北中部ハティン省のハティン市人民裁判所で9月20日、離婚協議の当事者が証拠書類を裁判官の目の前で奪い取って逃げるという事件が起きた。
事件を起こしたのは同市在住のTという男で、離婚協議中の妻Hさんがブイ・ティ・ヒエン・ルオン裁判官に提出しようとした証拠書類をひったくって逃走を図った。この書類には、夫婦が共同で出資した家の建築にかかった総費用が借金を含め約5億ドン(約360万円)だったことが記されていた。Tはこの費用を20億ドン(約1430万円)と主張しており、もしTの言い分が通ればHさんは高額の負債を抱えることになるはずだった。
Tは逃走後、裁判所のトイレに立てこもったが、結局周囲の説得に応じて犯行を認め書類を返却した。ルオン裁判官は、30年以上の裁判官人生でこのような事件は聞いたことがないと話している。また、Tが厳しい規律を求められるはずの国家公務員かつ共産党員であったことも波紋を呼んでいる。