排出され、不足するといわゆる「夏ばて」の症状が出ます。汗をたくさんかいた日に食べると良いでしょう。カリウムは循環器系の働きに欠かせない栄養素で、高血圧や動脈硬化など 循環器系疾病の予防 に役立つそうです。また、豊富に含まれる葉酸は妊娠中 に欠かせない栄養素。ベトナムでも 妊婦さんがよく食べています。
そして、赤い果肉のほうにだけ含まれているのが ベタシアニン です。これはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用があり、 アンチエイジング効果 や がん抑制効果 が期待できます。
ドラゴンフルーツの食べ方
ドラゴンフルーツは、皮に切り込みさえあれば簡単に手で剥いて食べることができます。縦半分に切ってスプーンですくって食べるのが手も汚れず面倒がないのですが、個人的に半円形に切るのが一番食べやすいと思います。実についている花びらのような部分を残しておき、そこをつまんで引っ張りながら皮を外して食べると手が汚れません。
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来客に振舞うときには、縦半分に切って中身をくり抜いて、皮を容器代わりにするのもいいですよ。果肉を一口サイズに切り、それを皮の中に戻すと、おしゃれで南国の雰囲気いっぱいになります。皮の底に当たる部分を平らに切ると、お皿の上で安定します。
ドラゴンフルーツは、実の中心にいくほど甘みが増すので、できるだけ全部の切れ端が中心部分にかかるように切ったほうが、味にムラがなくなります。
ドラゴンフルーツの選び方と保管方法
ドラゴンフルーツの熟し具合を外見で判断するのはかなり難しいです。外皮がなるべく張りがあるものが新鮮な証拠ではありますが、色があまりにも綺麗なのよりも、下の写真のように表皮にゴマのような模様がたくさんあるもののほうが甘いと言われています。
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追熟しないので、常温に置いても甘くならず、痛みが早くなります。購入したらすぐに冷蔵庫の野菜室で保管したほうが良いでしょう。
|【ポイント】ドラゴンフルーツは産地で完熟したあと収穫したものを買うととても甘い! 追熟しないので、保管は冷蔵庫の野菜室で。循環器系疾病の予防やアンチエイジング効果があります。妊婦さんにもおススメ。|