海外に住んでいても日本での保険料や年金の支払い、クレジットカードの引き落としなどが日本の銀行口座に設定されている人は多いかと思います。そのため日本の口座に一定額の日本円を維持しておきたいのではないでしょうか。現地採用者などベトナムでお給料をもらっている場合はベトナムの口座にお給料が振り込まれることが普通なので、日本の口座のお金は減る一方。だからベトナムから日本に送金したい!なんてケースも結構あるはずです。そこで、 本記事ではベトナムの銀行口座から日本の自分の口座へ送金する流れを紹介します。
基本的にはどこの銀行でも送金可能
ベトナムで口座を開くにあたり、大抵は会社からの指定や誰かからの勧めで銀行を選ぶことになるかと思います。現在はほとんどの銀行で海外送金の対応をしていますので、今自分が持っている口座で海外送金ができるかどうかを心配する必要はまずないでしょう。これから口座を開設するという方でもその点は心配無用ですが、不安であれば開設時にその旨を確認するようにしてください。
お金の出所が肝心
ベトナムから国外へ海外送金するに当たって最も重要なことは、「送金するお金の出所がはっきり証明されている」ことです。なので現金を直接銀行に持ち込んで海外送金を依頼したとしても、まず断られてしまいます。たとえその現金がベトナムでのお給料であったとしても、現金ではそれがお給料であることを証明する手立てがありませんのでご注意ください。
このように事実上、口座内にあるお金でしか海外送金用のお金の出所を証明するのが難しいということになります。例えばお給料であれば、振込人が勤務先の会社であることが記録として銀行側でも残っているので、そのお金は確かに合法的な出所であると判断することができるわけです(つまりお給料が現金手渡しの場合は海外送金不可となります)。ちなみに現金を自分の口座に預け入れする場合も、日本のようにお金を持っていけば預かってもらえるというものではなく、労働契約書や売買契約書、入国時の税関申告書など、現金の出所を証明するものが必要となりますので注意が必要です。何かしらの理由で手元に大量の現金があったとしても、簡単に自分の口座へ入金はできないと理解しておいたほうがいいでしょう。
また、銀行によっては外国人が海外送金するには一定期間以上ベトナムに滞在している人に限定していたり、短期滞在者は海外送金ができないなど、各銀行により規定が異なります。この点の規定については自分の口座を持っている銀行に直接問い合わせる必要があります。
なお、送金はUSD口座だけでなく、VND口座や日本円口座などからも行うことができますが、ベトナムでは同じ銀行でも支店や担当者によって対応が違う場合があるのでご注意ください。
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最低限用意するもの
各銀行で必要な書類は微妙に変わってきますので、ここではどの銀行でもよく共通して求められるものを紹介します。
(1)有効期限内のパスポートと送金内容に適したビザまたはレジデンスカード
(2)送金するお金の出所を証明するもの(給与が記載されている労働許可書、売買契約書、税関申告書など)
(3)海外送金フォーム(店頭で入手、記入可能)
(1)の「送金内容に適したビザまたはレジデンスカード」とはお金の出所証明と滞在ビザの種類が一致していることを意味します。例えば自分のお給料を送金する場合でも、ビザの種類が「観光」であれば労働資格を持っていませんので、断られるケースがあります。
銀行へ行き、入り口で案内係に海外送金したい旨を伝えると窓口に案内してくれます。外国人と分かると都市部では通常英語が分かるスタッフを当ててくれます。
銀行の送金フォームはベトナム語だけでなく英語も表記されています。フォームには概ね次のような情報を英語またはベトナム語で書くことになります。入金先の銀行の英語名やSWIFTコードなどは予め調べておきましょう。書く場所はスタッフがちゃんと教えてくれますので、わからない場合は躊躇せず聞きながら記入してください。
記入例:
+ 日本の受け取り口座の銀行名及び支店名
(例)SUMITOMO MITSUI BANKING CORPORATION, KANDA BRANCH
+ SWIFTコード
(例)SMBC JP JT
+ 口座のある支店の住所
(例)1-1 Ogawamachi, Kanda, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan
+受取人口座名義
(例) SUZUKI TARO
+支店番号及び口座番号
(例)219-1234567(店番号-口座番号)
+ 日本の銀行に登録している自分の住所及び電話番号
+ 金額の英語またはベトナム語表記(算用数字だけでなく文字での表記も求められます)
(例)One hundred million VND または Một trăm triệu VND
(参考) ベトナム語で数字言える?~慣れれば簡単!読み方の法則~
海外送金フォームはウェブサイト上でダウンロードできる銀行もありますので、海外送金する際には一度ホームページを確認してみてください。
海外送金にかかる手数料
手数料は、送金する金額から差し引くこともできますし、別途口座から引き落としてもらうこともできます。また、手数料は送る側の銀行だけでなく、受け取り先の銀行でもかかりますが、それも送金額から差し引くか、別途負担するかを選択することができます。送る側がすべて負担する場合は「OUR」、受け取り側がすべて負担する場合は「BEN」、両者がそれぞれ負担する場合は「SHA」という略号がついていると思いますので、当てはまるものにチェックを入れます。
ベトナム側でかかる大よその手数料は以下の通りです。
○ 海外送金手数料
・ 送金手数料:送金額の0.2%程度(最低5USD)
・ 電信費:送金の種類によって1取引につき10USD~
ベトコムバンクの場合は、送金手数料が送金額の0.15%(最低5USD、最高150USD)、電信費が1取引につきUSDは10USD、円またはEURの場合は40USD、その他外貨は20USDとなっています。つまり、送金するときは USDが最も手数料がかからない ことになります。
日本側でかかる手数料。(三井住友銀行を例とした場合:2025年1月時点)
〇送金:円建て、受取:円貨普通預金
1.被仕向送金手数料:一律1,500円/件
2.円為替取扱手数料:送金金額の0.05%(最低2,500円)
〇送金:外貨建て、受取:円貨普通預金
被仕向送金手数料:一律1,500円/件
※円預金への入金円貨額は、入金日の外国為替相場を適用
〇送金:外貨建て、受取:外貨普通預金
1.被仕向送金手数料:一律1,500円/件
2.リフティングチャージ:送金金額の0.05%(最低2,500円、または25米ドル)
着金にかかる日数
送金から着金までの日数は銀行による差はあるものの、平時で3営業日あたりが多くなっています。送金元であるベトナム側の銀行と受取側である日本側の銀行が提携しているなどであれば比較的早く着金されるという情報もあります。いずれにしろ土日を挟んでも1週間以内には着金されるという認識となります。
ベトナムの銀行は朝早くから営業、土曜日の午前もオープン
ベトナムの銀行は朝7時半から開いているところもあります。一方お昼休みの時間帯は銀行も窓口業務をストップしていますので、銀行を訪れる時間帯には注意してください。また土曜日は午前11時半ぐらいまで営業しています。
海外送金を行う場合、そのような業務に慣れている支店(外国人利用者の多い支店)とそうでない支店で手際の良さが随分異なります。できれば外国人利用が多く、英語対応のできるスタッフがいるような都市中心部の支店を利用することをお勧めします。
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