日本人女性、坂田雅子さんは『枯葉剤−パーソナル・レクイエム』というベトナムの枯葉剤被害者を追ったドキュメンタリー映画を今年5月に完成させた。坂田さんがこの映画を製作するきっかけは、30年以上連れ添った夫のアメリカ人グレッグ・デイビッドさんが2003年に54歳でこの世を去ったことにある。
グレッグさんはベトナム戦争中にドンタップ省の枯葉剤作戦地域で従軍していたため、枯葉剤の影響が出るのを恐れて子供を作るのをあきらめていた。また、直接の死因となった肝臓ガンも枯葉剤の影響によるものと見られている。一人になった悲しみと孤独の中、夫の人生に暗い影を落とし続けた枯葉剤と向き合おうと訪れたベトナムで彼女は多くの枯葉剤被害者と出会い、大変な困難の中で現実を受け止めて真摯に生きていく姿に感銘を受けたという。そして、被害者一人一人の痛みを世界に伝えようと映画の製作を決めたのである。彼女の希望により、この映画はまず初めにベトナムで上映されることになっている。